西友/北海道と九州から撤退、本州での事業に注力
2024年04月03日 17:20 / 経営
西友は4月3日、新たな事業戦略推進に向け、北海道と九州の店舗事業を譲渡することを決定したと発表した。
店舗譲渡は、西友が将来の成長に向けて、本州での事業運営に注力する戦略の一環となる。
北海道事業(9店舗)は、イオン北海道に譲渡する契約を締結した。イオン北海道は北海道において現在170店舗を展開している。今後、西友のGMS9店舗はイオン北海道の下で、さらなる成長を目指す。
九州の事業(69店舗)は、イズミに譲渡する。イズミグループは2月末時点で、九州全域で84店舗を運営、今後も、九州を重点エリアの一つと考えており、西友の九州事業にとってイズミは最善のパートナーになると判断したという。西友が所有する69のサニー店舗はイズミと統合、今後も引き続き九州地域に根ざしたスーパーとして、地域の人々の毎日の暮らしをサポートする。
今回の北海道および九州の店舗事業譲渡は、西友がさらなる発展を目指すために策定した本州を基盤と位置付ける戦略推進の第一歩となる。西友の過去3年間の営業利益をみると、2021年度の162億円から、2022年度242億円、2023年度315億円と順調に成長を実現している。今後は、M&Aによる事業拡大も視野に入れながら、本州に経営資源を集中させ、さらには、物流やAI/DX、データ活用人財育成への投資を加速させる計画だ。
また、譲渡においては、既存従業員の雇用確保を最優先に考えており、今回の決定に伴う人員整理は予定していない。北海道・九州店舗の従業員は、譲渡先の両企業において引き続き業務に従事する。
西友の大久保恒夫社長は、「西友は過去3年間で地域に密着した食品スーパーしての地位を固め、今日ではその競争力のある価格設定と質の高い商品やサービスが評価されるようになっている。一方で、日本には地域ごとに非常に豊かな食文化があり、きめ細かな対応が必要となる。北海道および九州ともに、ここまで順調に利益を生み出してきたが、今後は西友が最も熟知する本州をコア地域として、そこで展開する200強の店舗において最高の価値を提供すべく経営資源を集中させる。お客様に卓越した顧客体験を提供し、変化し続けるニーズに応えるとともに、デジタル化を通じてお買い物をより身近なものにするという西友のコミットメントは今後も変わらない」としている。
KKRジャパンのパートナーであり、西友の取締役の谷田川英治氏は、「国内有数の小売業者として西友が日本の消費者に優れた価値や利便性を提供し続けることができるよう、過去3年の間に様々な施策を講じた。これまで西友は、収益性、顧客満足度、従業員エンゲージメント、財務目標等、主要分野における経営・財務目標を継続して達成している。次の新たな成長ステージを見据えた時に、経営陣は、今後は西友が得意とする本州に経営資源を集中させ、本州における一段のプレゼンス拡大に注力することが最善であると判断した。小売業の神髄を成すサプライチェーンの観点からも、本州の店舗に注力することで一段と効率的に質の高いサービスを提供できるとみている」とコメントしている。
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