ファミリーマート/リテールメディアで事業利益50億円の目標、5合目に到達

2024年07月16日 17:47 / IT・システム

ファミリーマートは7月16日、「カスタマーリンクプラットフォームPowerUP~筋トレ大作戦~」をテーマに都内の本社でデジタル説明会を開催した。

細見研介社長は、「昨年、発表したリテールメディア事業において3年後に事業利益で50億円、5年後に100億円を目指すとした目標については、感覚的に言うと5合目まできた」と述べた。

<細見社長>

同社は昨年7月7日、全国1万6500店の店舗のサイネージや接客のほか、アプリ、SNSなど店舗以外のデジタルでの接点、店舗での買い物体験を向上させる決済、金融サービスの提供などを通じて、お客といつでもつながれるカスタマーリンクプラットフォーム構想を発表した。

その中核として、リテールメディアの開発を進め、デジタルサイネージなどを活用し、店舗をメディア化するとともに、1500万ダウンロードを超えるファミペイアプリなどのデジタル接点を通じて、お客に寄り添った買い物体験の構築に挑んでいる。

大型デジタルサイネージを3面組み合わせた、ファミリーマートビジョンは、計画通り1万店に設置を完了し、1日に1000万人にリーチできている。

2019年に本格始動したファミペイや金融事業を担う「ファミマデジタルワン」、2020年に設立したデータ収集・分析を行い広告代理店機能を持つデータ・ワン、2021年に設立したしたファミリーマート店舗にデジタルサイネージを展開するゲート・ワンのメディア関連事業の子会社3社は、2023年度で営業黒字化を達成したという。

<ファミマメンバーズプログラム>

2024年度のパワーアップ施策として、7月2日から、「ファミペイ」を提示して買い物すると、月間の来店回数と購入金額に応じて、翌月のランクが決定し、ランクに応じて特典を進呈するファミマメンバーズプログラムを導入した。

なお、ファミペイアプリは1年前の1500万ダウンロードから2000万ダウンロード(前年対比約30%増)としているが、プログラム導入後のアプリ会員の獲得は、以前の5倍を超えるスピードに拡大した。

ファミペイアプリと連携できるミニアプリをパートナー企業に開放することで、パートナー企業がファミペイアプリに独自にクーポンなどを配信できる仕組みを設けた。

ファミペイアプリでは、新たに来店客にアプローチできるビーコンを活用した新サービスを1万4800店に導入し、リアルタイムでの情報発信とファミリーマートビジョンと連携した販促を展開する。

ファミリーマートビジョンは、追加で2000台を増設する予定で、大都市圏を中心に、消費者が多く、インバウンド需要に期待できる地域への設置を進め、ファン作りを推進する。

設置店舗数が拡大することにより、1週間の最大リーチ数は約6400万人から、7700万人に拡大し、TV、雑誌といった既存メディア、行政機関、イベントなど、さまざまな連携を拡大することで、リテールメディアの可能性を広げる。

配信力の強化として、実購買情報データを基に、NTTドコモが保有する会員約5000万ID以上へリーチが可能な新サービスも開始。さらに、アプリ起動時の全面広告を開始することで、ユーザーリーチ数を2000万人に拡大、広告インパクトを3倍にパワーアップする。

ファミリーマートビジョンの広告出稿主は、2024年度は前年対比70%増の約250社以上の見込み。業種別割合では、具体的な販売商品がないエンタメ、金融・保険・不動産、アプリ・ネット、医療・製薬、人材関連、官公庁自治体といった企業が約60%を占めている。食品、飲料、酒、日用雑貨といった具体的な商品を店舗で販売する企業は約40%となっており、販売促進だけでなく、認知度の拡大や純粋な情報発信といったことにも対応できる、店舗のメディア化が進んでいる。

金融機能である「ファミペイ翌月払い」の会員は、1年間で60%増加し、10万人が28万人となった。また、板カードのないクレジットカード、ファミペイバーチャルカード会員は、1年間で10倍に増加、15万人が150万人となった。

ファミペイは、銀行チャージ、クレジットカードチャージ、ファミペイ翌月払いチャージ、店頭チャージの4つに対応しているが、現在11行で対応している銀行チャージを100行以上に拡大する計画だ。

来春には、バーチャルカードに加えて、リアルカードを発行する。リアルカードを発行することで、ファミペイの利用可能カ所を267万カ所から、ガソリンスタンドや鉄道改札、海外加盟店など全JCB加盟店の国内外4900万カ所に拡大する予定だ。

<戦略発表会でのフォトセッション>

細見社長は、「コロナの期間が3年間あり、日本だけでなく世界中の方々が苦しんだ。その3年間に、プロジェクトの企画段階から準備を行ってきた。それは、情熱がなければできない。この2年ぐらいをかけて、一気に1万店に(ファミリーマートビジョンを)設置した。これは、日本では初めての取り組みだが、アメリカでは、ウォルマートをはじめとして、リテールメディアが全盛を極めそうだということが、5年ぐらい前からリサーチで分かっていた。『これから、日本でも必ずリテールメディアの時代が来る』ということを信じて、この5年間、準備も含めて、事業会社も3社も設立し、営々とやってきた。ようやく日本でも、リテールメディアが、当たり前に言われるような時代になってきた。日本で、ファミリーマートがリテールメディアの時代を切り開いたということで、我々は自負を持っている」とリテールメディア事業に対する想いを語った。

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