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スシロー/水留社長が語る「強さの秘密」(中編・やんちゃ、やろうよ)

2018年02月13日 16:00 / 流通最前線トップインタビュー

■寿司職人の前社長から社長交代、社内に不安はなかったのか

――2015年2月の社長交代時は、会社の業績も堅調でした。なぜ、あのタイミングで社長交代だったんですか。

水留 将来の姿として、海外を含めていろいろ事業展開をする中で、オペレーションのコントロールがすごく秀でたマネジメントだけでは、なかなか次のシナリオを作っていくことが難しかった。ファンドは何を考えるかというと、その先にどういう風に絵を見せて、いい形で自分たちは売り抜けて、新しい株主を迎えるかということです。

既存の延長線上で、次の成長ステージを描くのが、多分、やりきれない危惧を、当時のファンドはもったんじゃないかなと想像しています。

<豊﨑賢一前社長>
豊﨑賢一前社長

――寿司職人で現場を知り尽くした豊﨑前社長から、水留社長に交代するにあたって、社内で不安はなかったんですか。

水留 あまり社内に不安があると意識したことはなかった。顧問の肩書ではじめは入りますが、周りは社長になるという意識で私を見ています。どうなるんだろうとは思っていたとは思いますが、当然、私に対して「不安です」という人はいないわけです。別に、社内が不安そうだから、それを何とか払拭しようとしたことはないですね。

最初、入った時に、役員、部長クラスと個別でいろいろ話を聞いたりしましたが、その時にいま、どういうところを自分として課題として思っているかとか、もっとこうなっていた方が会社って良くなるんじゃないかとか、そういうところを聞いていくんですけど。

そういう中で、自分の思い、考えをしっかりと言える人間もいれば、何となくまだ距離感があって、「いや大丈夫です」みたいな人もいる。でも、何回か話をしていくうちに、だんだんと、会社の状況とか、みんなが何を考えているのか分かってきます。

――2012年9月のペルミラの資本参加から社長交代まで、少し間がありましたが、実務の豊﨑、管理の水留のように、二人三脚という選択肢はなかったんですか。

水留 会社というのは、トップが二人いてはだめなんですよ。どっちを見て、仕事をすればいいのか、動きをとればいいのか、みんながぶれてしまう。そこは、私がスシローを引き受ける上での前提で、そうじゃなければやりませんという話だった。

トップはそう思ってなくても、どうしても派閥っぽい、何とか派とかが社内にできてしまうのが一番良くないんです。そこはしっかりと線を引かなくてはいけない。豊﨑さんとも話した上で、社長交代をした。

――増収の中で会社を引き継いでいますが、プレッシャーはありましたか。

水留 マネジメントが変わるというのは、会社に課題があるから変わるわけで、その課題というのは、分かってましたからプレッシャーはないです。

――社長交代時の課題はなんでしたか。

水留 やっぱり成長性の部分で、新しいものがちょっと出なくなっていた。ちょっと下を向いて、元気がない部分が少し出ていた。次へのシナリオみたいなものが、ひとつ見えてこない。ユニゾンの時代で一番良かったのは、回転寿司日本一という、すごくクリアな目標があったんですね。分かりやすい目標が少し見えづらくなっていた。

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