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経産省/IT活用など「令和におけるコンビニの革新」提言

2020年02月06日 16:20 / 行政

経済産業省は2月6日、「新たなコンビニのあり方検討会」報告書~令和の時代におけるコンビニの革新に向けて~(案)を発表した。

2019年6月から開始した「新たなコンビニのあり方検討会」の議論を踏まえ、報告書案を発表したもので、コンビニを取り巻く環境変化・課題、本部と加盟店の関係の見直しのほか、新たな時代に向けたコンビニの革新について提言した。

<経済産業省>
経済産業省

オーナー重視という目線に立ちつつコンビニのビジネスモデルを再構築することが喫緊の課題であり、新たな取り組みとして、「リテールテックを活用した次世代モデル」「社会課題解決型ビジネス」「国際展開」を提言している。

■消費者自らがデータ提供したくなる仕組みが必要

「リテールテックを活用した次世代モデル」では、ECサイトが普及しリアル店舗が一つの選択肢に過ぎなくなりつつあることを踏まえたテクノロジーの活用を提案している。

現在、テクノロジーの活用では、キャッシュレス決済端末やセルフレジ導入など、省力化のための活用が中心となっている。省力化を図ることは喫緊の課題だが、今後はさらに、テクノロジーの動向やそれによる消費者の買い物行動の変化に合わせ、リテールテック(小売×テクノロジー)の活用を通じて、コンビニビジネスを再構築する必要があると指摘する。

その上で、「リアル店舗の運用にテクノロジーを用いるという考え方にとどまらず、インターネットやスマートフォンなどを通じオンラインで消費者と常時つながっている世界を前提として、消費者に対し利便性や消費体験を提供できるサービスを設計するとともに、消費者の側が自らの消費行動等に関するデータを提供すれば、そのデータを用いてさらにその消費者に対するサービスの質・内容を向上・充実させていく形で、データを提供する消費者と店舗の間の好循環を生み出していくことが求められるのではないか」と提言している。

■テクノロジーで本部・オーナー・従業員の関係性を一新

また、テクノロジーは、ともすると一方通行的なコミュニケーションになりがちな本部・オーナー・従業員の関係性を対等で双方向な関係にシフトさせ、従業員等のエンゲージメントを高めることに活用できる可能性もある。

その上で、「例えば、本部の経営層から現場の社員、オーナーや従業員までのコミュニケーションを緊密にし、本部内のガバナンスを強化するツールとして、あるいは本部担当者から加盟店に対して行う経営指導の裏付けとなるデータとして、さらにはそうしたデータをオーナーに開示しつつ本部とオーナーが加盟店のパフォーマンスを向上させるために活用するなど、コンビニ各社がガバナンス体制の見直しを検討するに際して、テクノロジーが有効な手段となることも考えられる」と指摘した。

■地域の買い物拠点、災害対応の支援が必要

「社会課題解決型ビジネス」では、人口減少を踏まえ、全国に店舗網を持つコンビニは、生活に密着する製品・サービスを提供する、地域住民にとって買い物の拠点として役割を果たしていると指摘した。

災害時の対応では、大手チェーン本部が、災害時の指定公共機関としての指定を受けているも踏まえ、課題を整理した。

災害時にコンビニが機能していれば、被災者や応急・復旧対応に携わる者にとって需要な買い物拠点になりうるが、同時に、コンビニのオーナー自身も多くの場合は被災者となっている。円滑な物流が確保できず、従業員の出勤もままならない状況下で、いたずら通常営業を求めることは、過度の負担となりかねない。

むしろ、チェーン全体としてのBCPの観点から、早期の営業再開を希望するオーナーの支援も含め、いかに本部のイニシアティブの下の機能を維持・回復していくかの検討が必要である。

その上で、「地域ごとに物資や従業員などの緊急時の融通体制や役割分担などの計画を策定し、個々のがんばりに依存しない体制を構築することが肝要である」と指摘した。

例えば、本部から各加盟店に対する災害時の支援は、オーナーの意向を踏まえつつも原則として各店舗を平等に扱う、という形を取ることが基本となっていると考えられるが、災害の状況等を踏まえ、被災地の状況から、被災者にとって生活上の重要性が高く、商品の充実がとりわけ求められる特定の店舗に重点的に商品を供給するといった「非常時」の対応も検討に値するのではないかと思われると述べた。

これまでの災害で各チェーンが蓄積してきた災害時の対応に関するノウハウの共有や、これまでの取組をさらに一歩進めるための課題をどうやって解決していくかといった事項について、業界団体等が中心となって、各チェーンや関係機関が参加する形で検討を深めていくべきではないかと提言している。

■国際展開は経産省も支援

国際展開については、少子高齢化に伴い、従来のような国内市場の伸びが見込まれない中、大手コンビニチェーンは、このように進化したビジネスモデルを携えて、アジアをはじめとする海外にも展開し、既に多くの店舗を構えていると現状を分析した。

その上で、「海外での事業展開に際しては、現地における様々な規制や慣習が障害になることも想定される。これまで、経済産業省では、ベトナム、インドネシア、中国といったコンビニを含む流通業の国際展開が見込まれている各国と二国間対話の場を設けて、定期的な意見交換を実施し、具体的な規制緩和などを働きかけてきた。今後とも、必要に応じてこれらの政府間対話の場も活用するなどし、所要の事業環境の整備を働きかけていくことが重要である」と述べた。

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