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自社Pay導入で売上・客数アップ/流通・システム・金融のプロが支援

2023年03月30日 17:00 / 流通最前線テクノロジーズ

自社の顧客囲い込みによる売上アップ、レジ業務の負担低減、決済手数料の削減効果などから、自社型コード決済(以下:自社Pay)に注目が集まっている。しかし、顧客に提供するための全体サービス設計からサービス導入までに関わるシステム構築、金融サービスに関するノウハウの欠如から、自社Pay採用に二の足を踏む企業もあると考えられる。そのような企業の悩みに応えるために、インコム・ジャパンとインフキュリオンは、タッグを組んだ。流通業を長年支援しているインコム・ジャパンはサービス設計からPOSのシステム対応を行い、インフキュリオンがスマホ決済プラットフォーム「Wallet Station」を提供することで、自社Pay導入の支援をしている。それらのサービスを提供する両社の戦略について聞いた。

自社Pay導入で売上・客数アップ/流通・システム・金融のプロが支援

自社Pay導入で売上向上・決済手数料削減

クレジットカードを筆頭としたキャッシュレス決済は、現金を持たないユーザーを取り込むという点では、メリットが大きい。しかし、決済手数料がかかり、キャッシュレス比率が高まると、さらにコスト高となる課題がある。しかも、流通業からするとキャッシュレス決済による支払い情報と顧客情報は切り離されてしまうため、購入者の詳細などを知ることができない。

その点、自社Payは、自社アプリに決済機能を組み込むことで、マーケティング‧販促から決済までの流れを独自に構築でき、外部への決済手数料も大幅に削減できる。

<自社Payにはさまざまなメリットがある>
自社Payにはさまざまなメリット

決済(購買)データを活用することで、マーケティングの精度向上を見込める。顧客情報を分析し、顧客単価や来店頻度の向上による売上アップも期待できる。キャッシュレス決済のためレジで現金を扱う必要がなく、レジ業務の負担が削減。利用者だけでなく、レジを担当するスタッフの業務負荷を低減できる。このように自社Payには、導入企業の決済面でのコスト削減にとどまらず、売上・客数増、スタッフの業務負荷削減、金融など新規サービス提供による顧客の囲い込みなどさまざまな効果が見込める。

自社アプリ開発と決済機能の追加でユーザーストレスが増えると心配する企業もあるが、ポイントカードをたくさん持ち、さまざまなポイント、クーポンなどを生活者が使っている現状を見ると、ワンストップで決済やポイント付与を完結できる自社Payが支持される可能性は高い。

また、自社アプリに決済機能を搭載すると、アプリの稼働率向上が見込める。アプリの稼働率が高まれば、クーポンの開封率、広告の閲覧率もアップすることが期待でき、アプリへのメーカーからの広告出稿も収益源として考えられる。

さらに、アプリに自社Payによる決済機能を搭載し、⾃社アプリ内でユーザーの決済⾏動が習慣化していくと、少額ローン、保険、目的別貯金といった金融サービスも展開でき、新しい収益機会をつくることにもなる。このような自社Payによる顧客の囲い込みで、売上増、客数増につながることが期待される。

自社Pay導入のハードルを下げる

自社Pay導入によって、顧客利便性、現場の負担削減、自社の売上増といった貢献が見込まれるが、キャッシュレス決済導入に必要なPOSシステムなどの改修、自社アプリに決済機能を追加するためのアプリのバージョンアップ、金融関連の法令義務対応などの専門知識が必要であり、導入のハードルが高いと思う企業も少なくない。

そこで、流通業にPOSAカード、QRコード決済のシステムをトップシェアで提供してきたインコム・ジャパンとスマホ決済プラットフォーム「Wallet Station」を提供するインフキュリオンは、自社Pay立ち上げを支援する取り組みを開始した。これにより自社Payを検討している導入企業の負担を軽減し、迅速に自社Payを稼働開始できるという。

インコム・ジャパンは、POSAカード、QRコード決済のシステム提供など、流通小売業向けサービスの長年の経験とノウハウを持つ。同社は、コンビニや家電量販店、ドラッグストアなど業界大手流通小売業との取引実績があり、流通小売業界を熟知したシステム会社だ。

