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三越伊勢丹HD/杉江新社長、改革の基本路線は踏襲、不動産事業を強化

2017年03月13日 18:15 / 経営

三越伊勢丹ホールディングスは3月13日、都内で次期社長に就任する杉江俊彦取締役専務執行役員の会見を開いた。

<新社長の杉江氏>

杉江氏は「2016年11月に発表した中長期戦略の方向性は、自分も経営戦略本部長として関わり機関決定も経ているので変えない。具体的な内容は5月の決算・IR時に説明する」と述べた。

同時に発表した組織改正では、ホールディングスに、コーポレート機能とシェアード機能を集約し、事業推進機能を事業会社に集中する体制を発表した。

各社・各事業が自律的に迅速な意思決定で計画を策定・実行し、利益の回復・拡大を目指す。またホールディングスにコーポレート機能を集約することで、各事業会社に横串しをさして、事業構造改革を進める。

現時点で発表・実行している飲食店、旅行、ブライダルといった新規事業に変更はない。まだ発表していない事業・検討中の新規事業については、大幅な見直しを行う方針だ。

成長戦略に位置付ける不動産事業については「J.フロントリテイリングや高島屋は、百貨店事業以外の収益基盤があるため、百貨店事業の不振の影響を受けにくい。当社は百貨店事業のウエイトが高いため、百貨店事業が不振の場合のインパクトが大きい。新宿本店をはじめ先輩たちが残してくれた優良不動産を活用できていない点があり、今後、これを活用していきたい」と語った。

不動産事業については、三井不動産出身の人材も登用しており、今後、国分寺、大船、横浜のクイーンズ伊勢丹の跡地でショッピングセンター事業を行う計画だ。

現社長の大西洋氏については、「個人のマネジメント手法の違いだが、大西社長は現場の若手から意見を良く聞いてそれを吸い上げていた。ただ、役員を含む中間管理職との対話が欠けていた。現場が分かっていても、中間管理職が理解できていなければ、結果的に現場は動かない。私は、中間管理職を含むマネジメント層との対話を重視していきたい」と語った。

大西洋代表取締役社長執行役員と石塚邦雄代表取締役会長執行役員が6月の取締役会でともに退任することについては、「指名報酬委員会からは、新しい体制で経営に臨むためには、経営陣を一新する必要があるとの判断だったと聞いている」と述べた。

三越伊勢丹HDでは、2018年度に営業利益500億円の中期目標を掲げており、2016年11月の中間決算時点でこの目標の達成時期を2020年に変更している。

大西社長と石塚会長は、中期目標が不達の場合の責任の取り方を2016年11月の時点から検討していたという。

店舗閉鎖については「千葉三越と多摩センター三越の閉店をもって、経営に重大なインパクトを与える店舗閉鎖は終了した。現時点では、店舗閉鎖を必要としている店舗はない」と述べた。

構造改革と新規事業の推進を成長戦略の柱とする点で、大西社長と杉江氏と意見は一致していたが、具体的な計画の進め方で意見の食い違いがあったという。

杉江氏は「大西社長は2018年に営業利益500億円を達成するために新規事業を優先する方針を掲げていたが、私は構造改革を進めて、そこで生まれた余剰人員で新規事業をすすめる考えを持っていた。この点では意見に相違があった」と語った。

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