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ファーストリテイリングは、2018年春夏商品から全商品を対象にRFID(radio frequency identifier)タグの貼付を開始した。
RFIDタグは、商品の色柄・大きさ・価格・製造時期・素材などさまざな商品情報を埋め込んだもので、電波などを用いた近距離の無線通信によって、商品に直接、触れることなく商品情報を認識できる特徴を持っている。
今回、ユニクロ、ジーユーのほか、セオリーなどすべてのグループブランド商品を対象にRFIDを導入した。RFIDを導入することで、商品の検品、入荷、在庫管理、棚卸、販売などすべての過程の効率化を目指す。
ファーストリテイリングは、マテハン機器大手のダイフクと戦略的グローバルパートナーシップを締結し、物流倉庫の超省人化を進めており、物流においてもRFIDをフル活用している。
RFIDの導入コストや具体的なコスト削減効果については、公表していないが、検品、商品管理、出荷、棚卸といった人手がかかる作業を飛躍的に効率化している。
商品の入荷では、これまでの段ボールでの納品を折り畳み式コンテナ(オリコン)による納品に一新した。
中国など生産国から日本へ商品を発送する段階で、RFIDを貼付し、日本国内に商品をオリコンに詰め替える集中拠点を設けた。
オリコンに商品を詰めることで、国内物流センターに入庫してから出庫するまでの商品管理を一つのオリコンで対応する。
段ボールは荷姿や大きさが異なるが、オリコンは大きさが統一できるため、荷姿を統一することができる。
今回、オリコンの大きさに合わせて、物流センターに入荷した商品をコンベアに載せる「自動入庫荷下ろし機」を開発した。
有明倉庫では、商品の入荷から出荷までを一貫して一つのオリコンで管理しており、オリコンに入った商品を自動検品機で検品し、自動保管倉庫で保管し、自動出庫倉庫から商品を出荷し、人手によりピッキング作業を行う。
人の作業はピッキング作業のみで、年内を目途にピッキング作業も自動化する計画だ。
自動製函機で作られた函にピッキングした商品を詰めたのち、自動封函機で、商品の容量に合わせた高さで配送箱の封をして、方面別仕分けソーターを通じて、配送トラックへ運ばれる仕組みを確立した。
<ユニクロでのRFIDの活用>
出典:ファーストリテイリング2018年8月期決算説明資料
ファーストリテイリンググループでは現在、年間で13億着の服を生産している。世界の年間の服の製造数は約800億枚といわれており、世界シェアの1.6%を生産している。
このすべての商品に生産段階からRFIDをつけることで、生産、物流、販売のすべての過程の効率化を図る。
現在、RFIDタグのコストは1枚あたり10円程度が相場となっている。ファーストリテイリングは、具体的なコストを発表していないが、価格的に優位性のあるコストを実現したため、本格投入した。
RFIDタグは、商品に貼付しており、購入したお客が持ち帰る運営を採用した。RFIDタグを回収するには、お客の協力が必要なほか、タグの再利用工程や生産拠点への再送といったコストが発生するため、RFIDを再利用する予定はないという。
現状の課題として、どの商品が、どのぐらい作り終わっているのか、作られた商品が、いつ、いくつ工場から倉庫に届くのか、どこの倉庫にどれだけの商品があるのか、倉庫を出た商品が、いつ、いくつ、どの倉庫から店舗に届くのか、店舗では、売場とバックヤードに、どれだけの商品があるのかといったことが、完全に把握できていなかった。
RFIDを全商品に付けることで、どこにどれだけの商品があるのかを、瞬時に正しく把握することができるようになった。
在庫情報を、各領域超えて共有することができるようになるため、サプライチェーン全領域で完全連動したSKU管理を実現できる体制が整ったという。
ファーストリテイリングは日本国内で、EC用倉庫4拠点、店舗用倉庫9拠点、合計13拠点を展開している。今後、順次、国内の倉庫を有明倉庫と同様に自動化する計画だ。
同社では、現在、関西に有明倉庫の規模を超える物流センターの新設を計画しており、関西の新センターではユニクロのほか、ジーユー、セオリーなどグループブランド商品も一括で取り扱うことを検討しているという。
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