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地ビール70社/1~8月総出荷量25%減の6666キロリットル、地元販売強化も

2020年10月07日 14:40 / 経営

東京商工リサーチは10月6日、「第11回地ビールメーカー動向調査」結果を発表した。

全国の主要地ビールメーカー70社の2020年1~8月の総出荷量は6666.2キロリットル(前年同期比25.1%減)だった。調査を開始した2010年以降、1~8月の出荷量が前年同期を割り込むのは初めてだという。

<地ビールメーカー出荷量月次推移>
地ビールメーカー出荷量月次推移
※出典:東京商工リサーチホームページ(以下同)

2019年1~8月は出荷量が前年同期比4.0%の増加だったが、2020年は2月から新型コロナウイルス感染拡大に見舞われ、地ビールメーカー各社の出荷量が大きく落ち込んだ。

新型コロナ影響で外食向け不調

3月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月(30.4%減)、4月(51.0%減)と出荷量が減少。全国的に緊急事態宣言の影響を受けた5月(58.0%減)は過去最大の下げ幅を記録した。

出荷増加が期待された8月(14.0%減)も感染者数が増加をたどったことから、外出自粛や飲食店の営業時短などの煽りで、前年を割り込んだ。この結果、3月以降、一度も前年を上回る月はなかった。

出荷量減少の要因は、「飲食店、レストラン向けが不調」が21社(構成比30.4%)と最も多かった。「観光需要の喪失」は19社(27.5%)、「イベントの開催中止、延期」は13社(18.8%)だった。「その他」では、「ふるさと納税返礼品の対象から外れた」や「輸出がストップしたため」などとなっている。

飲食店の来店客減少、イベント再開時期の不透明感に不安

新型コロナの影響について(有効回答72社)は、「悪い影響」との回答が69社(構成比95.8%)にのぼった。

<外食・イベント・観光の不調を懸念>
外食・イベント・観光の不調を懸念

新型コロナ感染拡大による今後の懸念(複数回答あり)は、「三密回避などによる飲食店の来店客の減少」が55社(構成比28.9%)、「イベントの再開時期の不透明感による来年以降の出荷環境」が53社(27.9%)、「レジャー需要減退による観光地(インバウンドや道の駅なども含む)での消費の減少」が49社(25.8%)だった。

巣ごもり傾向に伴う「アルコール飲料の消費の減少」や「ネット、通販、小売販売の競争激化」を不安要因にあげるメーカーもあった。

出荷量は9年連続でエチゴビール(新潟県)がトップ

<2020年1~8月の出荷量ランキング>
2020年1~8月の出荷量ランキング

2020年1~8月の出荷量ランキングは、地ビール醸造では全国第一号のエチゴビール(新潟県)が9年連続でトップとなっている。

出荷量は1712キロリットル(前年同期比15.8%減)と2位以下を大きく引き離した。エチゴビールの阿部誠代表取締役は、「輸出が減少した。今後は国内小売業への配荷拡大を進める」とコメントしている。

2位は「常陸野ネストビール」の木内酒造(茨城県)で、出荷量は907キロリットル(35.9%減)。3位は「べアレン・クラッシック」のベアレン醸造所(岩手県)の461キロリットル(17.9%増)。4位は「伊勢角屋麦酒」の二軒茶屋餅角屋本店(三重県)の374キロリットル(2.6%減)、5位は「サンクトガーレン」のサンクトガーレン(神奈川県)の285キロリットル(10.7%減)だった。

1~8月の出荷量が100キロリットルを超えた地ビールメーカーは、前年の23社から9社減の14社となっている。

地区別出荷量の減少率ワーストは北陸

<出荷量は9地区すべてで減少>
出荷量は9地区すべてで減少

70社の実質本社を地区で分けると、出荷量は9地区中、すべてで減少した。出荷量の最多は、関東の3776.6キロリットル(前年同期比25.9%減)となった。

今後、地元中心に東京進出も視野、独自の味を追求

今後の事業展開(有効回答72社)では、「自社地元」の販売に力を入れるが44社(構成比61.1%)と6割を超えた。

<今後の事業展開>
今後の事業展開

次いで、出荷量の増加が期待できる「東京都市部」への進出に意欲をみせるメーカーも15社(20.8%)あった。

大手5大メーカーが地ビール、クラフトビールの製造販売に乗り出す動きも本格化している。そのため、中小の地ビールメーカーは、「独自の味」に注力するが34社(構成比47.2%)、「大手を意識せず従来通りの営業を進める」との回答も27社(37.5%)あった。

同調査は、2020年9月1日~25日に全国の主な地ビールメーカー217社を対象にアンケート調査を実施、分析した。出荷量は2020年1~8月の出荷量が判明した70社(有効回答率32.3%)を有効回答とした。その他の項目は、回答が得られた72社(有効回答率33.1%)を有効回答とした。調査は2010年9月に開始し、今回で11回目。

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