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大型台風上陸/災害発生前「計画休業」基準作りに課題

2019年12月06日経営

流通ニュースはこのほど、10月に首都圏に上陸した大型台風の災害対応について、各社の方針をまとめた。

<台風19号による増水した荒川>
台風19号による増水した荒川
※2019年10月13日編集部撮影

2019年は例年になく台風による被害が多かった。日本チェーンストア協会が12月3日に発表した、チェーンストア広報担当者が選ぶ「2019年チェーンストア10大ニュース」でも、2位に「全国各地での自然災害等の脅威(地震、豪雨、台風被害、猛暑)」、8位に「台風や豪雨での災害時の計画休業相次ぐ」がランクインした。

10月12日に本州に上陸した台風19号は、もっと勢力が強い台風で、JR東日本を初めてとする鉄道各社が計画運休をしたことを受け、多くの小売店舗や飲食店が計画休業した。

これまでの店舗休業は、阪神淡路大震災、東日本大震災など大規模な地震を受け、ライフラインや店舗そのものが損傷したことを受けて休業していた。

今年は、はじめて、災害による被害が発生する前に店舗休業を決定する異例の事態を経験したことになる。

■計画運休、従業員が出勤できず休業

大手卸売業の三菱食品は、台風19号の対応について、「小売業各社で休業するかどうかの判断を下す時間の差が大きかった。深夜から未明にかけて台風が上陸するとのことで、夕方以降に店舗を休業するとの連絡があり3分の1程度のトラックが引き返すことになった。深夜を過ぎて、いよいよ風雨が強くなってきた時には、自社の判断で休配を決定し、取引先に伝えた」と当時の状況を振り返る。

森山透社長は、「休配するかどうかの判断は、何よりも人命を一番に考えている。そして、現場で判断することが重要だ。災害時は本社では分からないことが多い。現時点では、災害発生前に当社から休配を告知することはないが、今後、大型台風が襲来し甚大な被害が予想される場合の事前対応の基準づくりも必要になると思う」と述べている。

流通ニュースでは、台風19号が上陸する前の10月11日、スーパー、コンビニ、百貨店、ショッピングンセンターの計画休業について、まとめ記事を掲載した。

百貨店は、駅直結のターミナル立地にあり、生活必需品の取り扱いが少ないこともあり、鉄道各社の計画運休が発表された11日、午前中時点で12日の休業を決定した社が目立った。

三越伊勢丹は、「駅直結の店舗が多く、鉄道が動かなければ、従業員も出勤できず、お客様も来店できないため休業する」と述べている。

郊外立地が多いショッピングセンターも多くの施設が、「従業員の安全確保、出勤の困難さを配慮して休業を決定した」という。

コンビニ各社は、12日深夜からの台風上陸を受け、各店舗へ商品供給できない状況が予想されることから、該当する店舗の休業を決定した。出勤する従業員の安全確保という視点も重視されていた。

百貨店やショッピングセンターは、生活必需品を買い求めるのではなく、レジャー的に利用する側面も強い。社会のライフラインという位置づけが全面に出にくい要素もあり、休業の判断が早い企業が目立った。

■社会インフラとしての小売業「誰が、いつ休業を決定するのか」

一方で、スーパー各社は三菱食品の証言を裏付けるように、休業の決定時期や対応が分かれた。

台風上陸が予想されていた東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県を中心に展開するチェーンでは、比較的早く、イトーヨーカ堂、マルエツ、ヤオコーなど休業を早く決定した企業が多かった。

一方で、休業決定までに、相当の時間を要した企業もあった。また、個店主義を掲げる全国展開のディスカウントストアは、「災害時の休業判断も店長判断としている。そのため、休業店舗数はホームページで確認してほしい」と述べていた。

全国で総合スーパーを展開する大手企業は、「当社は、社会インフラとしての責任がある。郊外立地が多く、車で通勤する従業員も多い。従業員の安全確保を最優先に可能な限り営業は続けたい」とコメントしていた。

12日に休業を決定したヤオコーの川野澄人社長は、「休業の判断自体は正しかったと思っている。ただ、同じ川越市内でも本部がある市街地は被害が少なく、川の氾濫があったエリアは大きな被害があるといったことが起きた。やはり本部だけでは分からないことが多い。今後は、店長、地区マネージャーなど、より現場に近いところで、個別に休業の判断ができることも必要になるだろう」と述べている。

東京都を中心に食品スーパーを展開する中堅企業の経営者は、「食品スーパーは、社会インフラとして意味合いがあるため、台風が上陸して従業員が安全に帰宅できなくなる危険性を回避した上で、午前中は営業し、午後から休業する判断をした。自分自身も店頭に立ち、最後に店を後にした。判断は間違っていなかったと思う。ただ、SNSを見ると実名を挙げて、『台風の中、従業員を出勤させるひどい経営者』がいるとコメントされてしまった。来店したお客様には感謝もされたが、休業の判断の仕方については今後も検討したい。首都圏では、鉄道というインフラが運休することもひとつの判断基準になる」と語っていた。

店舗を運営するためには、従業員のほか、商品供給を担う卸売業の機能も必要となる。これまで経験したことがない、災害発生前の休業判断について、誰が、いつ休業を決定するのか、判断基準づくりが課題となっている。

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