日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(以下:日本インフォア)が提供する食品、医薬、乳製品、飲料・ビール、ケミカルといったプロセス製造業向けに特化したサプライチェーンソリューション「Infor Process Essentials」について、ビジネスコンサルティング本部の笹俊文本部長に伺った。
――プロセス製造業とは
プロセス製造業は、基本的に物を作ったあと原材料に戻せないもの例えば、食肉加工、乳製品、飲料・ビール、食品、医薬、化学といった分野のメーカーのことで、日本インフォアでは、2年前からこの業界へのソリューション展開を進めています。
――サプライチェーンソリューションについて
ERP分野は医薬を中心にSAPのシェアが高いため、ERPとは別に、サプライチェーン上の需給バランスとか生産スケジューリングといった分野において新製品を日本語化してソリューションをラインナップしました。
まず、企業内で全体的な需給計画をたてるInfor SCM Advanced Plannerを用いて、1週間単位ぐらいまで落とし込んだ供給計画を決めると、1週間の中で工場の中にあるラインとかタンクの割り振りとか工場の細かいスケジューリングを行うのがInfor SCM Advanced Schedulerであり、その前段にある顧客や市場の需要予測を行うのがInfor SCM Demand Planningの3製品です。
この3製品については、海外での既存ユーザーでもSAPなどの大手ERPユーザーが多く、それらとのシステム連携において導入ノウハウがあるということと、他社の汎用ERPベンダーでも同様のソリューションはあるものの、プロセス製造専用のものがなく、なかなか要件を満たさないことがあります。
その点、弊社のソリューションは完全にプロセス製造に特化しているので、グローバルで導入が進んでいるわけです。例えば、ビールのモリソンクアーズの基幹はSAP、サプライチェーンは弊社で固めています。
<プロセス製造業の複雑なニーズに応えるソリューション群>
――プロセス製造業の特徴、課題は
組み立てとプロセスの大きな違いは、プロセス製造の場合は、食品加工や化学分野では製品を作ると自動的に副産物が出てくるものが多く、また、製造工程に精製、攪拌、充填など様々な工程が必要なため、生産計画に含まれる要件が複雑になる特性があります。
例えば鶏肉についてみてみると加工して販売するのか、精肉としてで販売するのか、鶏肉から様々な商品が生産できるので、それをどういうふうに組み合わされば、それぞれの商品の需要を満たしながら一番利益があがる生産活動できるかまでを考慮しないと、ある一部の鶏肉の部位に需要があるからといって、そのまま鶏肉を加工すると、そこから連産品、関連副産物ができるので、そこでの需給のバランスというのが非常に複雑化してきます。
牛乳も一緒で、生乳を買ってきて、牛乳を作るのか、チーズ、ヨーグルトを作るのかを前提で計画をする分野です。さらに牛乳の場合は、今月は需要が少ないので生乳を買わないというわけには、供給者側との関係があって抑制するのが難しい事情があり、生乳はある程度、一定量を常に供給を受ける前提で生産計画を立てる必要があるわけです。
その場合、今日仕入れるものからバターにするのかチーズにするのか毎日毎日バランスをとって製造しなくてはいけないわけです。
――ソリューションが提供できる内容
<需給計画のバランスを取るためのソリューション>
生産計画を立てても原料の賞味期限とか、小売からの高品質レベルでの要求に対応できるツールに仕上げています。
製品のそれぞれの需要が、製品によって違うため、製品ごとにどこの工場、プラントでどれだけ作ればいいかを計算し、週ごとに需要を見ながら生産計画をたて、その後、日別の生産スケジュールを3シフトとかに区切って調整していきます。
どういうふうに組み合わせれば、コスト的に最適なのか、自社で生産する場合、飲料であればパッカーといわれる委託業者なども組み込んで、どう作り分ければいいかを生産量のバランスだけでなくコストのバランスを考慮して判断することが可能なツールになっています。
プロセス製造の場合、食用油のケースだと、充填という最終パッケージ工程が行われる場合に油のバルクができていないといけないので、搾油して精製というプロセスが事前に完了しておくことが必要になります。
また、充填処理が細切れで継続するとバルクを貯めておくタンクを占有してしまうので、他の製品が作れなくなるので、どこかの時点で需要とは関係なくすべて充填包装して吐き出さなければいけないという判断が必要になります。
タンクに3日以上あると純度が下がる、もしくはグレードが下がるので、その前に作り上げなければいけない。そういったものまでバランスをとらないといけないのです。
日本では、原料購入の計画者と生産の計画と充填の計画、デポへの物流計画をそれぞれ別の方が立てていることが多いです。そうなると、それぞれの担当者の計画の連携の頻度が、どうしても粗くなってしまう。
そのため、それぞれの間に連携のタイムラグを埋めるための中間在庫を持たざる負えない状態になってしまう。
弊社のツールは、このような各部署でそれぞれで立てられている計画を一気に一元化されたプラットフォームに乗せるのが目的のツールとなっています。
――需給計画の最適化については
