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使えるPOS分析/プレミアム商品が売れるのは冬?カテゴリー分析で売れ筋を探る

2018年06月08日 16:40 / POS分析

(執筆:マーチャンダイジング・オン、編集:流通ニュース)

■POS分析にふれてみよう!~サブカテゴリに注目し隠れた売れ筋を探る~

使えるPOS分析の第1回「世の中のトレンドは変わったのか?」では、ビール、スナック菓子、飲料、カップ麺など主要製品の4年間のランキング推移を見てみました。想定した以上に上位商品に変動はなく、新商品を定番化させることへの難しさを感じました。

ビールでは、4年間不動の1位を「アサヒスーパードライ缶350ml×6」がキープしていましたが、驚くべき事に、この4年間は6位までの商品と順位がまったく変わりませんでした。

一方で、「ビール」カテゴリの中にはスーパードライのようなレギュラービールの他に、ヱビスやプレミアムモルツのようなプレミアム商品、クラフトビールや輸入ビールなども多数含まれています。その大きなビールカテゴリで分析を行った際には、レギュラービールのような売り上げの大きな商品に紛れてしまい、小さいけれどチャンスがあるカテゴリの動向を見落としてしまう可能性も大いにあります。

そこでPOS分析の実務では、カテゴリをより細分化し、サブカテゴリとして見る事で、新たな発見が見つけやすくなります。今回はそんなサブカテゴリ毎の分析にフォーカスしたいと思います。

<2017年のビールの月別販売指数>
2017年のビールの月別販売指数

これは、RDS全国・JICFSビールカテゴリの2017年の売上金額ベースの販売指数です。こうして見ると、ビールには、「年末年始」である12月と1月、「お盆」がある8月、「GW」のある5月の順で大きな3つのヤマができることが分かります。それでは、このビールカテゴリをレギュラー・プレミアム・クラフト・輸入のサブカテゴリ毎に分類して同じ分析をしてみます。

注:RDSとは、食品・日用品を中心に取り扱い、POSシステムを導入している全国の小売業(総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア等)からPOSデータを収集、整備、データベース化したもの。
注:JICFS/IFDB(JANコード統合商品情報データベース)は、JANコードとこれに付随する商品情報を一元的に管理するデータベースサービス。

<2017年のビール類のサブカテゴリ分析>
2017年のビール類のサブカテゴリ分析

青がレギュラー、ピンクがプレミアム、黄色がクラフト、水色が輸入ビールの月ごとの売上金額ベースの販売指数を示しています。

サブカテゴリ毎に見ると、どのカテゴリーも3つのヤマがありますが、年末年始はレギュラーよりプレミアムの方が指数が高い事が分かります。

一方でお盆はレギュラーの方が指数が高く出ています。やはり年末年始のハレの日には、プレミアムな商品を飲んで過ごしたい人たちが多いのではないでしょうか。

こういったイメージはあると思いますが、こうしてデータを用いて見える化すると、より説得力が増しますし、年末年始にプレミアム商品をしっかり展開すれば売れる裏付けになります。

次に、アイスクリームカテゴリでも同じように見てみましょう。

<2017年のアイスクリームの月別販売指数>
2017年のアイスクリームの月別販売指数

こちらはRDS全国・2017年をJICFS・アイスクリーム類全体の月別の販売指数を分析した結果です。アイスは暑い夏によく売れる、というのは当たり前の認識かと思います。

アイスクリームもエッセルスーパーカップや爽といったカップアイスをはじめとしたファミリー系、ハーゲンダッツやレディボーデンと言ったプレミアム系に分類する事ができますので、それをサブカテゴリとして、同じ分析を掛けてみます。

<2017年のファミリーアイスとプレミアムアイスの分析>
2017年のファミリーアイスとプレミアムアイスの分析

こちらは同じエリア・同じ期間のデータを「プレミアムアイス」と「ファミリーアイス」の切り口で分析した結果です。

ピンクがファミリーアイスで、青がプレミアムの動きとなります。すると、ファミリーアイスの一番のヤマは、アイス全体と同様に夏場だったのに対して、プレミアムアイスでは、年末・年始に夏場以上の大きなヤマができていることが分かります。

こうしてみるとプレミアムアイスは年末年始に大きなチャンスがありそうです。しっかり売場を作らないと大きなチャンスロスにつながる、といった可能性も出てきます。

また、2017年2月27日週は、ハーゲンダッツ社・「華もち」2品が発売された週に前年になかった大きなヤマができています。

アイスカテゴリをイチゴやチョコなどのフレーバー毎・氷菓やミルクと言った素材毎、はたまたカップ・棒付・箱アイスといった形状毎で分けたみたら、この結果とは違った新しいチャンスが見えてくるかもしれません。

次に、前年比という視点で、醤油カテゴリ全体の実績を見てみました。

<2017年の醤油の年間販売金額>
2017年の醤油の年間販売金額

醤油全体では、前年割れとなっていますが、こちらも容器の形状や産地、塩分などのさまざまなサブカテゴリで分けられます。そこで減塩とレギュラー他としてサブカテゴリを分けて分析をしてみました。

<2017年の減塩醤油とレギュラー醤油の販売金額>
2017年の減塩醤油とレギュラー醤油の販売金額

サブカテゴリで分けてみると、売上構成比はレギュラー他の方が圧倒的に高いのですが、前年比を伸ばしているのは健康志向の影響か減塩カテゴリです。

醤油カテゴリー全体は前年比1.3%減となっていますが、カテゴリーで見ると、レギュラーは2.3%減で全体よりも落ち込んでいます。

一方で、減塩は3.7%増と前年を超えており、減塩の伸びが全体の減少を抑えている現状が浮かび上がります。

実際の売場を見ると、形状毎やブランド毎に陳列されている事が多いと思いますが、消費者のフックには「減塩」というキーワードが有りそうです。それをキャッチして売場を作るか否かで、売上にも影響を及ぼすのではないでしょうか。

皆さんはサブカテゴリと聞いて、どのような印象を持たれるでしょうか。小売業の方でしたら売場を、メーカーの方でしたら自社のブランドを軸に考えられるのではないでしょうか。

立場やその時のトレンドによっても、その捉え方は変わってくると思いますが、最優先すべきは最終的に商品を買ってくれる消費者の捉え方なのではないかと思います。

サブカテゴリの捉え方が、大きく売場づくりや棚割づくりに反映していきますので、消費者のニーズに合っているかという視点から、自社の売場・サブカテゴリを検証してみてはいかがでしょうか。

■RDSについて
http://www.mdingon.com/MdonWeb/service/newrds.html

本稿は、流通現場における製配販それぞれのマーチャンダイジング提案活動を、POSデータ分析を中心にいろいろな角度からサポートするマーチャンダイジング・オン(MDON)が、「POS分析」に関して色々な角度から紹介するコラムです。

注:マーチャンダイジング・オン社提供のRDS-POSデータ分析については、記事、写真、図表などを複写、転載などの方法で利用することはできません。

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