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ウエルシア/「O-GUARD新宿店」多様性配慮した接客推進、全国へ展開

2023年05月15日 17:23 / 店舗レポート

ウエルシアホールディングスとP&Gジャパンは5月15日、LGBTQ+や多様な人々が、自分らしく買い物ができるインクルーシブな環境づくりを目指す「インクルーシブ・ショッピング プロジェクト」の発表会を開催した。

<多様性に配慮した店舗づくりを推進>
多様性に配慮した店舗づくりを推進
※左からウエルシアHD盛永由紀子人事部長兼ダイバーシティ&インクルージョン推進担当部長、松本社長、P&Gジャパントルスカ社長、JobRainbow星賢人氏、P&G営業統括本部 力武雅和ディレクター

プロジェクトの一環として、まずはLGBTQ+フレンドリーな店舗づくりを行うため、インクルーシブな接客サービスの実現をサポートするガイドラインを定めた「インクルーシブ・ショッピング ハンドブック」を開発した。

ハンドブックを開発するにあたり、普段ドラッグストアを利用するLGBTQ+の顧客、有識者、多様な顧客と接する店舗販売員とのワークショップ、アンケートを実施し、買い物する際の悩み、ニーズ、実体験のヒアリングを行った。

また、「インクルーシブ・ショッピング ハンドブック」を活用した研修を、ウエルシア店舗のエリア責任者や店舗スタッフに実施。ハンドブックを活用した実店舗の1号店として、LGBTQ+当事者の利用が多い「ウエルシアO-GUARD新宿店」(東京都新宿区)を刷新。同日から本格運用を開始した。

<幅広い生活者に選ばれる店舗を目指すと松本社長>
幅広い生活者に選ばれる店舗を目指すと松本社長

ウエルシアHDの松本忠久社長は「当社はユニホームの男女共通化、同性パートナーシップ制度導入、オストメイト対応トイレを8割の店舗に設置するなどダイバーシティの取り組みを進めてきた。さらに、多様性に配慮した店舗づくりを強化するため、P&Gの協力を得て、2023年にLGBTQ+フレンドリーな買い物環境を作るインクルーシブ・ショッピングの研修体制を構築、4月には役員向け研修も実施した。LGBTQ+の方が買い物しやすい環境づくり、プライバシーを大事にし一人一人に対応する店舗づくりを進めていく。これからの学び、気づきを生かし、よりよい環境づくりを行い、幅広い生活者に選ばれる店舗を目指したい」と意気込みを語った。

<ウエルシアO-GUARD新宿店>
ウエルシアO-GUARD新宿店

「ウエルシアO-GUARD新宿店」を皮切りに、全国28店舗を「インクルーシブ・ショッピング プロジェクト」のフラッグシップショップとする。

<各フラッグシップショップにポスターを掲示>
ポスターを掲示

フラッグシップショップには、ポスターを掲示。訪れる生活者に対し、プロジェクトへの認知度を高めたい考えだ。

2024年2月までに、全国約2700店舗の店長向けに、ハンドブックを理解、インクルーシブな接客を実現するためのオンライン研修を推進する。安心してさまざまな人が買い物できるよう接客の質を高めていく。

<男性化粧品売り場を2階に移設>
男性化粧品売り場を2階に移設

今回、LGBTQ+フレンドリーな買い物環境整備のため、「ウエルシアO-GUARD新宿店」の店舗レイアウトも変更。当事者の声から、明るい1階の店内で化粧品を購入するには人目が気になるというニーズに対応し、男性化粧品売り場を1階から2階へ移設した。

<2階の基礎化粧品は男性向けも一緒に設置>
男性向けも一緒に設置

2階の基礎化粧品コーナーは、女性向けだけでなく、男性向けも同じ棚に置き、性別にかかわらず、求める機能で商品を選べる棚割りに変更した。

<調剤エリアに個別相談ブースを設置>
個別相談ブース

話している声、情報が他の顧客にもれるなどの懸念を減らす配慮として、1階の調剤エリアに個別相談ブースを設置し、個人情報やセンシティブな情報を扱う際の不安軽減を図った。

なお、LGBTQ+の顧客に配慮した接客ガイドラインの策定は、ドラッグストア業界で初めての試みだという。

P&Gは平等な機会とインクルーシブな世界の実現を経営戦略と定め、社内のアライ(LGBTQ+支援者)育成、他社へのアライ育成研修の無料提供、多様性に配慮した商品キャンペーンなどを実施してきた。

P&Gジャパンのヴィリアム・トルスカ社長は「多様性はさまざまな生活者の声を反映し、商品を開発する当社にとって不可欠の戦略。社内研修、自社キャンペーンを実施。今回は生活者との接点である店舗で、インクルーシブな店舗を実現する取り組みを開始する。まずLGBTQ+の方が買い物しやすくなる環境を作り、最終的にはすべての人が安心して、自分らしく買い物できる環境を目指す」と述べた。

<LGBTQ+の顧客に配慮した接客ガイドライン策定>
LGBTQ+の顧客に配慮した接客ガイドライン策定
※左からウエルシアHD松本社長、P&Gトルスカ社長

ハンドブックには、「男性受け」「女性受け」「異性愛かつパートナーがいる」「恋愛して当然」といった思い込みに左右されず、スキンケアといった美容関連商品、医薬品の選定など広くその顧客のニーズに合った声掛けをする事例を紹介。当事者が気になった接客事例、スタッフのカミングアウトした情報の共有範囲への配慮、相手の望まない個人情報のアウティング(他社の性のあり方を本人の同意なく暴露すること)への注意など当事者へのアンケート、ワークショップから抽出した情報を掲載している。

<顧客のニーズに合った声掛けが求められる>
顧客のニーズに合った声掛け

全国展開するドラッグストア・ウエルシアの店舗、P&Gのお客様相談室、美容部員のいるカウンターに導入する。さらに、より多くの業態、業界においても活用できるよう、ハンドブックのデータをホームページ上で無料公開する。

<安心して買い物できる環境が求められている>
安心して買い物できる環境が求められている

「インクルーシブ・ショッピング ハンドブック」の無償提供開始に合わせ、5月1日から6月30日まで、全国のウエルシアグループの店舗におけるP&G商品の売上金の一部をLGBTQ+支援NPO(虹色ダイバーシティ)へ寄付するという。

<P&G商品の売上金の一部をLGBTQ+支援NPOに寄付>
P&G商品の売上金の一部をLGBTQ+支援NPOに寄付

■ウエルシアO-GUARD新宿店
所在地:東京都新宿区西新宿7-10-1
営業時間:24時間(店舗・調剤)
TEL:03-5337-8015

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