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ローソン/既存技術活用「深夜省人化」FC店公開、多店舗展開視野に

ローソンは8月23日0時から約半年間、横浜市磯子区の「ローソン氷取沢町店」で「スマート店舗(深夜省人化)」の実験を行う。23日、報道陣に店舗を公開した。

<ローソン氷取沢町店>
ローソン氷取沢町店

人手不足に起因して加盟店の深夜営業への負担が高まっていることに対応した施策。すでに実用化されている既存技術を活用して、0時~5時までの深夜時間帯の省人化を図ることで、加盟店を支援する。

実験店の深夜時間帯は通常2人の従業員を配置しているが、スマート店舗化することで1人の従業員で運営できる体制とし、人件費の削減を目指す。

専務執行役員の宮崎純コミュニケーション本部長は、「直営店は社員が運営するため、本部がやろうとすることを成功させようとしてしまう。より実態にあった実験をするために、本当の意見がでやすい加盟店での実験を開始した。多店舗展開を前提とした実験であり、深夜の営業で困っている加盟店を支援したい」と実験の趣旨を説明した。

今回、20店を運営するオーナー理事会の理事長が運営する店舗に、実験をお願いした。

<実験の概要>
実験の概要

現在、コンビニ各社では、営業時間を短縮する非24時間営業の実験が進んでいる。一方で、営業時間を短縮する場合、閉店に向けて商品を売り切るため品ぞろえが悪くなることや、閉店・開店のオペレーション負荷がかかり、数時間の時短営業だけでは、大幅な加盟店の負担軽減にならない課題も指摘されていた。

宮崎本部長は、「当社はすでに61店の加盟店で非24時間営業を実施している。これまでの実績として、閉店に向けて廃棄ロスを減らすため、閉店前の品ぞろえが悪くなり売上が落ちることもある。見切り販売をしながら、品ぞろえを維持するための、発注・廃棄・見切りの組み合わせが難しい。時短店は難しいというのが、これまでのデータからの判断だ」と述べ、省人化による24時間営業の実験を目指した理由を解説した。

また、非24時間営業になった場合、閉店した深夜の時間帯だけでなく昼間の売上も減ることが指摘されていることについては、「深夜に閉店したことで売上が減るかどうかは、競合店があるかないかの影響がある。時短店にした場合、閉店のための売り減らしもあり、結果的に品ぞろえが悪くなり、競合店にお客様がいってしまうという仮説がある」と述べた。売上高の減少と人件費の削減を考慮すると、利益が減った加盟店と利益が増えた加盟店があるという。

<店舗入口で無人営業を告知>
店舗入口で無人営業を告知

スマート店舗の投資は本部負担で、投資額は約1000万円程度。今回は実験のため、多めの省人化設備を導入した。実験を検証した上で、導入設備の見直しを図るほか、多店舗導入による省人化機器の調達コストの削減を図り、本格展開時には、より低い投資コストを目指す。

氷取沢町店は、幹線通り「笹下釜利谷道路」沿いの住宅地にあり、約300m先には「セブン-イレブン横浜上中里南店」が立地する。

店舗には、近隣住民のほか、幹線通りを利用するドライバーが来店している。同店の0時~5時の来店客数は約30人で、全国平均と比べると若干少ない。実験にあたり、一般の店舗よりも来店客数が少なめの店舗を選定した。

宮崎本部長は、「十数年前に実施した時短営業店舗の実験では、昼間の売上が競合店に取られた。実験店は、24時間営業の競合店もある立地であり、競合店の影響も検証したい。基本的には、夜の来店が少なく、人手不足に困っている店舗への導入を考えている」と語る。

<店舗入口に入店管理機器を設置>
店舗入口に入店管理機器を設置

0時~5時までは、売場に店員を配置せずお客自身が決済をする。入店は、「ローソンアプリ」「お得意様入店カード」を活用したQRコードによる認証と、店頭に設置した「入店管理機器での顔撮影」の3種類を用意した。認証による入店方法をとることで、安全を確保し、防犯と不測の事態への対応を図る。退店時は、通常通り自動ドアが開く。

お得意様入店カードは、スマートフォンを利用しない人に対応するもので、来店希望客が店舗で必要事項を記入した申請用紙を提出すると、直接、店舗で手渡しされる。

<お得意様入店カード>
お得意様入店カード

深夜時間帯の来店客は、ローソン会員ではない人も多いため、非会員も店舗を利用できるように、顔撮影も用意した。撮影された顔の画像は、防犯目的利用されるため、一定期間で削除される。

