流通・卸12社連携/インアゴーラが中国向け越境ECの新流通システム提供
2017年11月22日 20:00 / EC
日本商品に特化した中国消費者向け越境ECプラットフォーム「豌豆プラットフォーム」を運営する Inagora(インアゴーラ)は、日中間における新しい商品流通システム「Wonder Japan Cross Border Syndication(ワンダー ジャパン クロスボーダー シンジケーション)」を2018年7月に本格稼働させる。
「ワンダー ジャパン クロスボーダー シンジケーション」は、日本企業が越境ECを行う上で必要となる、商品マスター・通関データベース・新商品情報といった情報基盤、商流・物流といったビジネス基盤、マーケティング基盤をプラットフォーム化し、越境ECを総合的にサポートする流通システム。
<ワンダー ジャパン クロスボーダー シンジケーション イメージ>
同社はこのシステムを、この構想に賛同している大手流通・卸と事業化検討のワークグループを組織し、共同で事業化を進める。
2017年11月~2018年2月、日本メーカーが同システムに求めるものなどを共同でヒアリングし、システムを構築。2018年4月にテスト稼働させることを予定している。
現時点ではあらた、伊藤忠食品、大木、加藤産業、国分首都圏、全農パールライス、中央物産、ときわ商会、日本アクセス、日本酒類販売、ピップ、三菱食品が賛同している。
11月22日に行われた記者会見で、翁 永飆(おう えいひょう)社長は、「日中越境ECでは、日本のように、メーカーと小売事業者をつなぐ、中間流通が存在しないため、日本企業から小売、小売から日本企業への双方向の情報の流れが分断されている」と説明。
「商流も多数のブローカーの介在によって不透明で、中国市場では爆買商品など、ある特定の商品に対する需要が突発的に発生することがあり、日本企業は効率的に生産計画を立てることが困難に感じている。各販売チャンネルの実売データや、消費者購買行動がフィードバックされず、日本企業が的確なマーケティング活動を行うことが難しかったが、新システムは商品情報の整備、商流、通関・物流、マーケティングまで一気通貫でサポートできる」と話した。
新システムでは、インアゴーラが既に持つ4万点の日本商品の情報を応用し、大手流通・卸と共同で新たな商品情報を追加・更新し商品マスターに加える。これに、インアゴーラがこれまで培った越境ECのノウハウを活かし、商品の訴求ポイントや販促情報、利用シーンなどのコンテンツを統合し、 商品マスターを作成。
これらの商品マスター情報を日本企業の許諾を得た上で、中国の販売チャンネルに開放することによって、正確な商品情報の流通が可能となり、より幅広い商品が中国市場に正しく認知され、潜在ニーズの掘り起こしや販売促進へと繋げる。
中国に商品を配送するモデルには、海外から直接配送する直輸モデル、保税区倉庫から配送する保税区モデル、一般貿易にならった一般貿易モデルがあり、各モデルの通関で必要となる書類が大きく異なる。
中国政府による通関に関わる政策や通達は頻繁に変わるため、管理が煩雑で非効率な上に、高い専門性を要する。新システムの「通関データベース」は、各配送モデルで必要となる書類を明確化し通関データベースを構築し、一度登録した通関データは日本企業の許諾の範囲内で整備することによって、中国の販売チャンネルが再利用できる環境を整える。
さらに、日本企業の新商品リリース情報や、モデルチェンジ、リニューアルなどの情報を、中国消費者が商品を購入する際に大きな影響力を持つSNSメディアやKOL(Key Opinion Leader)メディアなど中国の販売チャンネルに発信することも支援する。
また、インアゴーラが日本の大手流通・卸とシステム連携している経済産業省推奨の共通規格・流通BMSと、インアゴーラが中国の販売チャンネルとシステム連携しているAPIの双方のベースを活かし、 日本企業と中国の販売チャンネルをシステム連携。
これにより、日中間でのスムーズで正確な受発注、各販売チャンネルの受注データに基づく販売予測が可能となり、これまで難しかった予約発注が実現するという。
同社が所有する越境ECに関わる整備された物流のノウハウを、各販売チャンネルにも利用できるようにし、SNSメディアはインアゴーラ倉庫にある在庫商品をバーチャル在庫として販売することが可能。情報、流通面のみならず、物流面からも越境ECをサポートする。
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