<自社Pay導入を支援すると天賀谷氏>
自社Pay導入を一気通貫で支援と天賀谷氏

インコム・ジャパン 金融事業部門 営業部の天賀谷 通明シニア・マネージャーは「自社Pay導入には、POSの改修、各種バーコード決済を多数取り扱うことは流通小売業の悩みだと思います。当社はPOSAカード、QRコード決済のシステム提供で、流通小売業界における長年の実績とノウハウがあります」としている。

インコム・ジャパンは、2008年に創業、西友にiTunes Cardを導入し、POSA事業を日本で開始した。2010年、コンビニにてPOSAカード販売スタートした。現在POSAカードの販売店は約6万2000店(2023年1月時点)、1000種類以上のカードを流通させている。

2017年には、QRコード決済の流通小売業向けシステムの提供をスタートした。同社は、流通小売業のPOSレジにシステム接続し、QRコード決済事業者に決済データ(取引電文)を中継している。POSシステムとの接続だけでなく、売上代金の精算、販促サポート、コールセンター対応など、流通小売業のニーズに応えるサービスを一括提供している。

インフキュリオン BaaSプラットフォーム事業部ビジネス開発部の伊與隆博部長は、「自社のアプリに、自社Payによる決済機能を最短6カ月程度で搭載できます。金融関係の届出も不要で提供できるので、自社に金融子会社を持たなくても対応可能です。同じような条件下で、大手ドラッグストアチェーンでも採用されました」と意気込む。

<流通・システム・金融のノウハウを提供と伊與氏>
流通・システム・金融のノウハウを提供と伊與氏

<自社Pay導入による売上向上など本気で提案と村上氏>
自社Pay導入による売上向上など本気で提案と村上氏

インコム・ジャパン 金融事業部門 営業部 村上 周一シニア・マネージャーは「我々は、取引先にシステムを採用いただくことだけが仕事だと思っていません。お客様の困りごとをお聞きすることから、他社システムの不具合の相談に乗ることもあります。自社Payのためのシステム構築から、自社Payを活用したクーポン配信、自社ポイント付与などアプリの稼働率高まる施策や、売上向上のためのメーカー協賛キャンペーンまでサポートできます。自社Pay導入が、売上・客数アップなど本業にいかに貢献するか。本気になって提案させていただきます」と意気込む。

伊與氏は「汎用型のキャッシュレス決済と比べて、自社Payは、決済手数料を低く抑えることが可能です。売上1000億円規模、キャッシュレス比率60%、自社Payの決済比率が20%まで成長した場合、販管費として2億円ユーザー還元(1%)しても約1億円の削減効果が見込めます。キャッシュレスの普及が進むほど、手数料削減効果‧販促効果はさらに大きくなります」と力強く語った。自社Pay導入によるDX支援と伊與氏

<POSAカード前での集合写真>
2社の協業で自社Pay導入によるDXを支援

■インフキュリオン BaaSプラットフォーム事業部 ビジネス開発部 部長 伊與 隆博氏略歴
2004年:関西大学社会学部卒業
2004年:クレディセゾン入社。流通小売との提携カードの営業推進、Webサービス企画などに従事
2020年:インフキュリオン入社。金融機関等の自社Pay立ち上げ、クライアント支援、企画営業を担当
2022年:インフキュリオン ビジネス開発部 部長(現職)。Embedded Finance(組み込み金融)全般のソリューション営業を推進中

■インコム・ジャパン 金融事業部門 営業部 シニア・マネージャー 天賀谷 通明氏略歴
2005年:立教大学文学部卒業
2005年:伊藤忠リーテイルリンク入社。映像・音楽パッケージソフトの卸販売に従事
2012年:インコム・ジャパン入社。POSAカード発行事業/流通への導入・企画提案/運用設計を担う
2022年:12月より金融事業部に異動。自社Pay・マーケティング事業を担当

■インコム・ジャパン 金融事業部門 営業部 シニア・マネージャー 村上 周一氏略歴
2009年:早稲田大学大学院修了
2009年:NTTデータ入社。決済インフラの開発および営業を担う
2018年:セールスフォース・ジャパン入社。CRMおよびMAのコンサルティングセールスに従事
2020年:インコム・ジャパン入社。EC決済及びマーケティング事業の立ち上げを行う

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