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セブン&アイ/ISS見解を受け再度、自社推薦取締役候補へ賛成お願い

2023年05月15日 16:00 / 経営

セブン&アイ・ホールディングスは5月12日、取締役会の見解「最適なガバナンス体制、取締役選任プロセス、及び長期的な価値創造について」を発表した。5月2日に続き再度、株主に対して、5月25日の第18回定時株主総会において、自社が推挙する取締役候補の選任に賛成するように、お願いをした。

<セブン&アイ>

投資ファンドのInstitutional Shareholder Services Inc.(以下、ISS)から発行されたレポートにおいて、株主に対して、バリュー・アクト・キャピタル・マスター・エルピー(以下、バリューアクト)が推薦する取締役への賛成を推奨したことに対応したもの。

書面によると、ISSの推奨は、「食」の競争優位性に立脚したCVS事業を構築するための、代表取締役社長の井阪隆一と取締役会による近年の取り組みを考慮していないばかりか、バリューアクトによる1年以内のセブン-イレブンの スピンオフ計画が、現在変革を推進している最中にある当社事業の勢いを大きく毀損する点についても勘案されていない。

加えて、昨年「大規模」なガバナンス面での変更があったとはしているにもかかわらず、企業価値・株主価値創出に向け取締役会の実効性に関するこれらの変更の重要性を看過している。実際には、これらのガバナンス面での変革の結果、セブン&アイはバリューアクトの提案を厳正且つ公正に評価・検討しており、バリューアクトにも賛同された3名の独立社外取締役が、同社が提案する取締役候補者及びセブン&アイ推薦の新任の取締役候補者の双方と面接を行った。その結果、同取締役らは、バリューアクトが提案する取締役候補者の内3人は食品や小売りの経験が無く、もう1人も近年、食品や小売り業界に携わっていないことなどを踏まえ、セブン&アイが推薦する取締役候補者の方がバリューアクトの提案する候補者よりも適任であると結論づけている。

最も遺憾な点は、ISSのセブン&アイ推薦候補者に対する反対推奨は、現状に対する不完全な理解且つ過去の実績に重きを置いた認識に基づいたものであり、多くの部分においてバリューアクトの一方的な主張を繰り返しているように見受けられることにある。

昨年実行したガバナンスの変革や独立性のある取締役会と経営陣の下、 2022年度の連結業績は営業収益・利益とも過去最高を更新し、「中期経営計画2021ー2025」の目標値も 上方修正する等、着実な業績の伸長も実現している。ISSの推奨では、こうしたセブン&アイが変革を通じて達成してきた軌跡に加え、今後刷新された取締役会が変革の推進を監督していくという点については、適切に考慮されていない。

株主においては、ISSのレポートの内容はセブン&アイの昨今のガバナンスの変革及び刷新された取締役会が2022年度に示した実績について、適切に反映されていないことを認識してほしい。また、株主には、セブン&アイが推薦する取締役候補者に対して賛成し、さらなるガバナンス体制の強化と事業戦略の推進を支援してほしいと、お願いしている。

書面では、セブン&アイ、バリューアクトの双方から賛同を受けている独立社外取締役3名、スティーブン・ヘイズ・デイカス氏、山田メユミ氏、井澤𠮷幸氏による、コメントを公表している。

スティーブン・ヘイズ・デイカス独立社外取締役・戦略委員会委員長は、「私以外の独立社外取締役も含めた取締役会は、事業計画の実行、即ちCVS事業への投資のさらなる加速と、食の競争力を強みとした事業展開がグローバルな成長を促すものと確信している。戦略は既に株主の利益に資する結果を示し始めている一方、バリューアクトの提案は将来成長を阻害し得る不明瞭なものであり、多くのリスクを孕んでいる。我々はこの業績トレンドが継続する事を確かなものとし、且つ構造的な変革の遂行を含む更なる株主価値の向上に資する選択肢の検討を続ける事をコミットする」と述べている。

山田メユミ独立社外取締役は、「昨年、セブン&アイが実施したガバナンス改革は、株主をはじめとしたステークホルダーの利益のために、セブン&アイを進化させ、野心的な目標を達成する責任を経営陣に果たしてもらうために実施されたと理解している。さらなる独立性をもって新たなスタートを切ったセブン&アイ取締役会には、私の就任以降のこの1年間でも、大変大きな変化があった。取締役会での議論は非常にオープン且つ建設的であり、様々な経歴を持つ独立社外取締役が自由に意見を述べ、様々な観点から深いディスカッションが行われている。先般、独立社外取締役のみで構成される戦略委員会が設置されたことも、取締役会にて実効性の高い議論が行われていることの証左だと思う。我々は、さらなる企業価値及び株主価値創造のための戦略的選択肢を継続的に検討し、進化を加速させるために今後も尽力する」とコメントした。

井澤𠮷幸独立社外取締役は、「バリューアクトの推薦する新任取締役候補者の評価は、最適なガバナンスのプラクティスに沿ったプロセスだ。指名委員会から、3名の独立社外取締役、即ちデイカス取締役、山田取締役、そして私自身が、バリューアクト による推薦候補者及びセブン&アイによる推薦候補者の面接を実施した。面接の中で明らかとなったことは、セブン&アイを更なる成長のステージへと昇華させることを見据えた際に、バリューアクトによる推薦候補者に比して、セブン&アイ推薦の候補者は社長経験があり、取締役会の一員として相応しいということだ。この我々の考えは、指名委員会及び 取締役会において適切なプロセスを経て、全会一致で可決された。セブン&アイ推薦の候補者は、企業経営者であり、小売業界におけるリーダーシップ経験及びポートフォリオの最適化を今後も継続していくにあたり、確固たる実績と経験を有している」と述べた。

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