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セブンイレブン/「立地別レイアウト」導入、酒類・チルド飲料を拡縮

2019年10月18日 17:10 / 店舗

セブン&アイ・ホールディングスは10月11日、セブン-イレブンの構造改革の一環として、個店別の立地特性に合わせた売場のテスト展開を開始したと発表した。

<セブン-イレブン>
セブン-イレブン

9月から「オフィス・事業所立地」「住宅・郊外立地」で大幅にレイアウトと品ぞろえを変更し、立地別対応を進めるテストを各立地8店舗で開始したもの。

冷凍食品・オープンケースを拡大した最新レイアウト「F2タイプ標準パターン」をベースに立地別のレイアウトを提案する。今後、効果検証を行い既存店への水平展開を目指す。

<立地別レイアウトの一例>
立地別レイアウトの一例
出典:セブン&アイHD2020年2月期第2四半期決算説明会資料

例えば、「オフィス・事業所立地」では、酒類が売れない。標準タイプでは、リーチイン3本で展開する酒類を、リーチインからオープン冷蔵ケースに移転し、棚段数を24段から13段、アイテム数を129アイテムから92アイテムに縮小した。

一方で、オフィス・事業所立地でニーズがあるチルド飲料を拡大。酒類が移転した後のリーチイン3本にチルド飲料を展開する。棚段数を増やし、アイテム数を86アイテムから125アイテムに拡大した。品ぞろえでは、健康飲料を増やし、500ml未満の商品を強化した。

「住宅・郊外立地」では、逆に酒類が売れる。標準タイプでは、リーチイン3本で展開する酒類を、惣菜・おつまみと一緒にオープン冷蔵ケース3本とリーチイン1本に展開。惣菜・おつまみの関連購買を促進する。同時に、チルド飲料はリーチイン2本に拡大し、スイーツも拡大する。

セブン-イレブンでは、下期の重点政策の一つとして、立地別売場づくりの強化を上げている。「事業所立地」「住宅立地」「街道立地」「駅前立地」の4つを軸に、さまざまな立地要素を組み合わせた個店毎の売場づくりを進める予定だ。

これまでは、ひとつのモデル棚割をフランチャイズ加盟店に提示していたが、下期から立地別のモデル棚割をFC加盟店に提示している。加盟店の多くは、駅前でありながら住宅地がある、事業所と住宅地が混在している、幹線道路沿いにあるが住宅地が背後にあるなど、複合立地の要素がある。

そのため、店舗経営相談員であるオペレーション・フィールド・カウンセラーとオーナーが相談しながら、立地別モデル棚割りを踏まえて、立地特性にあわせて個店にあった棚割りを作成できる体制を目指す。

<新レイアウトタイプF1導入店舗>
新レイアウトタイプF1導入店舗

セブン-イレブンでは、2018年2月期から冷凍食品・デイリー商品・ファストフードを強化した新レイアウト「タイプF1」を展開する。2019年2月期第3四半期からは、既存店改装で導入しやすい新レイアウト「タイプF2」を投入し、新レイアウトの導入を加速している。

2018年度に新レイアウトを導入し、定点観測を実施している855店の8月度実績によると、平均日販は既存店に比べて1万5300円高く、1日あたり客数は10.4人増え、月額の売上総利益は14万2200円増加している。

日販の伸びをカテゴリー別で見ると、タバコ5000円、冷凍食品3500円、麺類2300円、ソフトドリンク1300円、米飯1200円、サンドイッチ1000円、牛乳・乳飲料900円、アイスクリーム900円の増加となった。

また、新レイアウトでは特に強化していない酒類は、ビール・日本酒・洋酒などの合計で1000円以上の増加となっている。

<井阪社長>
井阪社長

井坂隆一社長は、「なんとしてもしっかりとやらなければいけないことは、売上を上げることだ。新レイアウトは、冷凍ショーケースが入ることで、壁面の冷蔵ケースにあるデイリー商品やチルド飲料が見えやすくなり、迫力のある売場となっている。視認性が高まったこともあり、麺類、米飯、サンドイッチの売上も拡大している」。

「現在、立地にあわせた飲料の拡縮の実験を開始しており、オープンケースで惣菜・おつまみと一緒に、冷してすぐに飲める形で酒類を並べると、今まで体験したことのない数値が取れる結果を得ている。新しいセブン-イレブンの使われ方を感じている。今後、食品だけでなく、飲料を含めたレイアウト変更をする。売場レイアウトを変えただけでは、お客様に響かない。今後、商品も変えていかなければならない」と述べている。

新レイアウトは2020年2月期上期に2600店に導入、下期は4400店に導入する予定だ。順調にレイアウトを変更を進めており、期末には累計1万4000店に新レイアウトを導入する予定だ。

構造改革では、不採算店舗の閉店の加速も掲げている。本部が土地・建物を用意するCタイプの1年以上経過店での不採算店と直営店を最優先に閉店を進める。2019年度下期から2020年度で、約1000店を閉店またはスクラップ&ビルドする。

閉店を加速することで、2018年度対比で、2021年度は年間約50億円の収支を改善する計画だ。同時に、販売管理費の約半数を占める地代家賃の適正化を進める。出店基準を厳格化し、契約形態を見直し、ランニングコストを削減する。既存店家主との交渉も進め、売上と家賃のバランスを見直す。

本部人員の適正化も実施。会計改革では、ペーパーレス化等による人員適正化を進め1100人を550人に削減する。一部外部委託業務の内製化なども含め、約14億円のコスト削減を見込む。

出店基準の厳格化に合わせて、店舗開発人員の適正化を実施。人口動態にあわせた人員配置を行い、820人を520人に削減する。また、非営業部門の要員構造の見直しも行う。

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