需給計画といっても様々な制約条件を考慮して最適化をしたいという要望があるので、原材料、設備のラインキャパシティ、作業をする人といったものが制約として定義され、インプットとしての変数があって、それをもとに何を計算してアウトプットとするかがツール上でそれぞれがオブジェクトという概念で定義されています。
オブジェクトが、原材料であったり、製品だったり、工場だったり、こういうものをオブジェクトとして定義していくわけです。
例えば、製品というオブジェクトを定義するとき要素として賞味期限とかロットまるめの数量とか、そういうものが定義されていて、それの関係づけをおこなって、それぞれの依存関係の中から制約条件なども定義していくイメージです。
ここでオブジェクトの定義を行った後、そのオブジェクトの中の構成要素が条件になっていきますので、需給計画をする場合、納期が重要なのか、もしくはコストが重要なのかそれぞれで優先順位を定義して、最適解を作りだすようにワークフローを組みます。
ここで出てきた解をお客さんが見やすいように表示画面も自由に定義できる機能も設けています。
――需給計画の顧客は
<Infor SCM Advanced Plannerとは?>
こういったツールは市場にも事例がございますが、他社の製品ではエンジンをもとに周りを手作りで作り上げるので、数億円をかけていますが、弊社のこのツールでは5000万円ぐらいで提案できます。
食品業界などは、大手メーカーが少なく、中小メーカーが多い業界なので、なるべく安価にソリューションを利用していただく環境を整え、この業界に打って出たいと思っています。
食品業界の事例は欧米でも多いのですが、週単位の需給計画を作る短期系の計画を作られる場合、だいたい工場のキャパシティとか既存の生産の流れを見ていますが、今後3年で、新製品をどんどん投入していきたいといった場合は、既存の設備で、そこまで賄えるのかといった長期計画を立てるためにこのモデル計画を作られているお客さんもいます。
このように短期需給計画用、長期投資計画用の二つのモデルを作っても一つのツール上で使う人が違うだけで動きますので、様々なお客様に多目的に利用していただけます。
――生産スケジュールについては
<Infor Advanced Scheduler 主な機能>
Advanced Plannerで需給計画のマスタープランを定義後、Advanced Schedulerでそのマスタープランに基づき、実行可能且つ最適な生産効率/生産順序を加味した生産スケジュールを立てます。
弊社のスケジューラーは通常の組立製造業向けのものと違って後工程である充填工程から遡ってスケジュール展開します。充填のスケジュールを立てた後に、この充填するためにはいつまでに、どのタンクにどのバルクを入れておかないといけないか、それまでにどの原液と混合処理しおかないといけないかなど、後工程から前へ前へとバックワードにスケジューリングしていくわけです。
さらに飲料などは液体ものなのでタンクの洗浄というものが入ってきます。例えば食品系であれば、味やにおいなどが付いているものの入れ替わる場合だと洗浄の仕方が変わったりします。
インクであれば、白と黒の場合、どっちを先に作るかといった作る順番によって洗浄とか段取りが代わってきますので、それぞれの製品によって依存関係が変わってきます。そのような依存関係をマトリックスで組んでおいて、どういう順番でやれば、一番段取り替えが短くて作っていけるかといったことをスケジューラーの中でやります。
タンクの割り振りの複雑性とか可変する段取り替えの時間調整とか、こういった条件を非常に考慮しやすいツールになっています。
――販売予測、製品在庫のシュミレーションについては
<Infor SCM Demand Planning>
需給計画を立てる上で一番上流となる需要を予測するツールであるDemand Planningは、過去の販売実績から将来の販売予測、製品の安全在庫のシミュレーション、各倉庫への在庫補充計画などを立案します。
もともとの過去の需要を取り込んで、ベイズ理論という統計理論を用いて将来の需要予測をします。また、予測したもの個別製品の予測数に対してどのように在庫を持っていれば欠品率を一番減らせるか。
そういった在庫のシュミレーションをして、安全在庫の定義をして、その在庫を満たすためにはどこの時点で、工場から物流センターに物が補充されればいいかという、一連の流れが計画できるツールです。
このようなツールは、よく消費財、化粧品、食品などの業界で利用していただいてます。
これらのツールで算出した予測数をコラボレートという機能を使って他部門に開示して、マーケティング部門、販売部門など他の部門と情報が共有されて、微調整されないと、結局、計画担当者だけでは、現実の施策を踏まえた上での需要予測が策定できないということになりますので。
最近では、単に需要を予測するという目的だけでなく情報を共有し、精査するプロセスまでツールの中で実現することが特徴的になってきています。
<ビジネスコンサルティング本部の笹俊文本部長>
■問い合わせ
日本インフォア・グローバル・ソリューションズ
マーケティング本部
TEL.03-6911-5320
japaninfo@infor.com
http://www.infor.jp/solutions/scm/
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