居酒屋主要14社/2021年末の運営店舗数5844店、コロナ前から約2割減少
2022年02月18日 15:40 / 経営
東京商工リサーチは2月16日、コロワイドやチムニーなどの上場する居酒屋チェーン主要14社の運営店舗数が、コロナ前の2019年12月時点で7200店から、コロナ禍の2021年末には5844店と1356店(18.8%減)に減ったと発表した。
東京商工リサーチでは、コロワイド、チムニー、鳥貴族ホールディングス、JFLAホールディングス、大庄、ワタミ、ヴィア・ホールディングス、DDホールディングス、ヨシックスホールディングス、串カツ田中ホールディグス、SFPホールディングス、テンアライド、ハブ、SANKO MARKETING FOODSの14社を対象に分析を行った。
<居酒屋運営14社 四半期決算時の店舗数推移>
同社によると、2019年12月末の7200店を起点に、1回目の緊急事態宣言が解除された直後の2020年6月末までの半年間で554店(7.6%減)が減少し、一気に閉店が加速。2021年3月末まで、四半期ごとの閉店が150~200店のペースで続いた。その後は、2021年6月末は89店減、2021年9月末は105店減と、四半期ベースで100店前後の閉店にとどまったという。
一方で、2021年12月末は114店減と110店を超え、再び閉店が増える兆しが現れているとしており、この時期が緊急事態宣言解除と重なっているため、ウィズコロナで外食様式の変化や先行きの不透明感から主要14社の運営施策が保守的になったと分析している。
コロナ前と比べ、最も減少率が大きかったのは「金の蔵」などを運営するSANKO MARKETING FOODSが108店から54店の50.0%減だった。次いで、JFLAホールディングスの44.3%減(843店から469店)、多様なコンセプトの居酒屋を首都圏のターミナル駅周辺で展開するダイヤモンドダイニングの親会社、DDHDの30.3%減(435店から303店)となった。
また、緊急事態宣言が全面解除された去年の10月以降、酒類提供は午後8時までから段階的に緩和され、繁華街やオフィス街の客足が増え、クリスマス商戦、年末商戦の11月、12月には主要14社の大半で前年同月を上回る来店客数、売り上げを確保したが、2021年12月末の店舗数は、制限緩和にもかかわらず一部企業を除き減少したとしている。
店舗数が2021年9月末より増加したのは、コロワイド傘下のレインズインターナショナル(1652店から1656店)、ワタミ(国内外食店446店から451店)、串カツ田中ホールディングス(296店から309店)の3社だけだったという。
ワタミは、居酒屋業態の店舗を撤退する一方、焼き肉店とから揚げ店の出店を強化し店舗数が増加し、串カツ田中ホールディングスは、家族連れやテークアウトニーズの取り込みで住宅街へ積極出店し、13店増加した。
一方で、鳥貴族ホールディングス、DDホールディングス、ハブの3社は増減はなく、コロナ前の2019年12月末と比べると、串カツ田中ホールディングス(13.1%増)以外の13社が減少したとしている。
東京商工リサーチでは、2022年1月から全国でオミクロン株の感染者数が急増し、まん延防止等重点措置が36都道府県で適用されたことで、居酒屋運営の主要14社は、再び厳しい状況に直面しているとみている。
同時に、居酒屋業態からテークアウトを含む新業態への参入を模索しているが、一部を除き大手は業態変更に消極的で、2021年12月末の主要14社の閉店は再び110件超に増加したといい、まん延防止等重点措置の再延長や感染者数の高止まりが長引くと、各社の閉店ペースが加速し、雇用や取引先などへの影響が広範囲におよぶ懸念があるとしている。
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。