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シャープ/デジタルサイネージ運用支援、クラウドで経費削減・視聴分析提供

2022年08月05日 15:50 / 流通最前線テクノロジーズ

「導入効果が見えない」というのは紙のPOPやポスターの時代から共通の悩みで、それはデジタルサイネージでも同じだ。どれくらいの回数どのコンテンツを表示した、というくらいのことは分かっても、実際にどれくらいの、どういった属性の人がどのコンテンツを見たのかが分かれば、さらにデジタルサイネージのコンテンツ表示を効率的、効果的に行うことができるはずだ。

シャープマーケティングジャパンは2022年6月16日、デジタルサイネージの視聴分析ソリューションを提供開始した。

「先日のデジタルサイネージジャパン(2022年6月開催のイベント)でもカメラのセンサーを使って視聴者を分析するソリューションは話題となっていましたし、海外でもサイネージの視聴分析はトレンドになっています。これからのサイネージは視聴者を分析した上で適切なコンテンツを配信できるものが求められます」と話すのは、シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社 デジタルイメージング営業推進部 課長の高山 政人氏。

<デジタルサイネージの視聴分析を開始すると高山氏>

「e-Signage S クラウドサービス」のオプション機能として提供され、視聴分析用のエンジンには、ニューフォリア社の「Vision Eye」を採用。ディスプレーに取り付けたカメラが取得した情報から、クラウド上のAIが「通行者数(トラフィック数)」、「視聴者数(オーディエンス数)」を計測・集計して、同時に視聴者の性別や年齢も解析する。

集計・解析結果は、設置場所別や時間帯別、コンテンツ別に表やグラフで可視化してフィードバックする。視聴者数の多いサイネージ、コンテンツのランキングも提供する。「コンテンツ別の解析結果を出せることは大きな特徴です。どういったコンテンツがよく見られるのか分かります」と高山氏。

<分析システムの概要>
分析システムの概要

通行者数、視聴者数の多い設置場所、時間帯などを定量的に把握でき、各コンテンツの訴求効果までも検証できるため、運用の効率化、情報発信力の強化に貢献できるソリューションだ。

<分析リポートの表示イメージ(ダッシュボード)>
分析リポートの表示イメージ(ダッシュボード)

なお視聴分析ソリューションは、新規設置だけでなく、既設のデジタルサイネージでも利用できる。
6月に発表して数カ月だが、すでに多くの引き合いがきているという。「中小規模から大規模な商業施設まで多くのお問い合わせをいただいています。流通・小売りではありませんが、マンションなどからもお問い合わせをいただいてまして、住民へのお知らせや必ず見てほしい情報などを表示したいというニーズをいただいています」と高山氏はいう。

視聴分析はサイネージの設置場所や目的などによりさまざまな目的が考えられる。「e-Signage S クラウドサービス」の視聴分析ソリューションは、測定や検知など設定値をカスタマイズすることも可能だ。「お客様のご要望に応じてカスタマイズできる部分もありますので、そうしたことにも対応していきます。今後は個人情報保護などにも留意しながら、機能の拡張や使いやすさ、リポートの改善なども進めていきます」と高山氏は今後の展望を語った。

e-Signage Sの導入事例

<品川駅のサイネージ>
品川駅のサイネージ

JR東日本の品川駅、中央改札口から新幹線乗り場や港南口に向かう「自由通路」の上に70型のサイネージが並んでいるが、このサイネージはシャープ製だ。70V型の「PN-R703」が44台ずらっと並ぶ景色は壮観で、道行く人も必ず目をとめるサイネージだ。

また同じくJR東日本では横浜駅のアトリウム(JR横浜タワー1~4階)壁面に巨大なディスプレーが設置されており、これもシャープのデジタルサイネージである。70V型の36面マルチディスプレーだ。

「e-Signage Sクラウドサービス」を導入しているのはオカダヤ。複数店舗のディスプレーを本部から一括管理している。店舗スタッフの作業負担なく、多彩な情報発信を実現している。

