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回転寿司みさき/「赤シャリ」リニューアル、高級店グレードで事業黒字化目指す

2023年10月02日 16:20 / 商品

FOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)傘下の京樽が展開する「回転寿司みさき」は10月2日、都内の店舗で商品発表会を開催し、グレードアップした特製「赤シャリ」を発表した。
高級寿司店で提供されることが多い赤シャリは、江戸前寿司伝統の酒粕を醸造した赤酢と米を混ぜ合わせてつくる、赤く色づいたシャリのこと。一般的なシャリと異なり、まろやかな酸味とコクがあることが特長となる。

<特製赤シャリの紹介>

堀江陽社長は、「元々、京樽で運営していた『海鮮三崎港』をリブランディングして『回転寿司みさき』にしたことで、外側は変わった。そして、中に関して、いろんな取り組みをする中で見つけたのが、赤シャリだった。『みさきと言えば、赤シャリだよね。赤シャリ食べるならみさきに行こう』と言われる店を目指して、これを全面に押し出して戦っていきたい」と赤シャリリニューアルの狙いを語った。

<堀江社長>

京樽では、2021年11月19日から順次、回転寿司「海鮮三崎港」のリニューアルを実施し、「回転寿司みさき」に一新している。京樽が2021年4月にF&LC傘下になったことを機に開始した施策で、F&LCの“食材調達力”と“商品開発力”に、「海鮮三崎港」の“職人の技”を掛け合わせた商品で差別化を図っている。

堀江社長は、「やはりF&LCグループのみさきとして、シナジーを生まないといけない。そこでグループの調達力を生かしながら、『うまいすし』を表現する。でも『ネタがスシローと同じだと、何が違うの?』とお客様に言われるので、シャリを変えた。また、『同じネタを使っても、こんなにも違うの?』というような、みさきの職人ならではの、ひと手間を加えることで、グループのシナジーを生かす。同じフィールドで戦って、スシローだけには負けたくないという想いもあり、しっかりとうまさを表現したい」と述べた。

<赤シャリと白シャリ>

「すしの旨さは、まだまだこんなものじゃない。リーズナブルな回転寿司でも、もっと旨いすしが作れるはずだ」という想いから、高級寿司店で提供されることが多い赤シャリを使った寿司が生まれた。今回、「回転寿司みさき」では、2年以上熟成させた酒粕を使用した赤酢を独自の配合でブレンドし、ネタの旨味を引き立てるように試行錯誤したという。

<提供商品の一例>

2022年12月に初めて赤シャリを使ったキャンペーンとして「天然魚×赤シャリフェア」を開催。顧客から好評だっただけでなく、寿司を握る職人からも「寿司が握りやすい」と好評だったため、2023年3月から、回転寿司みさき全店舗に、赤シャリをリニューアルして導入した。10月から、シャリに加える赤酢の割合の増量を行い、赤シャリのさらなる改良を実施した。

さらに、シャリの旨さを感じてもらうために重要なポイントであるシャリの温度にも徹底的にこだわりった。そのため、寿司を、口の中でのほどけが良く、魚の脂がとけやすくなることでネタをよりいっそう美味しく味わえる「人肌」で提供する。2年以上熟成させた酒粕を原料とした赤酢は、熟成期間を設けることで酒粕由来の華やかな香りに加えて、バルサミコのような熟成香が増えて風味が良くなる。さらに、赤酢は独自のブレンドを行うことで、コクとまろやかさが加わり、ネタの旨味を引き立たせ、より本格的な寿司へとパワーアップしたという。

<絶品まぐろ>

赤シャリのリニューアルに合わせて、今回、年間で1回か、2回しか販売することができない、アイルランド産の天然本マグロを使用した「絶品本まぐろ」を用意した。赤シャリに一番あうネタとして、アイルランド産の天然本マグロを訴求する。10月2日~8日は、週替わりでお得なネタを提供する「週得祭」のメニューとして「絶品本まぐろ」を投入。「本まぐろ三貫盛」通常価格税込760円を700円で販売する。

<本まぐろ三貫盛を紹介する堀江社長>

2023年9月期第3四半期の京樽事業の売上収益は184億2300万円(前年同期比14.7%増)、営業損失は5億6600万円(前期は14億8900万円の営業損失)だった。

2022年4月1日から京樽の社長に就任した堀江社長は、就任1年半を振り返り、「就任当初は、営業利益もマイナスで厳しい中でのバトンタッチだった。だが、ようやく今年の第三四半期は、増収増益に転じた。この赤シャリも業績に寄与していると思う。しっかり業績が数字に出せると新しいことにチャレンジできる。この1年半で、ここまでもってこれたと思う」と業績を総括した。

<回転寿司みさき三軒茶屋東急ストア>

今後の出店については、都市部での出店を強化する。現在、京樽ではイートイン業態として、「すしみさき」「立ち食い寿司みさき」「すしのみさきや」を中心に出店している。「すし三崎丸」は順次、「すしみさき」にリニューアルしている。

全業態とも職人が寿司を握るのが特長で、寿司ロボットを導入する回転寿司との差別化を図っている。レギュラー業態は「すしみさき」で、一貫99円 (税込)からという価格で、特別仕様の赤酢をつかった本格的な握りを提供する。刺身や一品料理も豊富に展開する。

「立ち食い寿司みさき」は2022年11月に開店した新業態で、現在は「新宿京王モール」1店のみ。回転レーンはなく、職人が握る本格的な「赤シャリ」の寿司を、すべて一貫から、リーズナブルな値段で提供する。「すしのみさきや」は、商業施設内の出店を意識した業態で、回転レーンはなく、年配の客層を狙った業態として展開。9月29日に、横浜スカイビルに1号店をオープンした。

堀江社長は、「いわゆる回転寿司のほか、立ち食い寿司、回転しないお寿司屋さんといった業態を含めて出店することで、都市部でしっかりと足場固めをしたい。また、スシローがすでに進出している海外では、食材のネットワークができあがっているため、進出しやすい。これだけ旨い寿司ができあがったので、海外進出も目標にしている」と今後の出店計画を語った。

2023年9月期第2四半期末の京樽の店舗数は、テイクアウト業態「京樽ブランド」117店(前年同期比7店減)、レストラン業態「みさきブランド」99店(4店減)だった。

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