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セブンイレブン/2013年度比で購入電力量約60%削減「環境負荷低減店舗」実証実験

2023年06月08日 16:00 / 店舗レポート

セブン‐イレブン・ジャパンは6月8日、日立製作所、サンデン・リテールシステム、リコーと連携し、各社の持つ先進技術を集め、更なる省エネ、創エネと蓄電の取り組みの進化を目指した環境負荷低減店舗の実証実験を、埼玉県三郷市の「セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店」で本格スタートした。

<セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店>

セブン‐イレブンの店舗ではこれまで、CO2排出量削減を目指した省エネ・創エネ・蓄エネに係る様々な設備の実証実験を通して、適合性や効果を見極めながら水平展開を進めている。今回、新しい省エネの取り組みとして、新型の冷凍冷蔵設備の設置に加え、外気を取り込み冷蔵設備や空調の負荷を低減させる給気システムを導入するとともに、個別導入している各省エネ設備、空調設備の使用状況等を把握し制御するための、全体最適化を目指したエネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入で省エネを促進する。

<店内>

また、創エネ・蓄エネの取り組みとしては、次世代太陽電池を初めて設置するとともに、屋根上の太陽光パネルに加え、ソーラーカーポートも設置することで、再生可能エネルギー比率を高めた。さらに、資源循環に配慮した可動式蓄電池(バッテリキューブ)を導入することで、発電した再生可能エネルギーを有効活用する。これらの設備構成最適化エンジニアリングにより、高い省エネ・創エネ・蓄エネ効果を実現し、店舗における購入電力量については2013年度対比で約60%削減、CO2排出量については約70%削減することが可能となる。各社は、実証実験による効果検証に積極的に取り組み、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させ、社会課題への対応を推進するという。

<取り組みの概要>

セブンーイレブン・ジャパン執行役員の舛尾威彦建設設備本部長は、「セブン&アイグループは、2019年に環境宣言グリーンチャレンジ2050を策定し、環境負荷低減店舗の実証実験を行っている。CO2排出量削減では、2013年度を100%の基準値として、中間目標の2030年にはCO2排出量を半減(50%減)させ、最終目標の2050年には実質CO2排出量ゼロに計画を進めている。今回、日立、リコー、サンデンという有力なパートナーと一緒に実証実験できたことは、非常に有意義なものだ。今後、コストという壁もあるが、しっかり効果検証を行いながら水平展開を進めていきたい」と実証実験の趣旨を解説した。

<舛尾建設設備本部長>

省エネでは、日立製作所が開発したEMS(エネルギーマネジメントシステム)を採用した。セブンーイレブン全店舗のエネルギーデータの管理に活用してきた環境情報データベース「Eco Assist Enterprise Light」の機能を拡張し、店舗EMSの実証データを集約・分析・制御指令目標値の発信等に活用する。

「デマンド監視と空調機と換気装置の協調制御による、省エネ実証と分析」「各設備の電力使用量・店舗内外温湿度の計測・分析」「太陽光パネルで発電した再生可能エネルギーの最大活用、安価な夜間電力活用等における可動式蓄電池バッテリキューブの有効的な運用方法の分析と実証」について検証する。

店内には、サンデン・リテールシステムの「新型冷凍冷蔵設備」を配置。オープン多段チルドケースのエアーカーテンを強化し 、店内環境が与える影響を抑え最適運転を行うことにより 、 使用電力を低減する。通常のエアーカーテンの外側にエアーカーテンを追加し、3重エアーカーテンとすることにより、店内環境の与える影響、チルドケースからの冷気漏れを抑制(コールドアイルの低減)する。また、冷媒流量制御を最適化させることにより、 冷却運転の安定を図る。

<オープン多段チルドケース>

さらに、サンデン・リテールシステムの「新除霜制御」を導入した。冷凍ショーケースに対して従来定時(1日2回)に行っていた除霜を、店内環境や運転状況に応じて、最適なタイミングで行うことにより使用電力を低減する。また、冷凍ショーケースの運転状況や店内環境をセンシングすることにより、従来定時で行っていた除霜を、 必要なタイミングのみ行い、省エネを図る。

<アイスケース>

創エネでは、リコーが開発した「次世代太陽電池」を採用した。複合機の開発で培った技術を応用し開発した次世代太陽電池4種類を店舗へ設置。セブンーイレブン店舗での次世代太陽電池の実証実験は国内初で、店内照明や壁面、窓面でも新たなエネルギー創出が可能になった。

<固体型色素増感太陽電池(RICOH EH DSSC)>

固体型色素増感太陽電池は、24時間点灯する店内LED照明の光においても高効率の発電ができるのが特徴。店内の冷蔵設備上に設置し、常に点灯している店舗内の光を活用し発電することで、店舗内エネルギーの再利用を図る。

<有機薄膜太陽電池(OPV)>

有機薄膜太陽電池は、薄型・軽量で曲げることが可能なフィルム形状のOPVを、窓ガラスに設置。広い照度域で高効率な発電が可能なため、窓際で安定的に発電できる。

<カラーシースルー色素増感太陽電池(カラーシースルーDSSC)>

カラーシースルー色素増感太陽電池は、セブン イレブンの店舗カラーをイメージして、オレンジ・グリーン・レッドを配置した。店舗入り口付近の窓ガラスに設置し、店舗内外からの光で発電する。

<ペロブスカイト太陽電池(PSC3)>

ペロブスカイト太陽電池は、低照度から高照度まで安定した発電が可能なPSCを店舗外壁面に設置。既存の太陽電池の活用が進んでいない外壁面で発電する。また、RICOH EH DSSCは、店舗内設備の壁掛け時計を動作させ、カラーシースルーDSSC、 OPVは販促用スイングPOPを動作させる。余ったエネルギーはモバイルバッテリーに蓄電する。

<壁掛け時計>

<販促用スイングPOP>

カーポート太陽光パネルでは、4台駐車タイプを2基連結させた。太陽光発電パネルは、高効率両面発電高出力モジュールを採用。駐車場にも創エネを追加することにより、再生可能エネルギー比率を高める。

<カーポート太陽光パネル>

畜エネでは、日立製作所が開発した「リユースバッテリを搭載した可動式蓄電池」を導入した。資源循環(サーキュラーエコノミー)に配慮し、今後普及が見込まれる電動車両(EV等)の中古バッテリを再利用した蓄電池システムとなる。

可動式蓄電池(バッテリキューブ)は、 CHAdeMO V2H規格を採用し、従来の定置型蓄電池に比べて、店舗の電気設備(EV充放電器)と安全に脱着できるため、設置・メンテナンス時の作業効率を改善可能となっている。電力系統の停電時には店舗運営を継続するためのバックアップ電源として電力供給が可能で、バッテリ総容量は100kWh以上となっている。

<バッテリーキューブ>

EMSからの充放電指示と連動し、太陽光パネル等の再生可能エネルギーの最大活用および夜間電力活用等の運転モードに対応した制御を実施。クラウド上の遠隔監視システムにより、バッテリキューブに搭載されたEVバッテリの稼働状態を随時管理し、バッテリ状態に応じた運用・メンテナンスを実施する計画だ。

<店舗正面>

■セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店
所在地:埼玉県三郷市彦成2-324
店舗面積:約661.16m2

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