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ワークマン/土屋専務が語る「少子高齢化社会」でも成長する秘密

2022年12月08日 15:58 / 流通最前線トップインタビュー

作業服専門店No.1チェーンのワークマンは、コロナ禍でも業績を拡大している。2022年3月期のチェーン全店売上高は1565億9700万円。2017年3月期の売上高は742億9100万円だったため、5年間で売上高は2.1倍に拡大した。急成長のきっかけは、2018年9月に開始した新業態「ワークマンプラス」だ。作業服の技術を生かして、一般消費者向けに開発した商品を展開し顧客層を拡大した。2022年10月からは、さらなる顧客層拡大を目指して「#ワークマン女子」を開始、2022年4月からは「ワークマンシューズ」を開始した。いずれの新業態も、商品開発の根底には、プロが使用する品質、機能性、価格がある。今回、新業態を管掌する土屋哲雄専務に、少子高齢化という人口減少下でも成長を続けるワークマン独自の経営戦略について、語ってもらった。

ワークマン/土屋専務が語る「少子高齢化社会」でも成長する秘密

報告を求めず社員に任せ、経営陣は口を出さない経営

――まず、土屋専務の簡単なキャリアを教えてください。

土屋 大学卒業後に三井物産に入社し、子会社の三井物産デジタルの社長になり、その後、子会社の三井情報の取締役をやりました。ワークマンには、2012年に常務取締役で、CIO(最高情報責任者)的に、入社しました。2019年に専務になり、今に至っています。

――ワークマンの経営では、三井物産の経験が生きていますか。

土屋 三井物産デジタルで社長などを経験しましたが、その時は、いわゆるマイクロマネジメントをしていました。当時は、人に任せないで、何でも自分で決めていた。だから売上高100億円、利益10億円くらいのビジネスしかできなかった。商社からすると、小さな単位で、ゲリラ戦で戦ってる感じでした。

――いまの経営方針を教えてください。

土屋 日本の会社は、余計な仕事をしすぎですよ。やらなくてもいい仕事ばかりです。例えば、人に任せてるのに、毎週報告を求めるとかね。任せた意味がない。ダメだったら2、3年したら、変えればいい。アメリカだと権限移譲したのに、報告を求めるのは、マイクロマネジメントといいます。日本はそればっかりやってる。

例えば、社長が本当に知見があって、報告した人に対して適切なアドバイスできるなら、報告させたっていい。でも大体、社長がITのことを分かっていない。担当部長が、毎週、毎月のように報告すると、社長はわけわからないけど、分かったような、分かんないような顔をする。アドバイスもできないのに、報告を聞いても仕方ない。任せたら、ずっとひたすら我慢で、任せる。ダメだったら、変えればいいというのが、いまの考え方です。

――社長と専務ではどんな業務の棲み分けをしていますか。

土屋 社長は日々のオペレーションと数値責任を持っています。私は将来の60年後の世界を考えていますから、10年後とか、先のことだけをやる。絶対、仕事が被っちゃだめですよ。社長はやっぱり予算がありますから、予算を組んで、IRや決算説明会やって、オペレーションの責任を持つ。私は、新業態、#ワークマン女子なんかを見ています。60年間、100年間の競争優位を考えています。ワークマンの作業服は42年間、競争優位ですよ。独走していますから、それを#ワークマン女子でやろうとしてるから、競争も多いし大変なんです。

あと、会社の代表の仕事はしない。将来の会社の設計だけをしている。会社の代表は2人居ると混乱する。社長は、運営のプロで、ワークマンプラスの一般向けの商品を初めて作った人だから、デザインのセンスもあるし、データにも強い。そういう人は、売上を上げることに専念するので、あんまり社外的な広報とかに出ちゃいけない。IRは、数字の責任だから、逆に社長しか出ちゃだめ。私が口を出すと大変なことになる。今期の業績を心配しているのに、将来のことを言っちゃうから。

<ワークマンの店舗>
ワークマンの店舗

――社員に対する信頼はどこから生まれてくるのですか

土屋 うちの社員は、作業服では42年間、圧倒的に1位ですからね。1位になり、市場の競争原理を作る方法は、分かっている。あと、新製品を導入したら在庫が残ると、加盟店が金利を負担しなければならないから在庫を残さないような技術がある。これは素晴らしい。大体、売り切りごめんですけどね。

