大手百貨店/12月売上高は5社とも減少、おせち・クリスマスケーキは好調
2021年01月04日 22:17 / 月次
三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は1月4日、12月の売上速報を発表した。
三越伊勢丹14.0%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)17.8%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)16.5%減、高島屋13.4%減、そごう・西武9.6%減だった。
12月の売上は、新型コロナウイルス感染症による外出自粛などの影響が続き、5社とも減少した。
なお、クリスマスケーキ、おせちの予約販売は、好調だった。
■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比12.8%減、三越日本橋本店店頭8.4%減、三越銀座店29.6%減などで、三越伊勢丹既存店計14.0%減だった。
高松三越5.7%増だったが、松山三越43.4%減、札幌丸井三越22.1%減など低調で、国内グループ百貨店既存店計は8.9%減となり、国内百貨店既存店計は11.7%減となっている。
国内百貨店(既存店計)の売上は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により入店客数が伸び悩んだことで前年売上を下回ったが、11月売上よりプラスに推移した。
伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、日本人顧客による季節を問わず使用できる付加価値のある高額品への関心は高く、ラグジュアリーブランドのハンドバック・靴・財布や宝飾・時計が好調。旅行や外出の機会が減ったことを受け、クリスマスギフトや自分へのご褒美として例年より”少しいいもの”を購入する傾向が見られた。
オンライン売上は、特に「おせち」や「セール」特集の反響が大きく、前年比約1.5倍と伸長した。
免税売上は、引き続き低調に推移している。
■J.フロントリテイリング(2020年2月期売上高:1兆1336億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比17.8%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は19.1%減だった。
新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う外出自粛影響を受け、11月と比べて改善は小幅に留まった。
商品別では、ラグジュアリーブランドや美術が前年実績を上回ったほか、宝飾や住文化用品が相対的に堅調で、巣ごもり需要の高まりから広域配送可能な冷凍のクリスマスケーキやおせちの受注が伸長し、歳暮ギフトは、海産物や鍋惣菜などの越年食材や、自宅用グルメカタログの受注が好調だった。
大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年94.5%減(客数99.3%減、客単価643.8%増)となっている。
■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比16.5%減となった。内訳は阪急本店17.9%減、阪神梅田本店33.7%減、支店計10.8%減。
新型コロナウイルス第3波の影響が12月も継続、月全体を通じて、都心店中心に来店客数が11月よりもさらに低下。売上高は、都心店が前年比19%減と厳しい結果だったが、郊外店は、食品の売上高が前年比99%と、地域顧客からの支持は高い。
歳暮の受注は、特に来店の減少に伴い店頭受注が苦戦するも、ネット受注がカバーし、商戦全体としては、ほぼ前年並み。
おせち料理の予約はネットや支店を中心に客数が大幅に増加し、売上高前年比16%増と好調。特にコロナ禍で対応を強化した少人数用(1~2人前)の商品が人気があった。
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阪神梅田本店は、建て替え工事に伴う9階と地下1階の一部における売場閉鎖が継続。11日以降は地下1階の閉鎖エリアは縮小したものの、来店減が大きく影響し、苦戦した。
11月中旬以降の検温と出入口制限は継続。大阪府の要請に伴い、レストランの21時までの時短営業を実施。来店客数が減少し、国内売上高も回復が鈍化する一方、100万円以上の高額品は前年を超える動きを見せた。富裕層の海外旅行自粛による消費の転換がベースと考えられる。
クリスマスケーキは、事前予約(前年比約1.5倍)、当日販売(前年比約1.1倍)ともに好調。中でも、ケーキ宅配は、アイテム数を3倍以上増やしたにも関わらず、12月上旬には受注を中止せざるを得ないほどの盛況ぶりだった。
冬のクリアランスを12月から五月雨式に開催し、福袋では、店頭とECをおよそ2対8の割合で展開し、福袋のEC販売分はほぼ完売した。
■高島屋(2020年2月期売上高:9190億円)
高島屋単体11店の売上高は前年同月比13.4%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた14店の既存店売上高は11.4%減となった。
12月度の店頭売上は、インバウンド売上の大幅な減少が継続していることに加え、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い外出を控える傾向が高まった影響などにより、前年を下回った。
免税売上は前年比87.6%減、免税を除いた店頭売上は8.9%減(既存店計7.1%減)。
店舗別売上は、岐阜店、高崎店が前年を上回り、免税売上のマイナス影響が大きい大阪店、新宿店は前年を大きく下回った。
商品別売上(同社分類による15店舗ベース)は、特選衣料雑貨・美術などが前年実績を上回り、紳士服・紳士雑貨・婦人服・婦人雑貨・宝飾品・リビング・食料品などは前年に届かなかった。
なお、おせち、クリスマスケーキは期間累計で前年を大きく上回った。
■そごう・西武(2020年2月期売上高:6001億円)
そごう・西武11店の売上高は前年同月比9.6%減、西武池袋本店は8.8%減となった。
コロナ感染再拡大による外出自粛気運を受けて、入店・購買客数ともに 先月に続いて大きく前年を割った。
衣料品は大きく水準を下げ、売上前比約80%にとどまった。一方、インテリアは前年売上を確保。プレステージブランドと高級雑貨も前比約105%と伸長した。
おせちやクリスマスケーキが好調の食品領域も前年並みまで売上を戻した。
免税利用売上高は70%減、客数は95%減となった。
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