イトーヨーカドー/25年度内に総菜の売上構成比15%目指す、ヨーク・デリ拡大
2025年05月22日 14:42 / 経営
イトーヨーカ堂は、オリジナル総菜ブランド「ヨーク・デリ」を強化し、2025年度内に総菜の売り上げ構成比を15%にすることを目指している。
同社は2023年に発表した中期経営計画で、「食」を中心とした成長戦略を掲げた。中でも総菜の強化を重要な柱の一つと位置付け、2024年2月に自社プロセスセンター・セントラルキッチン「Peace Deli(ピース・デリ)」を稼働させた。
5月には、『「毎日食べたい」おいしさ。』をコンセプトとした総菜「YORK DELI(ヨーク・デリ)」を立ち上げた。
2024年度中に43品目を投入。総菜における「ピース・デリ」商品の構成比は約18%となった。
「ヨーク・デリ」を含む総菜の売り上げ構成比はイトーヨーカドー、ヨークフーズ合わせて13.6%まで成長している。2025年度は、「ピース・デリ」を約90品目に拡充し、さらに構成比を上げる計画だ。
西山英樹 執行役員 フード&ドラッグ事業部長は「タイパ・コスパを重視する生活者が増え、中食の需要が高まっている。スーパーは総菜のおいしさで選ぶ生活者が4割という調査がある。当社は上位5社に入っていなかった。ピース・デリを活用し、ヨーク・デリ商品構成比を現在の18%から30%まで伸ばしたい」と説明している。
2025年度のヨーク・デリは、オリジナル商品を中心とした地域の顧客が楽しめる商品開発と基準作りに取り組む。
消費の二極化、簡便・即食需要に対応。健康や楽しさを追求した新しい価値提案も行う。
具体的には、米価格の高騰の影響はあるものの、極力弁当の価格を据え置くため、麺のメニューの増加、丼ものとうどんの組み合わせた弁当のラインアップを拡大している。
総菜部の中坪礼 統括マネージャーは、消費の二極化対応として、「ナポリタン、ミートソースのパスタは税別399円、コロッケ1個100円と値ごろ感を出した。格之進のメンチカツは1個399円と高額ながら好評で6月には5店舗まで取り扱い拡大が決まっている。ピース・デリがあることで、値ごろ感ある商品、オリジナルな商品を開発できている。総菜の既存店売上高は、3月~5月は前年同期比5%増と伸びている」と話した。
また、ヨーク・デリ投入による客層の変化は「当社の主要客層はシニアが多く、この傾向は変わっていない。しかし、カテゴリーごとに変化があった。少量サイズのPlus-One-Deli、ボリュームたっぷりのユーリンチーは若年層の支持が高い。シニアを大事にしながらも、取り切れていない若年層を獲得するため、ニーズにあった商品開発が課題だ」と分析している。
さらに、米価格高騰に対して、付加価値を付けた手作りおにぎりを開発。即食ニーズに応えた「自家製だし巻き玉子」、ヘルシーで満足感のある「ほうれん草としめじのバター風味しょう油和え」(L299円)といった商品もそろう。
なお、2025年3月には、Peace Deliがイトーヨーカ堂の完全子会社となり、商品開発から製造・販売までを一貫して推進できる体制を整備している。
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