メルカリ／台湾・香港で「グローバルアプリ」の提供開始、3年で50カ国・地域に拡大

2025年09月30日 14:22 ／経営

メルカリは9月30日、越境取引事業の新戦略を発表した。メルカリ初の世界共通アプリ「メルカリグローバルアプリ」の提供を台湾・香港で開始するとともに、国内事業者向け越境EC基盤を強化する。

＜メルカリグローバルアプリ提供開始＞

メルカリは2019年に越境EC事業者との連携を通じた越境取引事業を開始。2024年8月には台湾、2025年5月には香港でWeb版「メルカリ」の提供を開始するなど、グローバル展開を積極的に進めている。

こうした取り組みや、累計40億品を超える豊富な商品在庫などを強みとして、メルカリの越境取引事業の流通総額は過去3年で15倍以上に成長。年間900億円を超える規模に拡大しているという。

＜新戦略の導入背景＞

だが、日本の優れた商品やカルチャーをより多く世界に届ける上での課題があった。まず海外の購入者が直面する課題としては、言語の壁や複雑な購入プロセスといった体験面と、海外のプラットフォームにアクセスする際にサイトの信頼性への不安がある。一方、海外への販路拡大に関心を持っていても「最初の一歩」を踏み出せずにいる国内の事業者も多い。

こうした背景を踏まえ、メルカリは越境取引事業の新たな戦略を策定。海外の購入者と日本国内の事業者の双方の体験を向上し、よりかんたんかつ安心・安全な取引環境構築を実現するという。

その戦略の中核として、世界共通のプラットフォーム「メルカリグローバルアプリ」の提供と、国内事業者の海外展開を支援する「メルカリグローバルEC基盤」の2本柱を掲げた。

＜グローバルアプリの特徴＞

まずグローバルアプリでは、「メルカリ」の豊富な在庫にアクセス可能。AIによるリアルタイム翻訳機能に加え、各国や地域の通貨や決済方法に対応した。言語や通貨の違いによるストレスもなく、快適な操作性で商品を購入できるという。

検品から配送まで全てメルカリがサポートすることで、取引の不安を解消。配送先の国や地域に最適化された方法で、確実かつ安全に配送されるという。2026年1月以降は、発送前にメルカリが全商品をチェックして品質を保証する「全品検品」を導入し、決済から配送状況の追跡までの全プロセスがアプリ上で完結する一気通貫のUXへとアップデートされる。

＜利用画面イメージ＞

越境取引事業の拡大にあたっては、特に世界的に人気の高い日本のエンタメ・ホビー領域に注力する方針。予約販売やオークション機能など、エンタメ・ホビー領域の取引を促す機能を順次導入し、コンテンツの権利元企業とも連携しながら、購入者・事業者双方にとってのメリットを生み出す。

今回、9月30日から台湾・香港でグローバルアプリを提供開始した。2026年春にはアメリカでも提供する予定。その後は展開する国や地域を順次拡大し、3年以内に50以上、中長期的には100以上の国や地域へ展開する。UI／UXや機能のアップデートも順次行う。

＜グローバルEC基盤の特長＞

また、グローバルアプリ上の商品ラインアップを増やすために、国内事業者の出店も促す。日本国内の事業で培ったメルカリのノウハウを活かし、越境ECの専門知識や経験がない事業者の海外展開を支える「グローバルEC基盤」を構築する。

国内事業者側で、新たな設定・申請などの対応は不要。いつもの「メルカリShops」で、簡単に海外の購入者へ商品を販売できる。多様な海外決済への対応、複雑な国際配送・通関手続き、外国語での顧客対応といった、専門知識を要する煩雑な業務は、全てメルカリが機能でサポート。決済はStripe、配送は佐川急便などのパートナーと連携した。

今後、国・地域ごとの販売設定も可能にすることで、現地権利者とのトラブルを回避する。2026年上半期からはパートナー連携による「あんしん鑑定」も導入する予定だ。

さらに、メルカリの海外ネットワークやノウハウを活かし、ただ出品するだけではなく、より効率的にコンテンツや商品を世界中のファンにリーチできるような基盤を提供する。事業者向けのテーマページの構築や、公式であることを示す「公式バッジ」などの機能を順次追加し、事業の継続的な成長を支援していく。

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