アンドエスティ/自社ECモールにユナイテッドアローズなど他社ブランドが続々出店

2025年10月15日 15:45 / EC

アンドエスティHD(旧アダストリア)グループのアンドエスティは、運営する自社ECモール「and ST(アンドエスティ)」で外部ブランドの出店を進めている。10月15日にはユナイテッドアローズ(UA)の「BEAUTY&YOUTH」が出店。競合するアパレルブランド同士で相乗効果を生み出す売場を目指す。

<都内で戦略発表会を開催>
「『and ST』VISION CONFERENCE 2025」の様子

アンドエスティHDは10月15日、都内で戦略発表会「『and ST』VISION CONFERENCE 2025」を開催。

木村治社長は「国内アパレル市場は少子高齢化が急激に進み、成熟市場になっていく。『and ST』の共通プラットフォームを通じて業界内外のいろいろなブランドとつながることで、新しい共創モデルを作っていけると確信している。競合他社と組むことで1社では作れない世界観や体験価値をお客様に提供できる」と狙いを述べた。

同社はオープン化を掲げ、今期から外部ブランドの誘致を強化している。今上期末(8月末)時点で、グループ外ブランドは37ショップが出店。アパレルに加え、アクセサリー、アウトドア、食品などカテゴリーもさまざまだ。

9月24日にはニューバランスジャパンが出店。10月にはUAの「BEAUTY&YOUTH」に加え、22日にICLが運営する「Afternoon Tea LIVING(アフタヌーンティー・リビング)」、29日にはジュンの「ADAM ET ROPE(アダム エ ロぺ)」「SALON adam et rope(サロン アダム エ ロぺ)」「ROPE PICNIC(ロペピクニック)」「VIS(ビス)」「EPOR(エポール)」の5ブランドが販売を始める。

<木村治社長>
木村治社長

こうした外部ブランドの出店促進に向け「この1年はトップ営業をして仲間を増やしている」と、木村社長自身が動いて出店を呼びかけている。国内アパレル市場が縮小する中で、他社と連携を進めながら、新たな売場を創出していく。

「マーケットが10兆円規模の時代は終わり、今は8兆円まで下がり、もっと縮小していく。もはや利益を独占する時代は終わったと感じている。今後は業界で利益をシェアしながら盛り上げていく。これが『and ST』の根本にある考え」(木村社長)。

<UAの岩井一紘氏>
UAの岩井一紘氏

外部ブランド側としては、競合である他社の売場に出店するメリットはどこにあるのか。

UAは、アンドエスティHDグループが持つリアルの店舗とスタッフを魅力に挙げる。同社OMO本部の岩井一紘本部長は「アンドエスティの国内1400の店舗は他のECモールにはない強み。我々が出店できていないところにも出店している。ここは大きなポテンシャル。店舗に在籍しているスタッフによる発信も、新たな価値提供になる。そうした点も期待している」と述べる。

<ジュンの渡辺明利専務>
ジュンの渡辺明利専務

ECとリアル店舗共通の会員制度「and ST」会員は直近で約2100万人にのぼる。こうした会員基盤にリーチできるのも外部ブランドにとっては惹かれるポイント。

ジュンの渡辺明利専務は「2100万人の会員数は魅力的に感じている。ジュンはキレイめのフレンチカジュアルが強く、アンドエスティはカジュアルが強い。双方の強みが異なるので、相乗効果を出していければいい」と期待を寄せる。

UAも「2000万を超える会員の母数は魅力。我々が課題としている20代へのアプローチはアンドエスティが強いところ。その意味では『and ST』の会員基盤にはすごく期待している」(岩井氏)とする。

アンドエスティでは、ユーザーの利便性向上にも取り組んでいる。これまでの「and ST」ポイントとdポイントの連携に加え、9月から楽天ポイントとも連携。1カ月で55万件が「and ST」ポイントと楽天ポイントを連携しているという。

さらにデジタルバンクの「みんな銀行」に「and ST支店」をオープンし、10月27日から口座開設を始める。ECでの決済は来春実装を予定。また、12月からは自社クレジットカード「and ST CARD」の発行も始める方針で、グループの店舗やECで買い物をするとポイントを2%付与する。

アンドエスティHDでは今期(2026年2月期)から5カ年の「中期経営計画2030」で、ECモール「and ST」の流通総額を前期末の403億円から1000億円に、ECモールの外販比率を前期末の3%から40%まで拡大する方針を掲げる。上期末時点で流通総額は223億円(前年同期比15.5%増)、外販比率は9.4%に拡大している。

なお、旧アダストリアは9月1日付で商号を「アンドエスティHD」に変更し、持株会社体制に移行している。

取材・執筆 比木暁

アンドエスティHD・木村社長インタビュー/実店舗を強みにプラットフォーマーへ進化

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