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東急プラザ渋谷/来館者データを可視化する「実証実験店舗」開設

2019年10月30日 17:20 / IT・システム

東急不動産は10月30日、渋谷区内に次世代型商業事業に取り組む実証実験店舗を2カ所開設すると発表した。

12月5日、グランドオープンする「東急プラザ渋谷」3階に、月替わりのコンセプトストア「111-ICHIICHIICHI-(イチイチイチ)」を実証実験店舗として開設する。

2020年2月(予定)には、渋谷区に保有するNT渋谷ビル内に、カフェ併設型ポップアップショップ「000 Cafe by tlc(ゼロゼロゼロカフェバイティーエルシー)」を新たに開設する予定だ。

■ネット時代だからこそリアル店舗ができる提供価値を考える

近年、Eコマースの拡大やSNSによる情報発信ツールの多様化により、流行の移り変わりが速くなり、人々の趣味嗜好も次々に移り変わる中、商業施設における複数年単位で変わらない既存の店舗ラインナップでは、お客のさまざまな要望に応えきれない状況となっている。

一方、店舗を持たずに自社製品を自社のオンラインサイトのみで販売をするD2C(DirecttoConsumer)ブランドに代表されるようなデジタルネイティブブランドが国内でも数多く誕生し、Webマーケティングコストの高騰を背景に、リアル店舗への出店に対する新たな需要も高まっている。

リアル店舗に対するニーズや消費者のニーズに迅速に対応し、ネット時代だからこそリアル店舗ができる提供価値が何かを考え、次世代型の商業施設の形を模索する。

<111-ICHIICHIICHI-のイメージ>
111-ICHIICHIICHI-のイメージ

「111-ICHIICHIICHI-」は、月替わりでテーマを設定し、そのテーマに沿った4つの店舗が1カ月間限定で出店する。

東急プラザ渋谷のコンセプト「大人をたのしめる渋谷へ」に合うような、オーダーメイドやカスタマイズ、オリジナルグッズなど、ほかにはないこだわりの逸品やサービスを取り扱う希少な店舗を集積する。職人による実演やワークショップなども開催し、お客に対してリアルの場で新たなお気に入りを発見する楽しさやものづくりを体感、体験する楽しさを提供する。

多様な店舗やブランドが出店できるように、「上質さと可変性」をテーマに、出店面積がフレキシブルに変更できるスペースや、取り外し可能で商品に合わせて選択できるシステム什器の無料貸与、区画内に試着室やサイネージを設置するなど、出店者の業態に合わせて使いやすい仕様を用意する。

敷金や諸経費等の出店初期費用を軽減し、毎回の出店毎にPRリーフレットを作成するなどのプロモーションを提供。より店舗が出店しやすい空間と仕組みを提供することで、新たな出店価値の創出を目指す。開業後はビッグデータの活用やセンシングデータの提供など更なる取り組みにも挑戦する。

<外部企業とデータドリブンマーケティングで連携>
外部企業とデータドリブンマーケティングで連携

データドリブンマーケティングへの取り組みとして、リアル空間のデータ化とビッグデータ活用を進める。

Eコマースでは、主流である消費者の消費行動把握を、リアル店舗においても実現するため、東急プラザ渋谷の施設全体にセンシング機器を導入し、自社で初となる施設全体での消費行動把握に取り組む。

実施にあたっては、リテールテックの先進的企業であるCOUNTERWORKS、技研トラステム、ABEJA、WALK INSIGHT、RetailNext.Incと協業し、東急プラザ渋谷の共用部と「111-ICHIICHIICHI-」の店内にセンシング機器を導入する。

施設共用部の主要入口と「111-ICHIICHIICHI-」の店舗入口にはパッサーカウンター14台と属性推定カメラを6台、館内全体にWiFiセンサーを62台、「111-ICHIICHIICHI-」の店舗内に人流分析カメラを11台を設置することで、今まで把握できなかった来館者データ(来館者数・年齢・性別、各フロア来客数・属性、店舗前交通量、館内回遊、滞留、再訪率)を取得・分析する。

取得したデータは、今後のテナント入替やリニューアルにおける動線計画といった施設運営における活用だけでなく、テナントにレポートとしてフィードバックすることで店舗の販促・マーケティングに活用してもらう。

そのほか、COUNTERWORKSが運営するポップアップストアのマーケットプレイス「SHOPCOUNTER」と連携し、取得データを基にお客にとって最適なテナントの誘致活動を実施する予定だ。データは個人を特定できないよう匿名化・統計処理をした上で利用する。

消費者ニーズを起点として店舗のテナントや商品を選定するデータドリブン型のマーチャンダイジングを実現するため、ヤフーとの協業により、ヤフーが提供する検索サービスなどの統計化されたビッグデータを活用する予定だ。

ビッグデータを元に、対象となる時期やターゲットに応じた消費者のトレンド分析を行うことに加え、例えば「腕時計ブランドAが好きな人たちはスポーツブランドBも好きそうだ」といった併売分析を行うなど、ビッグデータを活用して「111-ICHIICHIICHI-」の今後のテナント選定や売場づくりをする計画だ。

<リアル空間のデータ化>
リアル空間のデータ化

OMO時代の新たなショッピング体験提供への取組みとして、ショッピングカートアプリを開発する。

スマートフォンアプリを用いたOMO(OnlineMergeswithOffline)時代の新たなショッピング体験の提供を目的として、自社が保有するNT渋谷ビルで、カフェ併設型のポップアップショップ「000Cafebytlc」を2020年2月に開設する予定だ。

店舗では、カフェメニューを含む店舗内の全ての商品を、専用のスマートフォンアプリでスキャンする事ができ、Eコマースと同様の環境を通じて購入できる。

これにより、お客は店舗以外の場所でも購入したり、複数のブランドの商品を横断的に比較する事が可能となる。

出店テナントに対しては、お客がスマートフォンアプリを通じて購入したり、Eコマースサイトへ遷移した場合には、一定の売上歩合賃料を取得するなど、不動産賃貸の新たなアフィリエイト型収益課金モデルの検証を行う。

カフェの運営は、Yuinchuへ委託し、厳選したコーヒー豆を用いたエスプレッソや、その場でたてる抹茶を用いた抹茶ラテなど、こだわりのカフェメニューを提供し、周辺住民や近隣のワーカーに愛されるカフェを目指す。カフェは2019年11月中旬から、プレオープンする予定だ。

<000 Cafe by tlc>
000 Cafe by tlc

■「111-ICHIICHIICHI-」概要
所在地:東京都渋谷区道玄坂一丁目2番3号東急プラザ渋谷3階
面積:約132m2/1区画あたり約23~33m2
営業時間:10時~21時
出店形態:基本1カ月ごとにテーマを設定し、テーマに合わせた4店舗が出店
業態:アパレル、服飾雑貨、雑貨、食物販(調理行為は不可)、サービスなど
事業主体:東急不動産

■「000 Cafe by tlc」概要
所在地:東京都渋谷区桜丘町25-18NT渋谷ビル1階
面積:約46m2
営業時間:9時~19時
事業主体:東急不動産

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