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日本生命の物流不動産開発戦略

2017年07月07日 10:48 / 流通最前線トレンド&マーケティング

横浜町田を成功させ、マーケットの認知度をさらに高める

―― 今後の課題は。
田中 やはり、横浜町田のテナントリーシングが最重要になります。賃貸面積が約2万5000坪もあるだけに、慎重に進めています。既に複数の企業さんから問い合わせを頂いていますが、まだ内定はゼロ、空きはたくさんありますので、2019年11月の竣工に向けて、積極的に募集を行っていきたいと考えています。

―― 先程、物流テナント情報の収集に苦労されているというお話がありましたね。
田中 実は私は、横浜町田についてはそこまで不安視していません。というのも、不動産全般として、立地が良ければ必ず成功するというのはオフィスでも経験しているところですし、物流施設のリーシングは、建設計画を発表した後で、問い合わせが急増します。大阪松原では、発表後は大変多くの物流企業さんから、入居の問い合わせを頂きました。東大阪では、1月頃から水面下でかなり広く情報収集したつもりでしたが、5月25日に対外公表してから、かなり多くの追加問い合わせを頂いています。横浜町田はこれからですね。(編集注:インタビュー時点は、6/21の横浜町田の対外発表前)

―― 発表すると、情報がどんどん出てくるということですか。
荻野 そうですね。東大阪は、元々、大阪松原の発表後に問い合わせ頂いた物流企業さん等を訪問した中で、色々と情報を頂いて、そこから実現にこぎつけたという経緯が、実はあります。ある意味、松原が無ければ実現しなかった案件と言えます。優良立地で開発発表をすると、多数の物流企業の、なかなか会えないキーマンの方々から、生きたニーズ情報を、かなり踏み込んだところまで教えて頂けるので、そうしたチャンスを逃さずに、次の新規案件にも生かしていきたいと考えています。

―― 日本生命が物流開発というと、意外に思われる方も多いのでは。
田中 大阪松原の開発以降、物流業界で比較的注目頂けたこともあり、関西圏では、「日本生命の物流」の認知度が大きく上がったと感じているのですが、首都圏ではまだまだですね。横浜町田をきっかけとして、認知度向上に努めていきたいと考えています。

―― 今後、IoT化やロボット化については。
田中 今後の重要課題と考えています。ただ大前提として、あまり汎用性の下がる投資対象は扱いにくいため、例えば、オーナーとしてロボットを設置導入することは非現実的かもしれませんが、テナント企業さんがロボットを導入しやすいような施設設計とすることは、実現可能と思います。

荻野 最近は、天井高を5.5mよりも高く、6.5m程度、フォークリフトの届く高さ7mに近いレベルにしておき、自動倉庫化や、マテハン導入をしやすくするような工夫もされている施設があるようで、リーシングに大きく成功した例もあると聞いています。当面は、そうした事例を一つ一つ研究して、成功した要素を取りこんでいけたら、と考えています。

田中 物流施設は、オフィスと違って繁閑を倉庫間で融通し合う、例えば、冬に物量の増えるカップラーメンの倉庫が、夏に物量の増えるビール・清涼飲料の倉庫と、相互に融通し合うようなこともあるため、扱う荷物のサイズ・重量等が予想し切れず、結果、機械化は限界があり、やはり最後は人手に頼らざるを得ないのだろう、とも考えています。

―― 冷凍・冷蔵倉庫の開発については。
田中 冷凍冷蔵は、ドライ倉庫よりは管理等に工夫が必要と聞きますが、建替えニーズが非常に多いと聞きますし、食品分野は長期安定的なニーズが見込める分野だと思いますから、今後の研究課題と考えています。

―― 最後になりますが、慣れない物流の分野で活動しているわけですが、ストレスも多いのでは。趣味などありますか。
田中 私も荻野もオフィス開発から物流開発に移って2、3年程度ですから、試行錯誤の日々ですが、各自、プライベートで十分に趣味を楽しんでいると思います。私はクラシックピアノを弾くのが趣味で、休日には思い切り演奏しています。

荻野 私はマラソン等運動全般です。毎日走っています。

<日本生命 不動産部 田中 開 不動産投資開発担当室長>
日本生命 不動産部 田中 開 不動産投資開発担当室長

■プロフィール
・田中開(たなかひらく)不動産投資開発担当室長
1968年東京都生まれ
1991年:日本生命保険入社
一級建築士
入社以降、調査部、企業保険契約部等を経て、
1998年より不動産部に配属となり、「日本生命丸の内ビル」開発プロジェクトを担
当。
その後、全国の保有ビルのPM責任者、中部圏でのAM責任者、
静岡での新ビル開発など、不動産領域にて幅広に経験。
2014年より物流不動産投資(用地取得・開発マネジメント・テナントリーシング等)
を担当。現在、大阪松原、東大阪、横浜町田の開発を推進。

<日本生命 不動産部 荻野 恵太郎 不動産投資開発担当課長>
日本生命 不動産部 荻野 恵太郎 不動産投資開発担当課長

・荻野恵太郎(おぎのけいたろう)不動産投資開発担当課長
1983年兵庫県生まれ
2006年:日本生命保険入社
入社以降不動産部にて、オフィスビル中心に、物件取得・売却を40件以上実行。
大阪での新ビル開発や、西日本の保有ビルの管理など、幅広に経験。
2015年より物流不動産投資(用地取得・開発マネジメント・テナントリーシング等)
を担当。現在、大阪松原、東大阪、横浜町田の開発を推進。

■物件概要
・(仮称)ニッセイロジスティクスセンター横浜町田
所在地:神奈川県大和市下鶴間
敷地面積:約4万1300m2
延床面積:約9万6255m2
構造規模:柱鉄筋コンクリート造、梁鉄骨造、地上5階建
竣工予定:2019年11月
<(仮称)ニッセイロジスティクスセンター横浜町田広域図>
(仮称)ニッセイロジスティクスセンター横浜町田広域図

<(仮称)ニッセイロジスティクスセンター横浜町田近郊図>
(仮称)ニッセイロジスティクスセンター横浜町田近郊図

・ニッセイロジスティクスセンター大阪松原
所在地:大阪府松原市大堀
敷地面積:2万6558m2
延床面積:1期建物1万8311m2、2期建物3万4833m2
構造規模:柱鉄筋コンクリート造、梁鉄骨造、地上4階建
竣工予定:1期建物2016年8月、2期建物2018年7月
<ニッセイロジスティクスセンター大阪松原広域図>
ニッセイロジスティクスセンター大阪松原広域図

<ニッセイロジスティクスセンター大阪松原近郊図>
ニッセイロジスティクスセンター大阪松原近郊図

・(仮称)ニッセイロジスティクスセンター東大阪
所在地:東大阪市箕輪3-2-21
地主:タカラスタンダード
敷地面積:1万7304m2
延床面積:3万8645m2
構造規模:柱鉄筋コンクリート造、梁鉄骨造、地上4階建
<(仮称)ニッセイロジスティクスセンター東大阪広域図>
(仮称)ニッセイロジスティクスセンター東大阪広域図

<(仮称)ニッセイロジスティクスセンター東大阪近郊図>

■問い合わせ
日本生命 
不動産部
担当:荻野
ogino22740@nissay.co.jp

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