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大手百貨店/1月既存店売上暖冬で冬物衣料苦戦し4社減

2020年02月03日 16:50 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は2月3日、1月の売上速報を発表した。

<三越伊勢丹など冬物衣料苦戦>
百貨店

三越伊勢丹3.5%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)4.9%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)10.2%増、高島屋2.7%減、そごう・西武3.6%減だった。

暖冬により、クリアランスセールを中心として冬物衣料が苦戦。春節が昨年に比べ早く始まった恩恵もあったが、1月下旬からは、コロナウイルスの感染拡大に伴い、インバウンド客数減のマイナス影響を受けた。

■三越伊勢丹HD(2019年3月期売上高:1兆1968億円)
伊勢丹新宿本店店頭2.7%減、三越日本橋本店店頭9.5%減、三越銀座店0.7%増などで、三越伊勢丹既存店計3.5%減だった。

札幌丸井三越1.6%増、函館丸井今井14.9%増、仙台三越6.3%減、岩田屋三越10.3%減など、国内グループ百貨店は3.4%減となり、国内百貨店合計は7.0%減となった。

三越銀座店など前年実績を上回る店舗があるものの、一部カテゴリーにおいては消費増税の影響が残った。暖冬で冬物アイテムが伸び悩んだことに加え、1月下旬から新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による消費マインドへの影響もあり、首都圏三越伊勢丹(既存店)と国内百貨店(既存店)ともに、4カ月連続して前年を下回った。

首都圏の基幹店計では、時計、ハンドバッグや子供服が好調だった。また、1月後半から春物に対する関心も高まり、レディスでは春の新色のドレス、カットソー、メンズではカジュアルシャツ、パンツに動きがあった。

インバウンド売上に関しては、中国の海外団体旅行禁止に伴い、中国人の来店客数が月末に減少したが、春節(昨年は2月)が1月に開始したプラス与件もあり、首都圏三越伊勢丹(既存店)と国内百貨店(既存店)ともに、8カ月ぶりに前年比を上回り好調に推移した。

■J.フロントリテイリング(2019年2月期売上高:1兆1251億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比4.9%減、博多大丸、下関大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は5.3%減となった。

1月度の売上高は、記録的な暖冬により、クリアランスセールを中心として冬物ファッションが苦戦し、さらに下旬には新型肺炎の感染拡大に伴い入店客数減少のマイナス影響を受けた。

しかし、化粧品、ラグジュアリーブランドが売上を伸ばし、訪日外国人売上も好調に推移したことなどにより、トータルでは前月よりもマイナス幅を縮小させた。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、約29%増(客数13%増、客単価15%増)となっている。

昨年9月20日に本館を建て替えグランドオープンした心斎橋店は、宝飾品が41%増、ラグジュアリーブランドが38%増、化粧品が35%増となるなど、強化した商品分野の増率をさらに拡大し、好調に推移している。

■H2O(2019年3月期売上高:9368億円)
百貨店事業の全社計の売上高は10.2%増となった。内訳は阪急本店1.4%減、阪神梅田本店2.6%減、支店計32.2%増。

神戸阪急、高槻阪急が加わったことや、好調なインバウンドが業績をけん引した。

インバウンドが前年2月の春節期間の前倒しで好調に推移し、売上高前年比約3割増。ただし、1月27日以降は、新型コロナウイルスの影響により、売上高の伸びが鈍化した。

全体的には暖冬の影響で、婦人の冬物ファッションが苦戦。しかし、増税影響の大きかった中間層の消費マインドは回復してきている。その結果、正月休みが1日減のマイナス影響を考慮すると、既存店売上高は前年並みとなった。

高額品は、富裕層の購買意欲は回復基調にあるものの、国内の前年の大口実績をカバーしきれなかったという。

阪急本店は、インバウンドは、前年に比べて春節期間の前倒しがあり、売上は前年比は約3割増。個人旅行のリピーターが増えているものの、1月27日以降は、新型コロナウイルの影響により売上高の伸びが鈍化した。

阪急うめだ本店は、暖冬の影響でコートを中心とした重衣料や手袋などシーズン雑貨が苦戦。顧客志向が春まで着られるジャケット、ニットなどにシフトしている。しかし、正月休み1日減の影響を考慮すると、前年並みの結果だった。

フードはニューブランドの効果で継続的に好調な洋菓子が牽引し堅調。22日にスタートしたバレンタインは、例年以上に好調な滑り出しだという。

メンズ大阪は、増税後に停滞していたファッション好きの若年層の消費が戻りつつあるものの、館全体としては前年割れだった。

阪神梅田本店は、人気催事の「ギフト解体セール」「阪神の駅弁まつり」が、売上高2桁増と好調。一方、冬物ファッションが苦戦するも、定評のあるフードは堅調に推移している。

支店は既存店12店舗のうち8店舗が前年未達だった。10月にオープンした「神戸阪急」「高槻阪急」については両店ともに刷新したフードが牽引し、引き続き客数が増加し、売上高も想定を上回った。

■高島屋(2019年2月期売上高:9128億円)
高島屋単体13店の売上高は2.7%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、米子高島屋、高崎高島屋を含めた17店の売上高は2.7%減となった。

1月度の店頭売上は、、暖冬の影響による衣料品をはじめとする季節商材の苦戦、消費増税前の駆け込み需要の反動などにより、前年実績を下回った。

免税売上は、前年は2月だった春節が今年は1月であった影響などにより、前年比11.1%増。なお、春節期間対比(今年1月24日~30日、前年2月4日~10日)では14.7%減となっている。

店舗別売上は、大型店では大阪店・日本橋店が、地方郊外店では高崎店が前年実績を上回った。

商品別売上(同社分類による17店舗ベース)は、特選衣料雑貨・食料品が前年比プラスとなった。

■そごう・西武(2019年2月期売上高:6152億円)
そごう・西武15店の売上高は3.6%減、西武池袋本店は1.9%減となった。

1月は、初売りは各店前年並みを確保したものの、クリアランスセールは不発。暖冬による冬物衣料や防寒雑貨の不振が響いた。

一方、食品、高級雑貨とプレステージブランドも前年売上を確保している。

免税利用に関しては、売上は前年比約10%増、客数は約3%増だった。

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