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小売業/無借金率が低下し12.8%、卸売業は16.5%

2023年05月12日 15:02 / 経営

東京商工リサーチが5月12日に発表した2023年全国「無借金企業」調査によると、無借金経営の企業比率(以下、無借金率)は21.6%とコロナ前の2019年から2.8ポイント下落した
ことがわかった。

「無借金」企業率の低下は、同社では「実質無担保・無利子融資(ゼロ・ゼロ融資)など、コロナ禍の資金繰り支援策が実施されたほか、急激な売上減少などが影響した」とみている。同調査は、東京商工リサーチが2022年(1月-12月期)の30万6560社を抽出し、借り入れのない「無借金企業」についてコロナ前の2019年調査と比較したもの。

<産業別の無借金率>
産業別の無借金率
※出典:東京商工リサーチホームページ(以下同)

産業別は、金融・保険業を除く9産業でコロナ前より無借金率が低下した。サービス業他(47.0%)、金融・保険業(40.2%)、情報通信業(28.4%)が突出して無借金率が高かった一方、他の7産業は20%を下回った。

設備投資が必要な製造業(12.0%)で、過小資本が多い小売業(12.8%)がともに12%台、卸売業は16.5%と、無借金率が低下している。

コロナ禍が直撃した飲食業、旅行、宿泊関連業を含むサービス業他は7.7ポイント低下し、下落幅が最も大きかったという。

業種分類別にみると、コロナ前に比べ最も下落したのは、「生活関連サービス業、娯楽業」の6.6ポイント減。行動制限の影響を強く受けた旅行業をはじめ、美容業、冠婚葬祭業、劇場といった娯楽業が打撃を受けた。

<業種分類別の無借金率>
業種分類別の無借金率

「医療、福祉事業」(5.6ポイント減)は下落幅がワースト2位だが、コロナ前が82.2%と元々高く、今回も76.5%と無借金率は高い。

サービス業では、「宿泊業」(5.2ポイント減)、「飲食業」(4.0ポイント減)、「教育、学習支援業」(3.7ポイント減)などもワースト上位に入った。

このほか、「織物・衣服・身の回り品小売業」(5.2ポイント減)、「繊維工業」(2.8ポイント減)、「繊維・衣服等卸売業」(2.6ポイント減)などのアパレル関連業種も苦戦している。 

売上高別では、売上高5億円未満が無借金企業の72.3%を占めたが、2019年と比べ売上高10億円未満は軒並み無借金率を下げた。

さらに、地区別の無借金率は、九州が24.8%でトップだった。

次いで、四国22.7%、中国22.5%、関東22.0%、北陸21.5%、近畿20.9%、北海道20.1%、東北19.4%と続き、最低は中部の19.2%。西日本地区が上位に並んでいる。コロナ前と比べ、全9地区で無借金率が低下した。

同社は「コロナ前より無借金率が低下した背景には、コロナ禍の業況悪化に伴う資金需要の増大が一因として挙げられる。加えて、実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)などの新型コロナ関連融資が借り入れに対するハードルを下げ、従来は自己資金のみで対応していた企業が念のために借り入れを導入したことも要因として考えられる」としている。

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