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流通ニュース、DearOne/「リテールメディア」セミナーを開催、イオンリテール登壇

2023年09月04日 13:30 / セミナー

流通ニュースとDearOneは8月29日、「リテールメディア」をテーマにオンラインセミナー「リテールメディア入門セミナー~デジタルマーケティング担当が語るイオンリテールの取り組み~」を共同開催した。

<セミナーの告知バナー>
セミナーの告知バナー

現在、小売企業が自社で収集・保有する購買データやチャネルを用いて、自社の集客・購買促進につなげ、新規事業として取り組む広告事業「リテールメディア」が、流通業界で大きな注目を集めている。

しかし、「具体的にどのようなツールを導入したらよいか」「どのようなコンテンツを配信すればよいか」などの不安を感じている企業も少なくない。

今回のセミナーでは、イオンリテールの田中 香織 デジタル企画部 マネージャーが、同社の「顧客ロイヤリティ向上のためのアプリマーケティング」を紹介するとともに、リテールメディアの取り組みについて実務者の立場から解説した。

また、NTTドコモグループとしてリテールメディア支援事業を進めるDearOneより、安田 一優 マーケティング部 ゼネラルマネージャーが、アプリを活用したリテールメディアの始め方を説明した。

イオンリテールでは、2017年に公式アプリ「イオンお買物アプリ」を導入。入会時の情報登録の簡易化、クーポンの利用しやすさなど顧客体験向上を推進し、2023年7月末現在で会員数が1000万人を突破している。

リテールメディアとして、アプリのほか、デジタルサイネージ、ビーコン、公式SNS、外部メディアと連携したAeonAdなどを運用している。

アプリでは、チラシ・クーポンの配信、無料クーポンキャンペーン、購買連動キャンペーンなどを展開。クーポンは、会員に毎週110万件以上利用されており、施策効果も大きく出ている。無料クーポンは1企画100万人程度が応募しているという。

<顧客ごとに最適な情報を届けることが重要と田中氏>
顧客ごとに最適な情報を届けることが重要と田中氏

田中マネージャーは「お客様の個別ニーズに対応したパーソナライズされた情報提供をすることが肝心です。自分に関連する情報であれば広告であっても見ていただけますが、自分に関連のない情報ではノイズや広告だと思われ、効果がありません。アプリは顧客行動・思考に関する貴重なデータを収集するための優れた手段ですが、顧客ロイヤルティを高めるには、個々のお客様に最適な情報を届けることが重要です。リテールメディアの取り組みは、顧客にとってのメリットを意識することが必須です」と強調した。

イオンリテールでは、「店舗の購買データ」と「顧客データ」、「アプリ内での行動データ」をもとに、顧客が取得したい「タイミングとチャネル」で、取得したい「コンテンツ(商品やクーポン)」を送ることに注力している。

また、アプリを起点としたリテールメディアの取り組みとして、アプリで買い物前に商品やキャンペーンの情報を配信。店舗ではデジタルサイネージで情報発信したり、ビーコンでお買い得情報をプッシュ通知したりと顧客が忘れずにキャンペーンに参加でき、購買促進にもなる仕掛けを実施している。

そのほか、お買物アプリのデータ(購買データや属性)を活用して、外部メディア広告が配信できる仕組み「Aeon Ad」を推進。広告配信時、実際の購買データに基づいてターゲティングし、広告に接触した人の店舗での購買実績の計測を行う。「Aeon Ad」実施により、商品の売り上げが35.5%も増加した事例もあるという。

<アプリを活用したリテールメディアの始め方を説明>
アプリを活用したリテールメディアの始め方を説明

DearOneは、「アプリで進めるリテールメディア3つのポイント」をテーマに講演した。同社は、データドリブンマーケティングで顧客理解を深め、企業のファンを増やす伴走パートナーとして、リテールメディアに新規参入したい企業を支援している。

リテールメディアは、2026年に800億円規模の市場となると想定されており、リテール企業にとって、新規事業による売り上げ拡大のチャンスとなっている。

リテールメディア参入に当たって、顧客体験価値の向上、広告主の獲得、効率的な広告運用の3つがポイントとなると指摘した。

顧客体験価値の向上として、リテールメディアに参入したいが、「広告がたくさん出てお客様が不快な思いをされないか不安」といった声が聞かれるとしている。

そこで、同社は顧客にとって価値ある情報をどうやって提供するか、誰に、いつ、何を情報発信するかが重要だと説明。スーパーマーケットなど小売のアプリでは、すでにその企業のロイヤルユーザーが利用しているため、購買につながりやすい。

また、アプリを起動するのが75%のため、顧客が欲しいと思うタイミングで訴求が可能だとしている。さらに、アプリは個々人に合わせた広告・クーポン配信ができるメリットもある。

ある小売企業では、菓子メーカーの10円引きクーポンを配信したところ、実施した週は売り上げが65%伸びた例もあるという。

安田ゼネラルマネージャーは「プライベートブランド中心の企業でも、決済事業者の広告が獲得でき、メーカー色を出さずに、顧客にお得な情報を提供できます。商品を安く販売でき、サービス向上など、小売の広告収益は最終的に顧客に還元できます。リテールメディアは小売、メーカー、顧客の三方よしの仕組みです。また、複数のリテールに広告配信できるリテールメディアネットワークへの参加することにより、メーカーが複数リテールに一括出稿できることで、大規模な広告宣伝費案件を獲得できる可能性もあります」と述べた。

さらに、ドコモグループが進めるリテールメディア支援事業「アプリ革命」では、データ活用による顧客体験価値の向上、無償でのアプリ開発、配信プラットフォームの提供と広告主の獲得を総合的にサポートしている。

ドコモが保有する9000万人の会員データとリテール企業のID-POSを連携させ、消費者の行動をより詳細に分析できる。管理画面での広告審査と、ID-POS連携のみで広告配信機能を利用可能。親会社のNTTドコモおよび大手広告代理店と連携し、リテールメディアの3つのポイントをクリアするサービスとなっている。

今後も、流通ニュースでは、聴講者の感想・反応、読者の要望などを分析し、さまざまなテーマでセミナーを開催する予定だ。

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