■「やんちゃ、やろうよ」で、社員の本音を引き出す
――社長交代時に、社長として一番、社員に伝えていたメッセージはなんですか。
水留 「やんちゃ、やろうよ」です。店長会議とか、いろいろ周る中で、ちょっと下向きすぎてるんじゃないのとか、言ってました。
社長交代時に、最初にやったのが、本社の幹部社員のヒアリングです。そのあと、各エリアで開かれる店長会議とかも周りました。全店長を集めたミーティングもやっています。どちらかというと、コミュニケーションサイドですね。こちらから情報発信する場合は、全店の店長を集めればいいですが、ツーウェイのコミュニケーションをとろうとすると、こちらから行く必要もある。
店長会議の前後には、10人くらい集めて、飯を食ったりとか、当初はそういうこともやってました。当時の全店長と飯を食いました。
――オフィシャルな会議と食事をする場では、話す内容も変わってきますか。
水留 変わってきますけど、みんな緊張してますよ。「どこまで言っていいんだろう」という空気があります。お酒の場だと、本当にやんちゃをする人もたまにいますが。一緒に同席している課長が青くなってますよ。酒、飲んでますしね。
――飲みニケーションというのは、最近、なくなっているといいますが、重要ですか。
水留 酒がすべてじゃないですけど、どうしても社長という立場だと、普通に話す機会ってなかなかないじゃないですか。一方で、こっちは現場で本当に何が起こっているのか、どういう風に思っているのかを知りたいニーズがある。そういう場面というのは、やっぱり有効なところがある。
それこそ、企業再生支援機構で、日本航空(JAL)の再建で一緒に仕事をした稲盛和夫氏に言わせると、コンパだ、コンパだと。京セラはコンパというんですよ。必ずミーティングの後はコンパ。ただ、金をかけないから缶ビールと乾きものでコンパする。JALでもやってましたよ。缶ビールと乾きものなので、お店に行かないで会議室でやる。
スシローは、各エリアごとにコンパをするような場所がないから、店長会議の後に、安い居酒屋さんとかに集まってやってます。
――業績の悪い会社の特徴はなんですか。
水留 業績の悪い会社は、やっぱり透明じゃないんですね。透明だと上の人間は変なことができないんですよ。みんなに見えるから。スシローは、毎月、業績報告会があって、課長たちが自分の数字の報告をするんですけど、全員が全課長の数字を見れる。誰が、いい数字をあげている課長で、誰が苦戦している課長か、みんな分かるわけですよ。
そうすると、業績悪い課長が部長になれるわけがないですよ。どんなに可愛くても、部長にできないですよね。必然的に上に上がる人は上がるし、必然的に下に下がる人は下がっていく。人事の透明性にもつながっていく。上司におもねったら、上になれるんじゃなくて、業績を上げた人が偉くなれる、当たり前の流れができる。
■スシロー/水留社長が語る「強さの秘密」(前編・ぶれない寿司へのこだわり)
■スシロー/水留社長が語る「強さの秘密」(後編・未開拓市場を拓く新業態)
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