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ワタミ/渡辺会長に聞く「居酒屋からファミリー・テイクアウト強化」

2020年06月12日 15:30 / 経営

ワタミは、緊急事態宣言の発令、新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業などにより、4月、5月連続で国内外食既存店売上高が9割減となるなど厳しい状況にある。「居酒屋業態は今より店舗・売上が3割縮小する。ファミリー向け外食、テイクアウト、デリバリー事業を強化する」という渡辺美樹会長に今後の展開を聞いた。

※同インタビューは6月11日「上村牧場メディア向け事業説明会」で行われた。

<渡辺美樹氏>
渡辺美樹会長

――厳しい状況が続く居酒屋業態ですが、今後の出店計画について教えてください。

渡辺 今、直営居酒屋は約400店ありますが、3割なくさなければいけないと思っています。(店が減れば)その分売上も3割くらい減るとみています。この7割になったマーケットでいかにお客様を集めていける業態を作っていくか構想中です。これから広げていくため、ファミリー向け外食、テイクアウト、デリバリー業態を強化します。

――新たにファミリー向け業態「上村牧場」を立ち上げましたね。

渡辺 和牛など焼肉食べ放題の新業態になります。鹿児島でおいしい和牛を育成、加工、販売を手掛けるカミチクグループと合弁会社を設立し、和牛食べ放題で税別3980円という圧倒的な価格を実現しました。

<左・カミチク上村昌志社長、右・渡辺会長>
左・カミチク上村昌志社長、右・渡辺会長

――狙い通り、ファミリーを取り込めているのでしょうか。

渡辺 5月16日に1号店を東京・蒲田にオープンしましたが、平日で日商40万~50万円、週末で100万円前後売り上げています。お客様のデータを見ると、店の半径500m以内の地元の方中心に口コミで広がっているようです。おいしい和牛が3980円で食べられる、どこにもできない値段なのが大きいと思います。

今後5年で国内200店、海外10カ国100店、10年で国内400店、海外20カ国300店の出店を目指します。

――上村牧場で居酒屋業態の売上減を補うということでしょうか。

渡辺 上村牧場で、居酒屋業態の3割減ると見込まれる売上をカバーします。その上で、揚げたてから揚げとテリー伊藤こだわりの玉子焼きの店「から揚げの天才」などテイクアウト業態、デリバリー業態を強化し、さらなる売上増につなげます。

<ファミリー向け新業態を開発>
ファミリー向け新業態を開発

――「から揚げの天才」の出店計画を教えてください。

渡辺 7月までに25店出店し、7月末で全体で30店を超えます。年内には50店体制を目指します。

――休業などもありましたが、どのように雇用を守っていますか。

渡辺 緊急事態宣言などで休業中、スーパーマーケットなどを運営するロピアと、出向基本契約を締結し、現在130~140人の社員を出向させています。

また、ワタミには環境などの事業もありますので、環境・エネルギー分野などの会社にも積極的に出向させ、インターンのように従業員に勉強してもらっています。出向先との賃金の差額はワタミが負担としており、出向前と同じ金額の給料を保証しています。

――人材派遣会社も設立していますね。

渡辺 5月に人材派遣会社を設立しました。出向ですと、1カ月単位で働くことになりますので、短期の需要に対応できません。3日、5日など短期での人材需要に対し、派遣会社を設立することで、柔軟に対応します。厳しい状況ですが、なんとしてでも雇用を守るという思いの中で、事業を進めています。

■関連記事「ワタミ/和牛焼肉食べ放題「上村牧場」でファミリー層獲得へ」
https://www.ryutsuu.biz/report/m061116.html

■渡辺美樹氏略歴
1959年10月5日生まれ
1984年4月:渡美商事設立 代表取締役
1986年5月:ワタミ設立 代表取締役社長
2009年6月:代表取締役会長・CEO
2011年2月:取締役最高顧問
2011年5月:取締役会長(非常勤)
2013年7月:参議院議員
2019年7月:取締役
2019年10月:代表取締役会長兼グループCEO(現任)

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