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UAゼンセン/2022年労働条件改善は育児・介護休暇、カスハラ対策など推進

2022年04月05日 16:00 / 経営

UAゼンセンは4月5日、記者会見を開き、2022年労働条件闘争の妥結状況、総合労働条件の改善などについて報告した。

<2022年はコロナ後の復興のための闘争と松浦会長>
松浦会長

3月末の集計は正社員組合員293組合(31万345人)、パートタイム組合員163組合(55万6946人)、契約社員組合員は32組合が妥結。UAゼンセンの半数弱にあたる組合員の賃上げが決まった。

妥結総合計(単純平均)は正社員6623円(賃上げ率2.39%)、パートタイマー26.6円(同2.58%)だった。

パートタイマーの1人当たりの平均引き上げ率(制度昇給、ベアなど)は、最低賃金が引き上げられたこともあり、3月末時点では正社員を7年連続で上回っている。

松浦昭彦会長は、「2022年はコロナ後の復興のための闘争だった。産業間、企業規模間、雇用形態間の格差是正、人への投資と生産性向上の両立を図った。原材料の高騰がどの企業にも影響している中、(定期昇給などだけでなく)賃上げで一定の高さをとっていった」と説明した。

同一組合比較の部門別は、それぞれが前年、前々年を超える妥結額を獲得。一昨年から継続して賃上げの流れを維持している流通部門は(前年比239円増、前々年比467円増)、総合サービス部門では(前年比1124円、前々年比775円)となっている。

また、総合労働条件の改善では、均等・均衡処遇、労働時間などの問題に加え、今年の要求の特色である育児休業取得促進の成果が見られた。

仕事と生活の両立支援において、上新電機労働組合は、法改正を機に新設される産後パパ休暇と自社イクメン休暇(育児特別休暇)を制度的に統合し、イクメン休暇の日数を28日に拡大。ケーヨー労働組合は育児介護休業法の改正に合わせ、全体への周知発信、管理職への教育研修を行い、男性育休が取りやすい環境を作っていくとしており、男性の育児をする権利を明確にした事例もあった。

<人材獲得のため両立支援に注力する企業増えたと波岸氏>
波岸氏

波岸孝典流通部門事務局長は「優秀な人材獲得のため、学生向けの広報でも両立支援に力を入れる企業が増え、『育児は女性が一方的に担う仕事ではない』という意識付けをしていこうという流れがあった」としている。

西友労働組合では、育児・介護休暇について、勤続1年未満のパート社員も取得できるようにした。イオンモール労働組合は失効積立有給休暇制度への適用要件に「不妊治療」を追加した。

顧客からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求などの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関して、ダスキン労働組合、イオンクレジットサービスユニオン、まいばすけっと労働組合などでは対応方針の明確化などを行う。

波岸氏は「2月に厚生労働省が企業向けのガイドラインを策定したことが、後押しになった。われわれとしてももっと早く出してもらえるよう陳情しており、今後も労使協力して必要な対策をとっていきたい」と述べた。

労働条件の均等・均衡に向けた施策では、ジョイフル労働組合は、傷病有給休暇について正社員のみから全従業員を対象にする。サイゼリヤユニオンは、従業員食事割引の60%適用範囲を正社員のみから、全従業員に拡大することで合意している。

さらに、勤務間インターバル規制11時間の導入・拡大(6組合)を含む勤務時間インターバル制度の改善を推進。サイゼリヤユニオンでは、11時間のインターバルで協定書を結ぶことで合意、上限拘束時間を13時間と設定した。全イズミ労働組合は、勤務間インターバル規制を現在の10時間から11時間に変更する。

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