<時間帯に応じて表示内容を変更>
時間帯に応じて表示内容を変更

クリスピークリームドーナツ(横浜ジョイナス店)では、「e-Signage Sネットワーク版」を使い、4台のディスプレーでメニューを表示している。時間帯に応じて表示内容を変更することでパネル変更の手間を削減。シーズンごとのキャンペーンメニューなど通行する人々の目を引く内容を表示している。

相鉄ビルマネジメントは屋外に設置するサイネージの配信・管理に「e-Signage Sクラウドサービス」を利用している。高輝度ディスプレーを設置することで明るい日中でも見やすく表示でき、防水筐体(きょうたい)に格納しているため、屋外環境でも積極的に情報発信が可能となっている。

「これらは比較的大きな規模、あるいは特徴的な導入事例ですが、中小の小売業でサイネージ10台くらいを設置して利用されているというお客様も多くいらっしゃいます。どのような規模のお客様にもご利用していただきやすいのがe-Signage Sの特徴でもあります」と高山氏はいう。

サイネージに関する情報発信・提案も積極的に

シャープマーケティングジャパンでは毎年、法人向けの総合提案会「シャープビジネスソリューションフェア」を開催している。2022年は東京、名古屋、大阪、仙台、福岡で開催し、7月13日~14日の東京会場では多くの来場者を集めていた。

「新型コロナウイルスの流行によりここ2年はオンラインのみでの開催でしたが、今年は感染対策を万全にした上で、お客様にご来場いただく形で開催しました。各会場で多くのお客様にご来場いただいております」と今井氏。スマートオフィス、セーフティ、教育、スマートリテール、サイネージとソリューションごとに多彩なソリューションが実演展示された。

スマートリテールソリューションでは、非対面コールベル・受付システムや、医療機関向け卓上型セルフ精算システム、自動搬送装置(AGV)「TYPE GL-CUBE」、協働運搬ロボット「サウザー」、デジタルピッキングシステム(DPS)、ハンディターミナル、モバイルPOSなど多くの製品のデモンストレーションが実施され、サイネージソリューションでは120V型8Kディスプレーやマルチディスプレーの展示、「e-Signage S」の実演も行われ、多くの人を集めていた。同社では、今後ともリテール向けソリューションの提供に力を入れていく考えだ。

<シャープビジネスソリューションフェア東京会場>
シャープビジネスソリューションフェア東京会場

<e-Signage事業を推進している今井氏、高山氏>
e-Signage事業を推進している今井氏、高山氏

シャープマーケティングジャパン ビジネスリューション社
ソリューション営業推進統轄部 デジタルイメージング営業推進部
今井 綾子参事
<略歴>
1999年:シャープ入社、パソコン事業部商品企画部にてコンシューマ向けノートPCの企画販促業務
2006年:ビジネスソリューション事業部商品企画にて業務用ディスプレーの推進に関与
2011年:ビジネスソリューション営業部にて業務用ディスプレーの販促、マーケティング業務に従事
2020年6月よりシャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社
デジタルイメージング営業推進部にて、販促プロモーション、ソリューション検討(現職)

シャープマーケティングジャパン ビジネスリューション社
ソリューション営業推進統轄部 デジタルイメージング営業推進部
高山 政人課長
<略歴>
1998年:シャープ入社、シャープシステムプロダクト(現:シャープマーケティングジャパン)システム統括部に配属。大手銀行向けシステムの開発/運用にSEとして従事
2010年:開発技術部に配属。大手ユーザー向けシステム設計/構築/運用に関わる業務に従事
デジタルサイネージ案件についても並行して対応開始
2013年:液晶・環境システム営業推進部(現:デジタルイメージング営業推進部)配属
デジタルサイネージ案件・販促など担当
2016年:デジタルサイネージに加え、自社製品 TeleOffice担当を兼務。
2022年:(新)デジタルサイネージ視聴分析ソリューション担当。

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