――社員に任せることで、どんな成果があったか教えてください。

土屋 例えば、ワークマンプラスの1号店は、「ららぽーと立川立飛」でした。実は、私からすれば坪20万円も売れれば大成功だと思っていた。だけど、ノルマは課さない会社だから、20万円とは死んでも言えない。それで、開店して社員がどれくらいを目標にしているのかを調べたら、40万円を目標にしていた。だから、20万円なんて目標を押し付けちゃいけない。社員は40万円を目指していた。そして、実際、社員の目標に近い数字になった。これは素晴らしい。

変なつまんないノルマよりも、社員の夢の方が大きい。しかも、自分で立てた目標だから、自分で努力しますよね。だけど、上が作った過大な目標だと、途中で諦めちゃいますから、やったふりをする。逆に、小さい目標だと、やったら終わりになってしまう。日本の会社の社員って真面目ですから、ノルマであんまり縛らないで、自分の意欲でやってくれ、それで売上を作ってくれとなる。

完成期限を設けないのがDX成功の秘訣

――ワークマンでは、仕事の完成期限を設けないのは、何故ですか?

土屋 期限がないほうが、早くできる。プレッシャーがない方が、いい仕事ができる。だから、期限はないですよ、できるまでやる。いまやっている自動発注は、もうすでに、10年かかってますから。自動発注は、加盟店の導入率が七割ぐらいですから、10年かけて、七割しか普及しない。そんなのは、それでいいんですよ。10年かかろうが、20年かかろうが、できるまでやれば。

――システム開発は、内製化するのがワークマンの方針ですよね。

土屋 エンジニアはシステムに興味はあっても、会社の業務に興味がないんですよ。会社の業務に本当に困ってる人が、システムをやればいいので、それは時間をかければできるんです。ただ、何にも知らないから、一年以内には絶対できないです。人材を外から採ると、仕事を教えるのが大変だし、DNAが違うから、本当に会社のことが分かるには五年くらいかかる。

――システム内製化での成功の秘訣はなんですか

土屋 内製化しても、お金を惜しまないことです。仕様が変わって、またやり直すとかいうのを、ケチるからいけない。元々、仕様なんて出せない、難しいと分かれば、いくらかかってもいい。時間もかかっていい、金もかかっていい、というと勉強になりますからね。実際、ワークマンで、エクセルを使って、バリバリAIを使って分析をやってる人たちは、システムの仕様書がかけるようになった。あとは、自動発注なんかの計算のアルゴリズムなんかは、自分で作ってますよ。AIのアルゴリズム、計算方式をエクセルで検証しています。

例えば、予測といっても結果が分かっている予測をすればいいんですよ。一年前のデータで、今を予測させる。今というのは、いくら売れたとか、在庫が残ったとか、結果が分かってますから、エクセルでできるんです。AIを使って、過去データを使って、いまの状況を予測させて、合ってるかどうかは、いまチェックできます。そして、どうして間違ったかをエクセルで解析する。一年前のデータを使って、一年後を予測したものを、一年後のいま、それで正しいかどうか、マル・バツをつける。それで、バツが付いたやつを、なぜ当たらなかったのかを検証する。それが需要予測です。あとは、店舗で発注すると、商品は、三日後、四日後につきますから、三日前の予測で、今日の売上を当てる。そうすると、今日の売上は分かりますから、どう違ったのかを検証する。そのAIをエクセルで検証しています。

――自動発注の話が出ましたが、店舗の受発注の仕組みを教えてください。

土屋 毎日発注していますが、リードタイムで、一日かかりますので、三日後に着く。発注も配送も毎日あります。だたし、リードタイムを詰めようとしてはダメ、一日かけていい、早くしてはダメだというのがうちの発想です。早くすれば、いいというものではない。だって、商品回転日数が、店舗で大体80日から90日だから、翌日にくる必要はないんですよ。翌々日の朝にくれば十分で、中一日ありますけど、一日だけ在庫がない。商品回転率が高かったら別ですけどね。一日二回転するとかね。食品は、すぐに売れるから時間管理しないといけないけど、食品を売っているわけじゃない。

