イトーヨーカドー/ネットスーパー再始動、ONIGOとの新サービス25年2月開始
2024年12月05日 16:01 / 経営
イトーヨーカ堂は12月5日、新たなネットスーパー「ONIGO上のイトーヨーカドーネットスーパー」をイトーヨーカドー83店舗、ヨーク10店舗で、2025年2月から提供開始すると発表した。
イトーヨーカドーの商品調達力とこれまで培ったデリバリーサービスのノウハウに、ONIGOが持つクイックコマースのシステムや事業開発力を組み合わせるもの。イトーヨーカ堂は、25年2月に既存のネットスーパー事業から撤退するが、同時期にONIGOとの新事業を開始する。両社で新型ネットスーパーの共同運営を行う。
ONIGOとの協業は2022年3月にスタート。約2年間かけて事業性の確認を行った。今回、顧客の多様化するデリバリーニーズに対応することを目的に、11月27日付でONIGOとの資本業務提携に基本合意した。この合意により、品ぞろえ数を9000品目まで拡充。加えて、野菜や肉、豆腐・牛乳など鮮食品を中心に主要2000品目を値下げする。新サービスでは、即配オプションを追加して最短40分での配送を実現するほか、決済方法の拡充などサービス面も強化していく。
イトーヨーカ堂の伊藤弘雅 商品本部長は「これまでのネットスーパーサービスと切り替わる形でスタートする。ONIGOにピッキング、配送、システムを担当して頂き、我々が店舗から商品を供給するスキームだ。我々の強みは店舗がお客様の身近にあることだが、一方でギグワーカーとの連携などシステム面では弱い。ONIGOの力を借りて、1社では解決できないことに取り組む。
2023年にネットスーパー専用の物流拠点を設けたが、センター化によって鮮度の短い商品など扱える商品が少なくなった。その後、センター型のネットスーパーを止める苦渋の決断をしたが、お客様から事業継続を希望する声が多かった。これまでのサービスを基礎商圏のお客様に対して提供し続けることが大事だ」と説明した。
ONIGOの梅下直也 代表取締役は「誰もが日常使いできる新サービスとなる。一番重要なのは生鮮・即食品だ。自動倉庫で扱いづらいアイテムをしっかり強める。生鮮をちょっとでも高く買うのはお客様のストレスを生む。今回の取組で店頭価格を実現できるのは我々にとってもありがたい。
品ぞろえを圧倒的に増やすことでニーズに応え、売上が伸びることは実証実験で分かっている。大手の持つサプライチェーンは我々スタートアップにはない。アカチャンホンポなどの商品も用意できるのはGMSの強み。イトーヨーカドーならではの品ぞろえで利便性に応えていく」と述べた。
なお物流面でONIGOは、さまざまな配送パートナーと提携している。自社アプリでピッキング業務を一元化し、生産性を向上。自社配送員のみならずギグワーカーも併用している。配送管理システムを通じて日中需要のアップダウンに対応し、配送コストをコントロールすることが可能だ。
新サービス「ONIGO上のイトーヨーカドーネットスーパー」は、注文した商品を店舗から出荷する。通常配送では最短70分、即配オプション(別途手数料220円加算)を利用した配送では最短40分で配送可能。1時間単位での配送枠の時間指定が可能になり、待ち時間を短縮する。当日だけではなく、翌日、翌々日までの注文が可能だ。
また、主要2000品目の値下げについては、新サービス実装に先駆けて、現在のONIGOサービスでも12月7日から価格改定する。新サービス実装時に、新規WEBサイト、アプリを用意する。
新サービスでは、ネットスーパーの優良顧客の囲い込み数を最大化する商品・価格戦略をベースとしながら、配送エリアの最適化・オペレーションの最適化でコストをコントロールして採算を確保するという。
競合との差別化を推進し、まずは生鮮・総菜・即食商品の品ぞろえを徹底していく。ヨーカドーとONIGO両社のデータ連携による在庫把握精度を改善し、欠品時には代替提案機能で商品在庫力を強化する。総菜・即食品のオンデマンド製造も検討している。日用品も強化し、ザ・ガーデン自由が丘やアカチャンホンポなどGMS専用商品も増やしたい考えだ。
今後について伊藤本部長は「ネットスーパーのみならず新しいサービスの構想も進めている。介護や医薬品、ハードルはたくさんあるが、新しい場所にデリバリー事業を広げたい。店頭だけではカバーしきれない顧客ニーズに応えていく。商品価値を伝えるという意味でもリテールメディアに取り組む。店頭よりアプリの方が伝えられる価値もある」と話す。
アプリ内には従来のネットスーパー機能のみならず、医薬品、専門店の商品、ネット専用商品も増やし、リテールメディアとしての機能も持たせる予定。サービス提供に向けて、ヨーカドー社内には「新デリバリープロジェクト」を発足した。
アプリに追加する機能について、新デリバリープロジェクトの望月洋志 プロジェクトリーダーは「具体的には協議中。どういう形にするかはこれから検討していく。これまでの我々のチャレンジを踏まえ、専用アプリに盛り込んでいきたい。通常のONIGOとは異なる機能を入れる」と語った。
■ONIGO上のイトーヨーカドーネットスーパー
サービス開始日:2025年2月開始
取扱店舗数:イトーヨーカドー83店舗、ヨーク10店舗
取扱商品数:約8000~9000商品(店舗により取扱商品が異なる)
配送料:買上金額税込6000円以上の場合は送料330円、買上金額5001円~6000円未満の場合は送料490円。5000円未満の場合は少額手数料490円加算
即配オプション:即配手数料220円
決済方法:クレジットカード、代引き、Apple Pay、Google Pay、PayPay、d払い
配送時間:注文日から翌々日までの11時~20時までの1時間枠で配達(一部店舗は11時~22時の1時間枠で配送)
WEBサイト:PC版/スマホ版(開発中)
スマホアプリ:iOS版/Android版(開発中)
取材・執筆 古川勝平
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