くら寿司/10月期、米国子会社苦戦で2億6200万円の当期損失
2020年12月03日 10:30 / 決算
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くら寿司が12月2日に発表した2020年10月期決算は、売上高1358億3500万円(前年同期比0.2%減)、営業利益3億5000万円(93.6%減)、経常利益11億3500万円(81.5%減)、当期損失は2億6200万円(前期は37億6600万円の黒字)となった。
日本単体における経常利益は、第4四半期の急回復もあり29億5300万円となったものの、主に米国子会社における営業制限による損失や日本の店舗減損損失などの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2億6200万円となった。
国内では、顧客と従業員の安全を第一に考え、他社に先駆けて、さまざまな感染防止対策を講じた。2011年から全店に導入済みの抗菌寿司カバー「鮮度くん」のほか、2020年5月には、レジ前や座席間への抗菌シートを全店に設置した。
10月には「池袋サンシャイン60通り店」「なんば日本橋店」において、お客の入店から退店まで店員と接触しない「完全非接触店舗」のテスト稼働を開始した。
店舗では、入店時に「自動受付機」と「自動案内機」で座席まで自動的に案内。利用者自身のスマートホンで注文できる「スマホで注文」、レーン上に取り付けたAIカメラでレーンから取ったお皿を自動カウントする「セルフチェック」、精算時には非接触パネルを用いた「セルフレジ」を導入し、入店から退店まで顧客と従業員が全く接触しない店舗を実現した。
26期以降にオープンする店舗は、全店舗を完全コンタクトレス&タッチレスの「スマートくらレストラン」とする予定。「スマートくらレストラン」では、利用者と従業員の安全面だけではなく、従業員の作業も削減して、顧客回転率をアップするなどの効率的な店舗運営を目指す。
商品開発では、テイクアウト需要の増大に対応し、家庭でくら寿司の味を楽しめる「おうちdeくら寿司」サービスを充実したほか、2020年5月にはうどんやラーメンの持ち帰り販売を一部店舗で開始した。
また、販売促進では6月と9~10月に実施した人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンが全国的に大きな話題となったことで、6月には平日1日あたりの売上記録を更新。9月には既存店の売上高が7か月ぶりに100%を超え、10月には26%増を記録した。
このような施策を行った結果、日本国内における全店売上高前年比は4月に50%台まで落ち込んだものの、その後大きく回復し、通期では0.5%増とわずかながらも過去最高の売上を更新した。
一方、米国子会社Kura Sushi USA, Inc.(KSU)は、2020年3月にカリフォルニア州などに外出禁止令(Stay-at-Home Order)が発令されたのを皮切りに、全米で店舗の閉店を余儀なくされた。その後一時規制緩和されたが再度、店内飲食や店内座席数が制限されたため非常に厳しい状況となった。
台湾子会社亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)は、台湾政府による新型コロナウイルス対策などが功を奏し、台湾国内での経済活動がほぼ正常化したことから、計画通りに新規出店するなど積極的な投資を行った。
2021年10月期の連結業績予想については、新型コロナウイルスの収束時期の見通しが立たず、今後の内外需要動向や人的移動、営業規制などの実施が与える影響が不透明で判断が難しいことから未定とした。
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