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伊勢丹新宿本店/温室効果ガス排出実質ゼロ実現に向けた実証実験

2022年02月07日 14:40 / 経営

三越伊勢丹ホールディングスは2月7日、「伊勢丹新宿本店」食品フロアで温室効果ガス排出の実質ゼロ実現に向けた実証実験をすると発表した。

現在、お客の暮らしを豊かにする「特別な」百貨店を中核とする小売グループを目指し、サステナビリティ活動では、「持続可能な社会・時代をつなぐ」を重点取り組みの1つとしている。その取り組みの下、2050年環境長期目標に「温室効果ガス排出実質ゼロ」を掲げている。

今回、この目標を達成するため神戸大学とユニテックが技術提供する「AIスマート空調システム」「ウイルスフリーエアシステム」の導入に向けた実証実験を「伊勢丹新宿本店」で開始した。

百貨店業界としては初めての取り組みで、導入フロアの空調で使用しているエネルギー(電力とガス)の年間使用量の従来比50%削減を目指す。運用開始後には、空調のほか照明や動力といった導入フロア全体で使用する総エネルギーの20~25%の削減が見込まれるという。

すでに、2021年12月から「伊勢丹新宿本店本館」地下1階(食品フロア)を対象に、先行実証実験による省エネ効果とウイルス除去効果の検証をスタートしている。検証結果を踏まえて、2023年度中に2つのシステムの「伊勢丹新宿本店」全館への本格導入を進め、全館における空調で使用するエネルギーの年間使用量を従来比で50%削減する。また、今後はグループ百貨店店舗への導入を進める予定だ。

<百貨店店舗における空調設備の課題>
百貨店店舗における空調設備の課題

フロア毎に一括制御体制の空調を採用している百貨店店舗では、売場や時間帯ごとに混雑状況が異なるにもかかわらず、フロア共通の空調環境となっている。しかし、新型コロナウイルス感染症による購買行動の変化等を踏まえ、売場や時間帯ごとの混雑状況に応じた高効率的な空調環境への改善が必要となっている。

AIスマート空調システムは、高度な空間状態認知で人がいる場所に快適な風を運ぶ空調技術。環境省の地球温暖化対策事業により、神戸大学等が2019年に開発し、センサ、IoT、AIなどのデジタルテクノロジーを用いて空調制御する。すでに導入施設において40%以上の省エネ・低炭素化が実証され、地下街や空港等への展開が進んでいる。

また、ウイルスフリーエアシステムは、ウイルス感染リスクの時空間分布に合わせて殺菌能力を持つ空気を運ぶ技術。紫外線照射による循環空気のウイルス不活化や殺菌機能と気流制御による感染リスク低減機能を持つ空調システムとなっている。

AIスマート空調システムと組み合わせることにより、空間内の人数や空気状態等のセンシング(観測)によってオゾン濃度等を安全化しつつ、気流制御によってウイルスアタック(殺菌)する回数を最大化することで短時間でのウイルス除去が可能であり、人体へ悪影響を及ぼすことなくウイルス等の除去効果を高めることができるという。

2つのシステムの導入により、将来的に「伊勢丹新宿本店」全館における空調で使用するエネルギー(電力とガス)の従来比50%削減、全体で使用する総エネルギーの20~25%削減が期待できるという。

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