京急の品川駅開発計画/2029年度の竣工目指し着工、トヨタが「新東京本社」開業へ
2025年05月26日 15:45 / 店舗
京浜急行電鉄は品川駅周辺を開発する「京急品川開発プロジェクト」を本格始動し、5月31日に「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」を着工する。
同社は品川駅周辺エリアの開発コンセプトに「WEL-COME&GO!」を掲げ、「(仮称)品川駅西口地区A地区」・「品川駅街区地区」を中心に、新しいまちづくりを推進していく。
その第一弾である今回の計画では、2029年度に建物の開業を予定。共同事業者であるトヨタ自動車が「新東京本社」を開業する。
今後、トヨタと連携して品川駅西口地区まちづくりや、沿線の活性化、相互の発展につながる取り組みを検討していく。
さらに、国内最大級のフロア面積を持つオフィスや、都心最大規模のカンファレンスホール、新たな交流拠点となる商業施設など「感性を刺激する場と機会の提供」をテーマに魅力あるまちづくりを目指す。
「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」では、外観デザインをアメリカの建築設計事務所KPFが担当。敷地の特性や環境への影響を踏まえて「Flow(流れ)」をデザインコンセプトに掲げる。
東京湾から吹き込む風の道を確保するため、建物の平面形状は台形とし、角部分には曲線を採用。立面でも流れを感じられる形状とし、タワーの低層部はスカートのように広がりを持たせ、高輪の自然を都市生活に取り込んで近隣地域と品川駅を効果的につなぐ。
このフレア形状の大庇(ひさし)は、雨風を防ぎながら人々を建物に迎え入れる重要な役割を担い、快適な空間を創出。また、建物を囲うようにデッキ階以外の建築部分にも積極的に緑化を施し、建物の内部からも身近に緑を感じられる計画とする。
ライティングデザインは、シリウスライティングオフィスが担当。品川駅側(南東)は先進的な都市のイメージを空へ上昇するような光で表現し、港区立高輪森の公園側(北西)は豊かな自然を育む大地のイメージを下降しながら広がっていく光で体現する。また、広場や歩行者通路などからなる低層部では、樹木のライトアップなどを行う。
ランドスケープデザインは、プレイスメディアが担当。本計画では、豊かな緑量を確保し、自然とにぎわいが共存する地域に開かれた屋外空間を整備。
豊かな緑に囲まれたベンチの設置などにより来訪者に憩いの場を提供する。さらに大規模なイベントを開催できる広場も整備し、駅前のにぎわいを敷地内へ引き込む。
在来種を中心とした植栽計画や生物の生息空間の形成により、地域の生物多様性に寄与。桜と石垣の風景を継承するべく、敷地周辺の樹木を保存・再移植し、地域の大切な財産を未来へとつないでいく。
また、大規模災害などの緊急事態を想定した業務継続計画(BCP)の策定にも取り組んでおり、大規模災害などの発生後におけるオフィス業務の継続や来街者への対応に備え、電気・ガス途絶時に在館者や地域住民の滞在・使用を想定した一時滞在施設・スペースや防災備蓄倉庫の整備なども計画している。
<起工式の様子>
※京急電鉄の川俣社長(左)とトヨタの佐藤社長
計画の着工に先立ち、5月23日に起工式を開催した。
京急電鉄の川俣幸宏社長は「当社の鉄道がこの地(高輪)に乗り入れてから本年で100年を迎える。次の100年に向けた第一歩として、世界を代表するモビリティカンパニーのトヨタと連携し、これからの日本を牽引する国際交流拠点・品川の発展に尽力していく」と述べた。
トヨタの佐藤恒治社長は「新東京本社は、トヨタが目指す『モビリティカンパニーへの変革』に向けた重要な拠点になる。多様な人材が集まって創造性を発揮できる環境をつくり、モビリティで暮らしをもっと豊かにできるよう、挑戦を加速していく。そして、『町いちばんの会社』を目指して、品川駅周辺エリアのさらなる発展に役立てるよう、地域社会にしっかり根差して取り組んでいく」と語った。
品川川駅周辺では、現在、多くの開発プロジェクトが進められている。京急では品川駅に近接し、立地に優れる「(仮称)品川駅西口地区A地区」や「品川駅街区地区」を中心に、魅力ある新しいまちづくりを推進していく。
■設計概要
計画地:東京都港区高輪3-417-31(品川駅西口土地区画整理事業A街区1区画、2区画)
事業主体:京浜急行電鉄、トヨタ自動車
基本設計:日本設計
実施設計:大成建設一級建築士事務所
施工:大成建設東京支店
主要用途:オフィス・商業・ホテル・MICE(コンファレンス、多目的ホール)など
敷地面積:23,584m2
延床面積:311,802m2
階数:地上29階・地下4階
建物高さ:152m
竣工:2029年(予定)
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