入店管理機器には、インターフォンが備え付けてあり、入店方法が分からないお客に、バックヤードにいる従業員が音声で対応する。

業務システム統括本部の長澤拓弥システム企画部長は、「巨大な自動販売機を目指した取り組みではなく、お客様が目の前に店員がいなくても、見守られている人の温もりを感じて安心して利用できる営業形態を目指した」という。

<深夜省人化のためカウンターカーテンを設置>
深夜省人化のためカウンターカーテンを設置

<ファストフードは販売しない>
ファストフードは販売しない

店内を無人にするため、年齢確認が必要となる酒・たばこの販売はしない。店員による対応が必要なカウンターファストフーズ・切手類の販売・収納代行・チケットサービス・宅配便の発送や受取は取りやめる。一方で、ATM、コピー機、トイレは利用できる。

<店頭でも利用できない商品・サービスを告知>
店頭でも利用できない商品・サービスを告知

氷取沢町店の0時~5時の売上の内約50%が酒とたばことなっている。ご飯やつまみとの買い合わせが多く、実験では、酒とたばこが販売できないことの影響を見極める。

<酒の販売もとりやめる>
酒の販売もとりやめる

技術的には、マイナンバーカードを活用した販売もあり得るが、今後の法制度の整備も踏まえて、深夜省人化店舗での酒とたばこの販売方法を検討したいという。

<セルフレジを窓側に設置>
セルフレジを窓側に設置

決済は、有人レジを休止しているため、キャッシュレス決済に加えて現金も利用できる「自動釣銭機付きセルフレジ」とローソンアプリを活用した「ローソンスマホレジ」で対応する。

<セルフレジの操作>
セルフレジの操作

「ローソンスマホレジ」は、2018年4月からサービスを開始した店内ならどこでも決済が可能になるセルフ決済サービス「ローソンスマホペイ」を改名したサービス。お客のスマートフォンを活用してお客自身が、商品をスマホで登録し、商品の精算もスマホ内で完結する仕組みとなっている。

実験段階を経て、実用化したサービスで、2019年2月から本格展開を開始し、現在の導入店舗数は116店となっている。

<ローソンスマホレジにも対応>
ローソンスマホレジにも対応

今回の実験で、納品オペレーションは変更しない。通常の納品を行うが、ドライバーが認証システムで入店し、バックヤードと店舗横の倉庫に直接納品し、伝票や現金類事物は金庫に保管する。

ドライバーのみで納品が完結する仕組みで、店舗に配置したスタッフは納品業務は行わない。あくまで、バックルームでできる作業のみを行う。これまで深夜に実施していた清掃業務は、0時前か早朝に作業時間を移すことで対応する。

将来的には、深夜の店舗オペレーションを高齢者でも対応できるような簡易な仕組みにし、1人でも十分に対応できるオペレーションの確立を目指す。

<防犯カメラを増設>
防犯カメラを増設

実験では、「無人店舗にお客が入店するのか」「無人店舗でも安心して買い物できるのか」を課題にしている。通常店舗の防犯カメラは、8台程度だが、実験店舗では防犯カメラを17台に増やした。新たに360度カメラ12台を新規導入し合計28台のカメラで、万引きや迷惑行為につながりにくい環境を維持する。

防犯カメラはバックヤードで監視でき、異常を検知すると監視センターと警備会社に連絡がいく仕組みとした。異常を検知した場合には、リモートコントロールでスピーカーによるけん制ができるほか、警備会社による駆け付けも行う。

<防犯モニター>
防犯モニター

防犯モニターを店舗入口に設置することで、店内を誰かが見ていることをお客に知らせ、お客が安心して買い物できる環境をアピールすると共に、万引き防止効果も期待する。

<氷取沢町店の店内>
氷取沢町店の店内

宮崎本部長は、「十数年前に行った時短営業実験は、お客様が離れてしまい挫折した経緯がある。今回は24時間営業を維持して深夜の省人化をするため、お客様の反応を確かめたい。実験で改良を重ねて、加盟店に提供できるシステムを作って広げ、24時間営業問題の解決策の一つとしたい」と展望を語った。

■実験店舗概要
店舗名:ローソン氷取沢町店
所在地:神奈川県横浜市磯子区氷取沢町4251
実験期間:2019年8月23日午前0時から約半年間

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