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イトーヨーカドー/アダストリア協業「ファウンドグッド」64店舗で展開

2024年04月24日 17:49 / 商品

イトーヨーカ堂は4月24日、アダストリアが企画、開発、生産したブランドである「FOUND GOOD」を7月までにイトーヨーカドー64店舗で本格展開を開始すると発表した。

<ファウンドグッド>

イトーヨーカドー執行役員の梅津尚宏専門店事業部長(写真右)は、「イトーヨーカ堂は、食を中心に今後の成長戦略を描いている。その成長戦略をサポートするのがファウンドグッドの位置付けとなる。イトーヨーカ堂全体の課題として、人口動態から見ても比較的高齢者のお客様が多いという課題があり、40代のお客様がとれていない。ここをファウンドグッドを立ち上げることで改善する」と新しい売場の狙いを解説した。

アダストリア執行役員の小林千晃ビジネスプロデュース本部長(写真左)は、「イトーヨーカ堂はデイリー商品の商品力、食品から波及したまとめ買いの機会の創出、安心・安全といった強みを持っている。一方で、アダストリアは30代から40代の新しいライフスタイル層のお客様を得意としている。中でも、ライフスタイルの提案に服飾雑貨を含めたライフスタイルブランドに強い。そして、接客ノウハウもあり、それらを掛け合わせると、新しいGMS(総合スーパー)を作れると思っていた」とファウンドグッド開始の経緯を紹介した。

<メインディスプレイ>

新ブランド「FOUND GOOD」は、アダストリアが企画開発、生産した商品をイトーヨーカドーに商品供給するもので、売場での商品陳列の提案や販売促進の媒体物、SNSを含むマーケティングをアダストリアが担当し、イトーヨーカドーは商品の販売、発注量の確認や調整を担う。商品はメンズ・レディース・キッズ向けにファミリーコーディネートが可能な衣料品と生活雑貨を扱っており、売場スペースは、店舗により約330.58m2・495.87m2・661.16m2・991.73m2の4パターンの展開種類がある。また、生活雑貨の一部商品は、セブン&アイグループの「SIPストア」での販売も予定しており、従来のモノ的利便性提供のCVS機能に加えて、楽しさ、ワクワクなど新たな魅力を提供する。

<定番ディスプレイ>

2月から導入を開始した「FOUND GOOD」の店舗は4月24日時点で、47店舗までに計画通りに拡大している。先行導入している店舗では、30代・40代の年代層の利用割合が増加する店舗利用客層の変化が起こっており、坪効率、売場利益改善面でも改善傾向がみられる。

<レディス売場>

導入店舗では、30~40代の顧客が全店で増加し、さらなる認知拡大に向けて取り組みを強化している。また、全店でアパレル購入客の約7~8割が食品を購入している。全店でアパレルと食品を同時購入する顧客の購入金額は、店舗平均の約2倍となった。そのため、ファウンドグッドを導入することで、食品を中心に館全体の売上が拡大することが確認できた。新規顧客のほか、現状では食品のみを購入する顧客がファウンドグッドの商品を購入することで、イトーヨーカドー全体の売上アップにつながっているという。

<メンズ売場>

ファウンドグッドのモデル店である木場店では、アパレルの客数が改装前比40%増と非常に大きく伸びた。40%の中身を見ると、過去1年間イトーヨーカドーで全く買い物していなかった顧客が購入した割合は12.4%だった。そのうち、完全新規客は10.5%、改装前は食品のみを購入した顧客は1.9%だった。

<キッズ売場>

木場店でアパレルと食品を同時に購入するお客は改装前比で40%増加。アパレル顧客のうち約82%が食品を中心に買い回りしていることがわかった。

<生活雑貨売場>

ファウンドグッドを導入した定性的な効果として、梅津部長は、「接客という部分をアダストリアと取り組むことによって、変えることができた。店舗の販売員が非常に、楽しくアパレルビジネスに取り組めるようになった」と述べた。

アダストリアをパートナーとして選定した理由については、「アパレル撤退が発表される前の1年半ぐらい前からアダストリアとは打ち合わせをしてきた。急に大きな売場を任せるのは難しいので、お互いに情報交換をして理解を深めた。64店舗全てをアダストリアに見てもらい、どういった仕事の仕方、マーチャンダイジングの組み立て方をするのか、お互いにすり合わせた。30代、40代といった我々が取れていないお客様を、しっかり獲得できる可能性を確認した上で、取り組み先を決定した」と説明した。

<バッグ>

アダストリアは、イトーヨーカ堂との取り組みに先行して、中国・四国・九州を中心にGMS・SMを展開するイズミとの協業として、レディスアパレル「SHUCA(シュカ)」を展開している。ファウンドグッドとシュカの違いについて、小林本部長は、「イズミから卸売形態を開始したが、まず、売場面積が全く違う。イズミは約50m2から約80m2で、アイテム数が限られている。我々が提供する12のテイストのうち、シュカには2~4ぐらいしか入っていない。商品構成はGMSの属性から考えるとそれほど変わっていないが、婦人服がベースになっている。ファウンドグッドとは、アイテムは全く違うものを展開している。また、ファウンドグッドのデザイナー、企画ディレクターの人数も多くなっている」と解説した。

<ビジネスウェア>

イトーヨーカ堂は、肌着の商品開発部門は残すが、その他の衣料品開発部門からは撤退する。ただし、顧客から支持が高く2010年からクロスプラスと業務提携した婦人服ブランド「GALLORIA(ギャローリア)」、伊藤忠商事と共同で展開している紳士服ブランド「Kent(ケント)」については、取引先が引き続き、商品企画・開発を継続し、イトーヨーカ堂への商品供給を継続することでブランドとしては存続する。

<シューズ>

梅津部長は、「ファウンドグッドは、従来のアパレルのテナントと異なり、フランチャイズに近いような取り組みとなっている。売場スペースも我々が、ここで展開して欲しいと伝えながらできる点が、従来のテナントとは違う。ギャローリア、ケントといった従来のお客様から支持をいただいているブランドも継続するため、お客様の買い物体験からすると、直営売場での買い物体験とあまり変わらず、食をサポートするような売場ができる。ワンストップショッピングの利便性を維持できる」と語っている。

今後、イトーヨーカドーは、シナジーと運営効率の最大化を目指し、利益成長を可能とする収益構造の実現に向け、スピード感を持って取り組むという。

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