キリン／2020年「クラフトビール」販売数量・金額4割増目指す

2020年02月05日 17:20 ／経営

キリンビールは2月5日、「クラフトビール」事業戦略発表会を開催し、2020年のクラフトビール販売数量・金額ともに前年比4割増を目指すと発表した。

＜古川ヘッドブリュワー、キリンHD磯崎社長、SVB島村社長＞

キリンホールディングスの磯崎功典社長は、「クラフトビールは、ビールの価値を変える取り組み。ホップの香りを楽しんだり、農家を支援する社会的側面もあり、当社のCSV経営の深化にもつながる。また、クラフトビールの知名度アップ、2026年のビール類酒税一本化もあり、将来的にはクラフトビール市場はビール市場の5％程度まで成長すると見込んでいる」。

「料飲店など業務ルートで、魅力的なクラフトビールの開発、タップマルシェによる多様なクラフトビール提案、料理とのマッチングを行う。ビール離れしている若年層に、新たなビールの魅力を訴求していく」と説明した。

キリングループは、第1世代「スタンダードビール」、第2世代「発泡酒」、第3弾「新ジャンル」、第4世代「プレミアムビール」に続く、第5世代として「クラフトビール」を位置づけ、ビール市場の魅力化、間口拡大をけん引する役割を期待している。

2014年に「クラフトビール」事業を開始以来、「スプリングバレーブルワリー（以下：SVB）」ブランドの新設、ヤッホーフルーイングなど他社との連携で市場を開拓。アメリカの人気ブランド「ブルックリン・ブルワリー」と提携し、今年2月には世界初の旗艦店「B（ビー）」も日本橋兜町にオープンした。

＜タップ・マルシェ＞

また、自社ブランドだけにこだわらず、1台で数種類のクラフトビールを販売できる業務用ディスペンサー「タップ・マルシェ」で、2017年から料飲店へのクラフトビールの普及に努めている。

「タップ・マルシェ」は、複数のビールの中から、好きなクラフトビールを選ぶことができる。2020年2月で合計14ブルワリー28銘柄を取り扱う。地方の高品質なマイクロブルワリーの銘柄を採用することで、多様な魅力を訴えている。現在、展開店舗数は1万3000店を突破、2020年はさらに6000店増を目標とした。

＜代官山SVB東京＞

SVB島村宏子社長は、「スプリングバレーブルワリーは、2015年4月に代官山に旗艦店をオープン。京都、横浜にも店舗があり、毎週全国の店に5000～6000人が来店し、今年4月で体験者数は累計150万人を突破する見込み。タップ・マルシェ設置店の増加により、2019年の販売数量は前年比約36％増となっている」と話した。

＜SVBではフルーティなクラフトビールも提供＞

「スプリングバレーブルワリー」は、グループの中でも、クラフトビールに興味を持った消費者に、驚きのある楽しさを提供するブランド。従来のビールの色は黄色で、苦みがあるといった思い込みから解放する、赤など驚きのある液色、フルーティな味わい、料理とのペアリングなどを楽しめる。

2019年に開始した銀座店でのクラフトビールのサブスクリプションも好評で、約250人が体験。顧客とスタッフのコミュニケーションが深まり、来店頻度も高まる効果が見られたため、今年は他店でも導入を図る。

＜「ブルックリン・ブルワリー」も重点ブランド＞

また、「ブルックリン・ブルワリー」も重点ブランドと位置付けている。キリンビールは、2016年10月ブルックリン・ブルワリーと資本提携を発表し、2017年2月ブルックリン・ブルワリー・ジャパンを両社の共同出資で設立した。

2017年3月から、基幹商品「ブルックリンラガー」を発売開始し、以後飲食店向けなど業務用販路を開拓している。2019年販売実績は前年比6割増、2020年は7割増を目指す。

フラッグシップ店「B」では、ビールの販売に止まらず、コンスタントに変わるアート、音楽、イベントといった店内のコンテンツを提供する。

キリンビールの山田精ニ企画部長は、「ブルックリン・ブルワリーでは、ブランドの世界観を発信し、ビールのつまみに枝豆ではなく、ビールのつまみにアート、音楽、イベントと新しい飲用スタイルを提案。クラフトビールは若年層のエントリーでビール市場の間口を広げると同時に、プレミアムビールでビールの奥深さを楽しむようになった人の需要も取り込んでいく」としている。

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