<急成長のきっかけとなったワークマンプラス>
急成長のきっかけとなったワークマンプラス

――ワークマンにとって、DXとはどんな位置付けですか。

土屋 ワークマンにとって、DXは課題であり、重要です。重要だから急いでやってはいけない。ゆっくりちゃんとやらないといけない。時代に流されてもいけない。ただ、DXというのは会社によって違う。我々からすると、流通だからサプライチェーンだと思っている。サプライチェーンを自動化する。発注も、本部からメーカーへの発注と、店舗と本部間の発注です。これをいま、10年かけて、完全自動化を目指している。店舗から本部への発注を完全自動化するのが重要です。

なぜ重要か説明すると、100坪の店舗に、作業客(プロ)が来るわけですけど、その地域で来る作業客のニーズに応えなきゃいけない。でも、作業客といっても、建設から土木から、電気、水道、ガス、工場、農業、林業、水産、あらゆるものがある。だから、製品の数は、めちゃめちゃ多い。一方で、欲しい商品がないとお客さんは、来なくなるので、100坪に何を置くかが、一番、お客さんの満足を決める。要するに、品ぞろえが一番の顧客満足ですよ。

例えば、職人さんが、特定の作業靴を使っている場合は、その人が引退するまで、供給し続ける。ただ、3カ月に1回来るお客さんが、引退したかどうかは、人の勘では分からないんですよ。前来たのが、3カ月前か1年前かは、人間の記憶力では不可能です。そうすると、4カ月来なかったら、発注を止めなきゃいけない。それが自動発注ですよ。だから、ものすごい製品の中から、作業用として、商品を選んでいる。

一方で、例えば「スパイク付き長靴」というのがあって、長靴の下にスパイクが付いてるんですよ。どこで使うかというと林業で使うわけです。だけど、林業がなくても、山菜取りの人が使う。田舎に行くと、山菜取りって、かなりの趣味で、きのこを取りに行くとかある。だから、それは、産業と関係なく需要がある。産業の人口統計を見てもだめで、実際に、購入された感覚だとか、トレンドを見て、それを分析する。これは、変わった作業がいるので、作業は難しい。アパレルとかは、簡単ですけどね。

――アパレルは簡単ですか。

土屋 作業の方は種類が多いから、アパレルの需要予測の方が簡単です。何を置くかが一番、重要ですね。それを、いま十年近くやってきて、いまだに完成してないんですよ。だから、完成しなくていい。圧倒的にいいものを作る。いまは第四期のシステムが立ち上がって、それがいま七割ぐらいの店に導入されて、離脱した店舗が、3、4店しかない。ほぼ、650店ぐらいに入って、3、4店舗が逃げただけで、かなり成功率は高いですよね。

(フランチャイズ)加盟店からすると、注文するということは、自分の財産が減ると思っています。売買であり、品物を買う訳で、財産権を任せる訳です。ワークマンは卸売モデルですから、店舗は返品できませんし、あんまり値引きもできない。非常に重要で、怖くなっちゃう。だけど、それを結構、当てる。でも、自動発注が怖くなると離脱する。例えば、自分が買いたいけど、入ってこないとか、入ってくるけど多すぎて、売れ残るとか、そうすると自分の損失になる。

――値引きはどうしていますか。

土屋 元々、安い商品で値引きをする意味があまりないので、ほとんど値引きはしません。

製造委託先との長い信頼関係と閑散期の製造で円安に対応

――原材料コストの上昇や円安の影響には、どんな対策をしているのか教えてください。

土屋 為替では、20%程度、悪い影響があります。現在、同じ素材を横展開して、商品を2倍作ることをやっています。例えば、洋服に使用するダウンジャケットの綿を、キャンプに使うシュラフ(寝袋)に使う。シュラフに使う綿は、ダウンジャケットの3倍くらいになります。そうすると、原料の仕入れが2倍になり、スケールメリットで原料の価格は2割くらいは下がる。ということは、原料が占める全体の出荷の割合は、全体の三割くらいですから、その二割下がると6%ですよね。だから、為替の20%のうちの6%は取り戻せる。

あとは、商品を閑散期に作らせています。縫製とか加工というのは、出荷価格、工場出荷価格の三割くらいを占めますから、それが二割下がるんです。そこで、6%下がる。そうすると、6%+6%、あと、値上げをしないことによる売上増加で10%、カバーできるんです。

