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大手百貨店/11月既存店売上は増税前駆け込み反動続き4社減

2019年12月02日 16:30 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は12月2日、11月の売上速報を発表した。

<改装した伊勢丹新宿本店の化粧品売場>
化粧品フロア40年ぶりに大刷新

三越伊勢丹6.7%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)8.5%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)7.4%増、高島屋4.4%減、そごう・西武5.3%減だった。

■三越伊勢丹HD(2019年3月期売上高:1兆1968億円)
伊勢丹新宿本店店頭6.7%減、三越日本橋本店店頭9.6%減、三越銀座店6.0%減などで、三越伊勢丹既存店計6.7%減だった。

札幌丸井今井7.3%減、名古屋三越5.9%減、岩田屋三越11.6%減など、国内グループ百貨店は8.2%減となり、国内百貨店合計は10.3%減となった。

消費増税前駆け込み需要の反動減から回復基調にはあるものの、まだ影響が残り、首都圏三越伊勢丹(既存店)と国内百貨店(既存店)計ともに、2カ月連続して前年実績を下回っている。

首都圏では全体は厳しい中、月後半に伊勢丹新宿本店の化粧品売場、三越日本橋本店のジュエリー売場が改装オープンし、多くのお客が来店している。また、英国展など独自性のある催事が好調で、ピークを迎えた歳暮商戦も堅調に推移している。

インバウンド売上に関しては、伊勢丹新宿本店が8カ月ぶりに前年を上回り、三越伊勢丹(既存店)と国内百貨店(既存店)計ともに前年比が先月よりも伸長。好調なカテゴリーは、宝飾・ラグジュアリーアイテム、食品となっている。

■J.フロントリテイリング(2019年2月期売上高:1兆1251億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比8.5%減、博多大丸、下関大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は8.9%減となった。

11月度の百貨店事業の売上高は、化粧品、食品の売上が前年並みとなったほか、多くの基幹店でマイナス幅が一桁台に縮小するなど、消費増税後のマイナス影響からの着実な回復傾向が見られた。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、対前年約1%増(客数同2%増、客単価1%減)となった。

9月20日に本館を建て替えグランドオープンした心斎橋店は、消費増税前の駆け込み需要の反動減影響がある中で、ラグジュアリー、化粧品がともに約2割増となるなど、強化したカテゴリーを中心に順調に推移している。

■H2O(2019年3月期売上高:9368億円)
百貨店事業の全社計の売上高は7.4%増となった。内訳は阪急本店5.8%減、阪神梅田本店6.6%減、支店計33.7%増。

若干、回復傾向にあるものの、消費増税前の駆け込み需要の反動と消費マインドの低下が想定以上に長引いており、特に月前半は、この時期にしては気温の高い(20℃前後)日が続き、コートなどの冬物が苦戦した。

高額品は、海外ブランドのジュエリー・ウォッチが低調に推移している。

インバウンドは、化粧品を中心に消耗品が苦戦。インバウンドにおける売上シェアが8割を超える中国人売上は、元安の影響もあり、前年を若干上回るに留まり、その結果、全体でもほぼ前年並みの結果だった。

阪急うめだ本店は、大規模なファッションイベント「FNO」などで集客するも、高い気温の影響もあり冬物ファッションが苦戦。

6階から8階に売場を移設した大きいサイズの婦人服「プリュス」は、雑誌とのタイアップイベント、SNSなどの情報発信により、広域からの集客が高まり、新客の買い回りも見られた。

フードは、「タルティン」「ザ・テイラー」の2つの新ブランドが連日完売で盛況の洋菓子が牽引し、堅調に推移した。

インバウンドは、為替(元安)と、韓国人観光客の減少の影響により、化粧品など消耗品が低調も、一般品が好調に推移し、全体では若干前年を上回る。

高額品は消費増税の影響により、買上数量が減少し苦戦した。

阪神梅田本店は、食品は堅調も、増税による節約志向もあり、高い年齢層を中心にファッションが低調となっている。

支店も食料品は堅調も、ファッションが不調。既存店12店舗中9店舗が前年割れしている。

10月にオープンした「神戸阪急」「高槻阪急」は改装した食品、イベントスペースが牽引し、想定どおりに売上が推移している。

■高島屋(2019年2月期売上高:9128億円)
高島屋単体13店の売上高は4.4%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、米子高島屋、高崎高島屋を含めた17店の売上高は4.2%減となった。

11月度の店頭売上は、土曜日が1日増であったものの、10月に引き続き消費増税前の駆け込み需要の反動により、前年実績を下回った。

免税売上は13.0%減となった。

店舗別売上は、食料品の好調により、岐阜店が前年比プラス。商品別売上(当社分類による17店舗ベース)は、特選衣料雑貨・食料品が前年を上回っている。

■そごう・西武(2019年2月期売上高:6152億円)
そごう・西武15店の売上高は5.3%減、西武池袋本店は2.3%減となった。

11月売上は、衣料品から雑貨まで、ほぼ領域が前年を下回った。先月に続く増税影響と、月前半から中盤にかけて気温が高めに推移したことを受けて、コートを中心とした重衣料や防寒洋品の動きが鈍った。

高級雑貨(宝飾・時計・美術など)も前年を下回った。

免税利用に関しては、売上は前年比約1割減、客数は前年を確保している。

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