ファミリーマート 決算/3~8月営業収益1.4%減、リテールメディアは好調
2024年10月09日 16:08 / 決算
ファミリーマートが10月9日に発表した2025年2月期第2四半期決算によると、営業収益2575億600万円(前年同期比1.4%減)、事業利益517億6600万円(0.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益654億300万円(97.8%増)となった。
決算について、細見研介社長は「ファミリーマートとしての将来を切り開くことを感じさせる内容の決算だった。主に2つの要因がある。
1つ目はデジタルの施策だ。リテールメディア戦略を始めた当初の5年前は誰も振り向きはしなかったが、今やファミリーマートがこの事業をけん引している。これまで同事業で新会社を3社設立したが、2023年に3社とも営業黒字を出した。今年度は非常に大きな利益を上げるまでに至っている。
ゲートワン(「FamilyMartVision」の運営会社)に広告を出している顧客の約6割がファミリーマートに配送している会社以外であることから、ほかの業界にもファミリーマートが行うリテールメディアの価値が認知され始めていることが分かる。これが1つの大きな兆しだ。
もう1つは中国事業の再編が完了し、特殊な利益出たことだ。今まで中国での店舗数が減少していたが、ここ数カ月で100店舗プラスに転じており、再スタートを切れた」と述べた。
営業収益は、前年に譲渡した子会社売上約70億円の影響を除くと32億円の増収になるため、実質増収だと同社は考えている。利益率の高い食品カテゴリが伸長しているという。
事業利益は、既存店の収益力向上に伴うFC収入の増加や、広告・メディア事業の大幅な伸長により、人件費やシステム等の償却費増加を吸収し、前年並みとなった。
親会社の所有者に帰属する利益は、中国事業再編に伴う一過性利益316億円を計上し654億円。店舗収益力の向上に伴う減損損失の改善なども加わり、特殊要因を除く前年同期差は7億円増の338億円となる。
既存店日商は、8月に36カ月連続での前年超えを達成。リニューアルした「クリスピーチキン」のヒットや「生しっとりパン」「プリンスイーツ」「サンドおむすびファミチキ」がメディアの上半期ヒット商品に輝いたこともあり、中食が継続して好調。販促では「ハワイのおいしさ大集合!」「たぶん40%増量作戦」などのキャンペーンも奏功した。
プライベートブランド(PB)「ファミマル」は、アイスクリーム、飲料、冷凍食品など盛夏期に対応したカテゴリーがけん引。ファッションブランドなどとコラボした「コンビニエンスウェア」も好調だという。
DX面では、8月末で約2200万ダウンロードの「ファミペイ」が、来店回数と購入金額に応じたランクで特典が進呈されるロイヤリティプログラム「ファミマメンバーズプログラム」を導入した。
業務面では、約7000店に導入している「人型AIアシスタント」に生成AIを搭載。マニュアルの音声検索を可能にすることで、円滑な店舗運営を支援している。
下期の取組については、PB「ファミマル」でプレミアムシリーズの展開を強化。有名店・有名ブランドとのコラボ商品で、さらなる拡大を図る。コンビニエンスウェアは季節に応じたバリエーションを増やし、売場を拡大していく。
店内イートインの売場への変更については、まずは約2000店舗で進める。売場面積を広げることで、需要が拡大している「コンビニエンスウエア」などの衣料品や、トイレットペーパーや洗剤などの生活必需品を中心に品ぞろえを増やす。
デジタルの活用については、導入フェーズから運用フェーズに移行。「人型AIアシスタント」に加え、スタッフの勤務シフトを自動作成する「ファミマ・ワーク・システム」や「多機能型床清掃ロボット」などの次世代オペレーションを本格的に運用する。
加えて、生成AIを活用することで、店舗経営を支援するスーパーバイザーの資料作成にかかる作業負荷を大幅に削減。個店毎に最適なコンサルティングの提供を実現する。店内設置のデジタルサイネージ「FamilyMartVision」は、大都市圏を中心に追加設置予定。「ファミペイ」からリアルタイムで情報発信と販促展開すべく、約1万5000店舗にビーコンを設置する予定だ。
メディア・行政・イベントとの連携も拡大し、カスタマーリンクプラットフォーム戦略の一層の強化を行う。
また、店舗運営について細見社長は「新たな店舗ネットワークに上書きした方が良いと考え、昨年から戦略的に不採算店舗を閉めている。さまざまなバリエーションで売場面積を広げることを考え、1つずつ具現化していく。イートインの転換はその一環。これから既存店のバージョンアップに取り組む。店舗数だけを追いかけるのはナンセンス。面積を増やすことで店舗数もおのずと増えていく」と語った。
取材・執筆 古川勝平
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