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経産省/新たなコンビニのあり方検討会「報告書案」発表

2020年02月06日行政

経済産業省は2月6日、「新たなコンビニのあり方検討会」報告書~令和の時代におけるコンビニの革新に向けて~(案)を発表した。

検討会は、2019年6月~12月まで4回開催し、その間、コンビニオーナーヒアリングを12回、コンビニ本部ヒアリングを2回実施した。同日、最終回となる第5回の検討会を開催し最終報告書を、近日中に取りまとめる。

<経済産業省>
経済産業省

報告書は、コンビニの現状と課題を整理し、「店舗数が増加しても、一店舗あたりの売上が横ばいとなっている」「売上が伸びない中で、人件費などのコストが上昇すれば、加盟店の利益は圧迫されていく」といった環境変化を指摘した。

その上で、加盟店オーナーヒアリングやアンケート調査で「本部の従業員(店舗経営指導員)に現場の声を伝えても、本部の経営層にまで情報が上がっていないのではないか」との懸念の声があったことを紹介している。

■統一から多様性を重視、一律24時間の見直しを

コンビニの目指すべき方向性とビジネスモデルの再構築では、加盟店優先・オーナー重視という視点からのビジネスモデルの再構築を求めた。「統一から、より多様性を重視するフランチャイズモデルへの転換」「本部の加盟店支援の強化、フランチャイズへの加盟メリットの可視化」「オーナーとの対話の強化」の3つを大きな柱とした。

「統一から、より多様性を重視するフランチャイズモデルへの転換」では、「加盟店が24時間営業、商品やサービスのラインナップ、賞味期限の迫った商品の取り扱いなどを巡り、全国津々浦々、一律の対応をとることを見直し、加盟店やオーナーの実情にあわせた柔軟な経営を認めることは、オーナーの負担軽減のみならず、多様化する消費者ニーズへの対応も可能にする意味で、コンビニのビジネスモデルが時代に合わせて柔軟な形をとりながら持続的に発展していく上では、避けて通ることはできないのではないか」と指摘する。

24時間営業問題については、「全店舗が一律に24時間営業を行うのではなく、それぞれの加盟店オーナーが置かれた経営環境や地域社会の需要・認識の変化を踏まえたあり方が検討されてしかるべきではないか」と述べた。また、物流プロセスを含めたサプライチェーン全体の働き方改革につながる視点を持つことが必要だと指摘した。

「物流事業者等において業務の効率化や働き方の柔軟化を進めようとしても、小売側の協力なしには進まない。サプライチェーン全体の働き方改革の観点からも、24時間営業や休日のあり方については、店舗の実情に応じた柔軟な対応を認めることが検討されるべきではないか」と述べている。

■加盟店の経営改善を本部の経営目標に

「本部の加盟店支援の強化、フランチャイズへの加盟メリットの可視化」では、国内市場の成長が鈍化する中、本部が闇雲に新規出店による規模の拡大を図るのではなく、いかに既存店の競争力を高めていくかに軸足を移す店舗戦略を構築すべきと指摘。「本部は本部の利益確保を最優先しており、加盟店の利益をないがしろにしている」というヒアリングの声を紹介した。

その上で、「本部が中長期的に発展していくためには、加盟店の健全な経営が基盤であることは言うまでもない。加盟店の経営改善を本部の経営目標に掲げることに積極的に取り組むことが求められている」と述べた。

オーナーヒアリングでは、加盟店が本部から有効な経営指導を受けらていないとの声が多かったことを受け、「本部が保有しているデータなどを活用すれば、経営指導は客観性を持つとともに事後的な分析なども可能となるなど、より実行的かつ説得力のあるものとなり得る」と述べ、本部が持つデータをより加盟店に開示することを求めた。

■本部による人材育成の強化、人件費の負担のあり方も検討

ヒアリングやアンケート調査からみて、加盟店が直面している最大の課題は、人材の確保と定着だと指摘。従業員について、本部がチェーン全体での募集・採用を行うことや、研修を本部として行うなどの取り組みの機能を強化することを要望している。

従業員アンケートでは、本部に対する要望事項として、「研修の充実」が多く上がった。「加盟店で従業員の教育を行うのみならず、本部としても、本部食品のみならず、加盟店の従業員に対する教育・研修を充実させる役割が求められる」としている。

また、「人件費が不可避的に上昇する場合、従来どおり加盟店が全て負担する選択肢に替えて、本部と加盟店のコスト分担のあり方を見直し、本部が人件費の上昇分を一部負担できる枠組みを用意することが一部のチェーンによって検討されているが、こうした取り組みがさらに広がっていくことも期待されるところである」と述べた。

店長やリーダー人材については、「ほとんど休みが取れない」「深夜勤務の負担が大きい」といった声がアンケートで多く寄せられた。「オーナーの働き方も含め、コンビニのビジネスを持続的なものとする上で、オーナー自身の労働環境に対しても、しっかりとサポートを行うことが求めらる。急病など緊急時の対応のほか、高齢化が進む中で、共同経営者ともなり得る人材を供給するような形でのサポートも必要になってくるのではないか」と提言した。

