三井不動産／商業施設売上高1兆700億円、商業施設事業の全容

2017年03月07日 17:20 ／流通最前線トレンド&マーケティング

少子高齢化へは、社内の若手・ママ社員の提案で対応

――少子高齢化や所得の伸び悩みなど、マーケットが変化していますが、これからの商業施設事業本部の対応策は。

石神　マーケットは、人口ボーナス社会から、人口オーナス社会に転換をしてきています。

高齢化、あるいはインターネットの発達も社会に変化を与えています。人の思考自体もずいぶん変わってきていると理解しています。

注）人口オーナス社会とは、人口が経済発展にとって重荷となった状態を指し、生産年齢人口が急減し、同時に高齢人口が急増する状態。

モノを売るだけのショッピングセンターの時代はもう終わっていると思っています。弊社施設で言いますと、例えば、体験型のコンテンツとして、「キッザニア」に出店いただいたり、大阪のEXPOCITYでは、「ニフレル」（水族館、動物園、美術館のジャンルを超えて、まるでアートを楽しむように、生きものや自然の魅力を直感的に楽しめるミュージアム）や日本一の観覧車「Osaka Wheel」（高さ123m）を誘致したりしています。

モノを売るだけのところから、いわゆるコト消費を意識した施設作りにシフトしています。コト消費という言葉は、使い古されていますが、お客様がモノを買うだけでなく、楽しんでいただけるような施設を作っていきたいと思っています。

それをさらに発展させていくと、子育て世代に優しい施設を作ることや、ソフト面ではワークショップやイベントを開催して、お客様にさまざまな情報や機会を提供していくことで、施設の価値が高まり、支持される施設になるわけです。そのためのトライをずっと行っています。

私はもうすぐ60歳になりますが、このような取り組みは、やはり若手のアイデアが必要です。例えば、弊社内のママ社員を集めてチームを作り、「商業施設で何をしたら、ママに優しいのか」を検討し、実践する「ママwithららぽーと」という取り組みを行っています。

――どんな提案がありますか。

石神　やはり僕らでは、なかなか思いつかないことです。具体的な例でいいますと、女性用トイレの個室に子どもを連れて行った際に、子どもが鍵を開けてしまうことがあるそうです。そこで、子どもの手が届かない所にもう一つ鍵を付けようという発想が生まれてくるわけです。

――子育てしていないと分からないことですね。

石神　あるいは、食事をする時に、テーブルにずっと子どもが座っていないことがあります。多少、寝転んだりしていても大丈夫なような小上がりみたいなスペースがフードコートに欲しいとか、ママならではの提案がいろいろあります。

オムツが足りなくなった時、1枚だけ欲しいという要望に、応えられる仕組みを作るにはどうしたら良いかなどを提案、検討してくれています。そのような小さな気付きに対応することで、サービスを進化させられると思っています。

＜ららぽーと和泉フードコートのキッズエリア＞