三菱食品はこのほど、人口減少と高齢化の進展に伴う市場の変化に対応した新たな小型店のモデル店の提案を開始した。
<ローコスト小型店の概要>

これまでの小型店提案は、都心部での提案が中心となっており、地方や郊外での小型店提案が少ないことに着目し、地方の小商圏でも成立する、ローコスト小型店を提案している。
ローコスト小型店の収益構造は、売上総利益率24%、販管費21%、営業利益率3%を目標とした。
売場面積は約660m2で、半径1km圏内の商圏人口を5000人程度とし、1日あたり客数800人を想定する。
1品単価は160円、1日あたり買上点数10点、客単価1600円を想定する。
<販管費21%を目指す施策>

これまでの食品卸売業は、商品を提供するのみで、販売管理費に踏み込んだ提案はほとんどなかった。
今回は、販売管理費を削減するための提案もセットで行うことで、より実現性が高い売場づくりや店づくりを目指した。
販管費21%を目指す施策として、セルフレジの導入、チラシの廃止、アクリス・スライド什器の導入などを提案している。
<ローコスト小型店のレイアウトも提案>

ターゲットは、コスパ重視の大家族、節約重視の子育て主婦、小さな幸せを追求するシニアなどで、競合店舗としては、ドラッグストアやディスカウントストアを想定している。
他業態に負けないため、食品スーパーが得意とする生鮮食品の鮮度や惣菜の品ぞろえを強化することを打ち出している。
部門別売上構成は、青果17%、鮮魚9%、精肉13%、チルド13%、冷凍食品3%、アイス1%、パン3%、たまご2%、加工食品13%、菓子5%、酒類5%、デリカ10%、米2%、非食品4%を計画する。
<省力化什器も提案>

店舗作業を削減するポイントとして、省力化什器を提案。少ない陳列数量で、商品のボリューム感を演出できるヒナ段タイプのアクリル什器や最前列の商品がなくなると自動的に後列の商品が前出しされる自動前出しパーツを紹介した。
<ヒナ段タイプのアクリル什器>

<自動前出しパーツ>

ゴンドラ本数を増やさずに陳列フェイス数を30%増加できるメッシュスライド什器、棚板2枚のスペースに入る3段アクリルBOX、投げ込み陳列(ジャンブル陳列)であっても簡単に先入れ先出しができるフォールジャンブル什器などを提案する。
<BOXタイプ3段のアクリル什器>

<フォールジャンブル什器>

また、都市型小型店の提案としては、買い物のストレスフリーをテーマにした店舗を提案する。
ストレスフリー小型店の収益構造は、売上総利益率27%、販管費24%、営業利益率3%を目標とした。
売場面積は約500m2で、半径500m圏内の商圏人口を1万人程度とし、1日あたり客数1160人を想定する。
1品単価は180円、1日あたり買上点数7.8点、客単価1400円を想定する。
<ストレスフリー小型店の概要>

ターゲットは子育てワーキングママや流行好きな健康シニアで、買い物時間を短縮する提案を行っている。
オリジナルプリペイドカードや次世代キャッシュレス端末でレジ待ち時間を削減するほか、スマホ決済とレシート撮影でWeb家計簿と連動させる施策を提案した。
<ITを活用した店舗の提案>

ストレスフリー小型店では、即食商品であるデリカ、チルド部門を強化する。
部門別売上構成は、青果12%、鮮魚7%、精肉10%、チルド16%、冷凍食品4%、アイス2%、パン5%、たまご2%、加工食品11%、菓子5%、酒類5%、デリカ17%、米2%、非食品2%を計画する。
一般的な食品スーパーの生鮮3品合計の売上構成比は約40%だが、ストレスフリー小型店では29%とし、その分、デリカ、チルドの売上を伸ばす。
夕食女性は、弁当用冷凍食品をよく購入する傾向があるため、冷凍食品の構成比は一般的には2.5%だが、4.0%に引き上げることを目指す。
<ストレスフリー小型店のレイアウト>

三菱食品では、商品や売場づくり・演出だけでなく、店舗運営まで踏み込んだ提案をすることで、より取引先の収益改善ができる取り組みを進めていきたいという。