三越伊勢丹ホールディングスは5月23日、三越日本橋本店の再開発計画(リモデル)を発表した。
三越日本橋本店は1914年に本館が完成しているが、部分的な改装を繰り返しており、全館を統一したコンセプトで、再開発した記録が残っていないため、開業以来初の全館リモデルとなる。
2016年下期から2018年春にかけて、第一期工事を実施。本館の1階~3階、新館の1階~2階を対象にリモデルを行う。第一期の投資額は約120億円。
2020年春のグランドオープンに向け、さらにリモデルを続け、総投資額は現状の建築コストで試算すると約200億円を計画する。
第一期のリモデルでは、2015年度の売上高1683億円対比で、10%増の売上高を目指す。
三越日本橋本店は1904年に、「デパートメントストア宣言」を行い、商品陳列方法を一新するなど、近代的な百貨店を運営してきた。2014年には、新たに「カルチャーリゾート百貨店宣言」を実施。
これまでの「ファッションの百貨店」とは違う新しい百貨店を目指している。改装に当たっては、商品の展開分類を一新する。
通常の百貨店では、「ファッションを基軸」に品ぞろえを構成するが、三越日本橋本店は、ファッションではとらえきれない、日本の美意識を伝える取り組みとして「カルチャー(主に日本文化)」を最も重要な要素とした。
ファッションに該当する部分を服飾文化ととらえ、売場面積を縮小する一方で、あらたに「あそび文化」の展開分類を設定し、究める文化、高める文化、祝う文化の軸で、美術や呉服、ソリューションサービスを提供する。
限られた面積の中で、従来の「横に広い」(なんでもあるがなんにもない)ではなく、「縦に深い」(なんでもはないが、あるものはどこよりも深い)品ぞろえを目指す。
接客方法も一新する。前身である「越後屋」「三井呉服店」で行っていた座売りの精神を復活させる。
デパートメント宣言により、店頭に商品を置かず、店員がお客の要望に対応して、店内から反物を出して接客する座売りを廃止し、店頭に商品を陳列する方法を採用したが、今回、あえて、座売りの精神を復活させる。
中陽次三越日本橋本店長は「110年前は商品を自由にお客さまが見れる売り方が画期的なできごとであったが、いまはインターネット販売もあり、無限の商品に触れることができる。店舗面積が限られている店頭では、ネットとまともな勝負はできない。店員がお客さまのニーズを引き出し、そのニーズにあった商品を、店舗の従業員が協力して見つけ出し、提案する能力がなければ、これからの百貨店は生き残れない」と座売りの精神を解説した。
カルチャーリゾート百貨店宣言に伴い、先行して2014年3月に本館7階にオープンした「はじまりのカフェ」では、商品の陳列スペースを縮小し、お客がくつろいだり、店員とお客が会話を楽しめるスペースを拡大した。
今回のリモデルでも、より質の高い接客を重視し、商品陳列スペースを縮小し、接客スペースを拡大する予定だ。接客によりお客のニーズを引き出し、ニーズにチームで対応することで、「絶対に断らない接客」を目指す。
これまでは、店舗の対象顧客を年齢・性別・所得といった属性やライフスタイルを基に、顧客グループを「属」でとらえていたが、今回、新たな概念として「族」を設定した。
族とは、アートが好き、お茶が好き、ネコが好き、料理が好きなど、お客がどんな趣味をもっているのか深く考察する考え方。
お客の趣味に対する価値観を反映するモノ・コト企画を全館や各階で展開することにより、いわゆる商圏を超えて、その趣味や価値観に高い関心を持つ全国、世界からのお客が来店する店舗を目指す。
これまでは、モノを中心に販売してきたが、今後は、商品、接客、店舗環境が三位一体となった売上を目指す。
中店長は「当社に限らず、全国の地方百貨店を含め、あらゆる百貨店が、必ずしも良好ではない立地条件、お客の高齢化、高齢化に伴うニーズの変化への対応ができずに苦しんでいる。これまでのファッションを軸とした百貨店とは違う、あらたな百貨店の軸を明確に打ち出すことで、百貨店業界全体の活性化にもつながる店舗を目指したい」と語った。
■三越日本橋本店
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/index.html
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