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ロシア・ウクライナ情勢/企業の66.7%価格高騰で影響、生産拠点の国内回帰も検討

2022年05月16日 16:10 / 経営

帝国データバンクは5月16日、ロシア・ウクライナ情勢による企業の仕入れへの影響調査の結果を発表した。

調査によると、ロシア・ウクライナ情勢により、原材料や商品・サービスの仕入れ数量の確保面で「影響を受けている」企業は50.8%と、半数を超えた。他方、原材料や商品などの価格高騰の面で「影響を受けている」企業は66.7%となった。

仕入れ数量の確保面で「影響を受けている」企業割合を主な業種でみると、「木造建築工事」が88.3%、「木材・竹材卸売」が83.6%と、「ウッドショック」の影響を受けた業種が目立った。仕入価格の面では、「木造建築工事」が91.3%、ガソリンスタンドなどを含む「燃料小売」が91.2%となっている。

ロシア・ウクライナ情勢により仕入れ関連問題に直面している企業が実施している対策は、「原材料や商品価格上昇分の販売価格への転嫁」が48.3%でトップだった。次いで、「代替品への切り替え」(21.3%)が続いた。他方、検討している対策についても「原材料や商品価格上昇分の販売価格への転嫁」(36.1%)が最も高い。企業の約8%で、「自社生産拠点の日本国内への回帰」の実施を検討しているという。

<ロシア・ウクライナ情勢で仕入れに影響を受けている企業割合>
ロシア・ウクライナ情勢で仕入れに影響を受けている企業割合
※出典:帝国データバンクホームページ(以下同)

ロシア・ウクライナ情勢による原材料や商品・サービスの仕入れへの影響について尋ねたところ、仕入れ数量の確保面で「影響を受けている」企業は50.8%。

内訳をみると、「大きな影響を受けている」が3.8%、「影響を受けている」が 8.9%、「少し影響を受けている」が38.1%(小数点以下第2位を四捨五入しているため、内訳は必ずしも一致しない)となった。

他方、原材料や商品などの価格高騰の面で「影響を受けている」企業は66.7%と7割近くにのぼっている。内訳をみると、「大きな影響を受けている」が10.2%、「影響を受けている」が15.6%、「少し影響を受けている」が41.0%となった。

木材を扱っている業種で企業の8割超が仕入れ困難に

ロシア・ウクライナ情勢により原材料や商品などの仕入れ数量の確保面で「影響を受けている」企業割合を主な業種でみると、「木造建築工事」が88.3%、「木材・竹材卸売」が83.6%、「建築工事」が81.6%。

<仕入れ数量の確保面で影響を受けている企業割合>
仕入れ数量の確保面で影響を受けている企業割合

また、「水産食料品製造」はロシア産品の不足により、7割近くの企業がマイナスの影響を受けている。

<仕入れ価格面で影響を受けている企業割合>
仕入れ価格面で影響を受けている企業割合

原材料や商品などの仕入価格面で「影響を受けている」企業割合を主な業種でみると、木材価格の高騰が響いている「木造建築工事」は91.3%でトップだった。原油価格の高騰の直接的な影響を受けているガソリンスタンドなどの「燃料小売」(91.2%)も9割を超えた。

ほかにも、小麦などの穀物製品、水産品などの価格上昇に直面している「飲食店」(86.6%)や軽油などの燃料が必要となる「一般貨物自動車運送」(84.7%)などは8割超の企業が仕入価格の高騰により影響を受けている。

原材料価格の高騰などで販売価格への転嫁5割に迫る

<すでに実施している仕入れ関連対策>
すでに実施している仕入れ関連対策

ロシア・ウクライナ情勢により原材料、商品・サービスの仕入れ数量の確保または価格高騰に直面している企業に対し、実施している対策を尋ねたところ「原材料や商品価格上昇分の販売価格への転嫁」が48.3%でトップとなっている。次いで、「代替品への切り替え」(21.3%)、「調達先の変更(国内)」(14.9%)、「調達ルートの変更」(14.8%)となっている。

<検討している仕入れ関連対策>
検討している仕入れ関連対策

さらに、原材料や商品・サービスの仕入れ数量の確保または価格高騰に直面している企業に対して検討している対策を尋ねたところ「原材料や商品価格上昇分の販売価格への転嫁」が36.1%でトップとなった。次いで、「代替品への切り替え」(25.2%)、「数量確保できない分の価格の上乗せ」(23.5%)、「調達ルートの変更」(22.6%)、「調達先の変更(国内)」(20.2%)となっている。

特に「数量確保できない分の価格の上乗せ」は前述のすでに実施している企業の割合(9.5%)よりも14.0ポイント高く、今後、対策が進むと同社はみている。

企業の約8%で、政府が新型コロナウイルスの感染拡大を背景に促進してきた「自社生産拠点の日本国内への回帰」「自社生産拠点の第3国への分散・移転」の実施を検討している。

調査期間は4月15日~30日、調査対象は全国2万4854社で、有効回答企業数は1万1267社(回答率45.3%)。

■問い合わせ先
帝国データバンク 東京支社 情報統括部
TEL:03-5919-9343  
E-mail:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp

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