■食品ロスは、廃棄を減らすインセンティブが重要

食品廃棄の削減に向けては、食品の長鮮度化、AIの導入による発注精度の向上などの取り組みが本部でなされているが、廃棄にかかるリスクやコストの本部と加盟店の間での分担が適切になされなければ、廃棄を減らすインセンティブが働かなくなるのでないかとの指摘が検討会であった。

そのため、「廃棄の取り扱いについて、現行の手法を見直すことも検討に値するのではないかと考えらえる。さらに、各店舗における見切り販売など、加盟店の積極的な創意工夫を促すことに本部が取り組むことも期待される。本部、加盟店、消費者にとってのインセンティブが適切に働くことで、食品廃棄の削減を実現する仕組みの構築が重要である」と述べた。

■ロイヤルティへの納得感を高める必要

オーナーへのヒアリングやアンケートでは、人件費の高騰を中心とした、加盟店の経費を圧迫する環境変化の中で、ロイヤルティという形での利益分配のあり方を見直すべきとの声が多かった。

それを受け、本部が加盟店に提供する支援が課題解決の方向性からずれている、あるいは見えにくくなっていると加盟店に認識されることが、本部からのサポートの対価であるロイヤルティへの不満を高めている面があると指摘した。

その上で、「本部が提供する支援について、ロイヤルティへの対価としてのバランスの観点から、また、支援内容に関するリスクまで含めただーたなど詳細について情報共有した上で、本部が加盟店にどのようなサポートを提供できるのか、加盟店の直面する課題にどう答えようとしているのかといった視点から説明責任を果たすことが、ロイヤルティへの納得感を高める上で重要である」。

「それでもなお、納得感だけでは乗り越えることのできない環境変化が存在するとの指摘もある。ロイヤリティが加盟店へのインセンティブとして適切に機能しないのであれば、その算定については、食品廃棄問題への対応、人材の確保や定着を巡るコストなど、さまざまな環境変化に応じた利益配分やコスト分担のあり方が勘案されるべきではないか」と提言した。

■加盟店からの声を本部が吸い上げるプロセスの構築が課題

「オーナーとの対話の強化」では、改革を推進する上で、前提として、オーナーと本部の間のみならず、オーナー同士の間を含む、チェーン内におけるさまざまなレベルでのコミュニケーションを円滑化することや、脆弱化していた本部内のガバナンスを抜本的に立て直すことが喫緊の課題と指摘した。

その上で、「本部内のガバナンスを見ると、現在、各本部は昨年策定した行動計画を踏まえた取り組みを進めているが、トップがさまざまな改革を断行しようとしても、その趣旨が本部内において徹底されなければ、その成果は限定的なものとなってしまいかねない。諸施策を前身させながら、同時に本部がガバナンス改革にも徹底して取り組むことが期待される」と述べた。

オーナーとのコミュニケーションでは、現場である加盟店からの声を本部が吸い上げるプロセスの構築がなければ、現場の実態を踏まえて本部が動くことができないと指摘。

「通常、本部の担当者が地域ごとに店舗を巡回するなどの対応が行われているが、オーナーヒアリングでは、現場の声が本部の経営陣にまで届いていないといった声が多く上がった。担当者が店舗を分かっていないのではないか、自分の成績を上げることだけに懸命なのではないか、といった不信の声も多く、加盟店の声が経営にまで届き、必要に応じてオペレーションの改善につながっていく仕組みを早急に構築することが求められる」と提言した。

オーナー間での情報や経営課題の共有では、「オーナー間で情報の共有が行われることは、オーナーが店舗における経営課題を見極め、自身で課題解決を進めていく上でも重要であるし、このようなプロセスを経てチェーン内に共通する経営課題を加盟店が把握することにより、本部との対話が建設的なものとなる」と述べている。

また、多用で重層的なコミュニケーションの仕組みは、オーナーからの問題提起が仮に具体的な改善策につながらなかったとしても、本部とオーナの間の信頼関係を醸成する上で重要であると考えられると指摘している。

■後継者を想定した制度設計が必要

加盟店オーナーが進む中で、後継者問題を懸念する声もあった。今後、親族以外も含めた後継者への円滑な承継、後継者不在の場合の円滑な引退の仕組みなどについての検討が期待される。また、長期におよぶフランチャイズ契約については、その間の状況変化に応じた柔軟性が求められる。

その上で、「開店当初とは店舗の環境、オーナーの家族の状況なども予測を超えた変化をすることがある。こうした変化が起こりうることを見据えて柔軟に相談に乗り、場合によっては違約金のあり方も含め的確に状況に応じて対応したり、違約金という形態にとらわれない手法や、より短い期間で条件を見直すことができるような契約形態を用意することも、優れたフランチャイズパッケージの要素の1つとなりうるのではないか」と述べた。

新たなコンビニのあり方検討会

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