三越伊勢丹ホールディングスは5月20日、三越伊勢丹の日本橋三越本店(本館)が、同日に開催された文化審議会の答申を受け、重要文化財の指定を受けると発表した。
日本橋三越本店(本館)は「わが国の百貨店の歴史を象徴する」ものとして評価された。建築面積は8490.88㎡で、鉄骨鉄筋コンクリート造、7階建、地下1階、塔屋6所付が指定を受ける。
「戦前期の商業建築を多数建築した横河工務所(現:横河建築設計事務所)による一貫した設計により、外観はやや簡略化しつつも西洋古典様式に則った重厚な意匠で統一しつつ、内部では重厚な色調で彩られた三越劇場、幾何的意匠の中央ホール、特別食堂など各時代の先駆的な意匠を採用し、全体として極めて質の高い空間を創出しており意匠的に優秀である」と評価された。
「デパートメントストア宣言」をした1904年(明治37年)から110年後、2014年3月に三越日本橋本店は「カルチャーリゾート百貨店宣言」をした。
日本文化の発信拠点として、ファッションだけではとらえきれない日本の美意識を伝える取り組みを行い、楽しい時間を過ごしてもらえる日本一楽しめる店・遊べる店を目指している。
1914年に三越日本橋本店(本館)が完成してから102年経った今でも、変わらない姿で、お客に買い物を楽しんでもらっている。
主な部分の特徴では、外観は、全体的に古典様式の文脈で構成されるが、アーチを用いない水平、垂直線を強調した構成や、高塔(金字塔)のアールデコ風の装飾など新しい様式も取り入れている。
昭和10年以降の増築部についても、意匠をやや簡略化しつつも昭和2年建築部の外観と統一感を持たせている。
中央ホールは、5層吹抜の大空間で、天井はステンドグラスをヴォールト状に配したトップライトとする。柱や梁、手摺廻りは大理石張りとし、手摺グリルやガラスなどをアールデコ風の装飾で飾っている。
三越劇場は、2層吹抜で東にステージを設けた劇場。壁面と天井は大理石、木彫、石膏整形やステンドグラスなどにより装飾され、グレーを基調としてさまざまな紋様や幾何学模様をペイント色彩で着色するなど、重厚で濃密な空間を構成している。
特別食堂は、フランスの室内装飾家ルネ・プルーによるアールデコで飾られる。緑色大理石の丸柱や柱頭部の持送り、壁面のグリルなど当時の潮流を示している。
■日本橋三越本店
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/index.html
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