<ワークマン女子で販売するキャンプ用品>
ワークマン女子で販売するキャンプ用品

――縫製工場の閑散期は、どうやって押さえるのですか。

土屋 いまアパレルは、短納期ですから、季節に合わせて、みんな1カ月や3カ月で作ってくれとかで、集中するんですよ。我々は、それを外すんですよ。アパレルはファストファッションですけど、ワークマンは、逆張りのスローファッションです。そうすると、加工費が二割違う。常に、現地の生産工場の稼働は見ている。だから、メーカーは変えない。海外メーカーは15年間、国内メーカーは42年間、変えていない。変えてしまうと、スイッチングコストでかえって高くついてしまう。海外メーカーを変えると、品質管理にも出して、生産とかに人が張り付いて、1000万円くらいかかる。

あとは、メーカー(生産工場)が不安定になると、今回のような危機の時に、あまり協力してくれない。我々は、15年間、数量もずっと伸びている。そこで、我々も困ったとなると、ある程度は、協力をしてくれます。コロナ禍では、誰も1回も出張しないで、新製品をバンバン作ったんですよ。海外駐在員のような無駄なことはやりません。口で言ったサンプルを作ってもらって、その評価を5回くらい繰り返して新製品を開発します。

――コスト削減では、原材料の買い付けから踏み込んでいるんですか。

土屋 原材料に踏み込む部分もあります。指定したところから、メーカーに買い付けしてもらうこともあります。また、海外の素材メーカーとワークマンが独自に作った素材が3分の1くらいあります。それは、真似できないですから、フュージョンダウンなんかはそうですね。帝人さんとの取り組みでは、ワークマン以外でも売る素材とワークマンの独自素材の二つを使っています。帝人さんとは、量を増やして戦略的に取り組もうと思います。現在、帝人さんの「SOLOTEX®(ソロテックス)」を使った、ウールライクのジャケット(3900円)などを販売しています。あれは、革命的な商品で、試作は、2900円で作ったけど、ちょっと安物感が出ちゃうんですね。やっぱり、帝人さんの厚手の素材を使って、ウールライクに加工すると、ウールと変わりないですよね。

――価格設定はどのように決定しているのか教えてください。

土屋 ワークマンの価格設定は、100円刻みが多くなってます。数字がきれいに見える。80円ってせこく見えませんか。20円だけ、2000円から切ったよりは、1900円の方がいいだろうと。980円は、流石に900円にはできないので、980円、1900円、2900円、3900円で刻んでいます。大体、お客さんは、いくらの商品か分かるんですよ。我々も分かりますし、区切りがいいので。

人口減少下で会社を成長させる視点

――売上目標はどう考えていますか。

土屋 ワークマンは、売上目標の会社じゃないんですよ。例えば、ワークマンの業績の評価で、加盟店に対して奨励金を出しています。普通の会社は前年比110%だと、50万円を出すとかやります。ワークマンの場合は、数年前まで、前年比100%で奨励金を出していました。いまは100%よりは、ちょっと上になりましたけどね。

――上場企業ですと、常に成長しなきゃいけない使命があると思いますが、そういったプレッシャーは感じますか。

土屋 社長は感じてるけど、私は感じていない。60年間とか、100年間続けることしか考えていない。ワークマンでは、ノルマを課さないことや期限を設けないことが、社員を鍛えて、オーガニックに成長している。やっぱり、外から来る人とか、天才経営者に頼ると、100年続かないですからね。凡人経営者が、100年、圧倒的な競争優位を続けるというのが理想ですよ。

――いやいや土屋専務は、凡人ではなく賢人ですよ。

土屋 いや、超間違えるんだよ。私が売れないというやつが売れるとか。この店はダメだというやつが一番売れるとか。だから、センスがないから、商売をやらせたらダメだよ。

<インタビューに応じる土屋専務>
インタビューに応じる土屋専務

――少子高齢化の中で、会社を成長させるために一番、大切にされていることはなんですか。

土屋 一番、重要なのは、業界団体に入らない。なぜかというと、業界があっちゃいけないんですよ。競争があるっていうことですから。だから、ワークマンの業態をひと言で入れちゃいけないわけで、入れた瞬間にいっぱい入ってきますよ。フランチャイズ協会とか、ああいうところにも入らない。独自のフランチャイズ制度を作るとかね。業界団体もアパレルに入ってもしょうがないし、スポーツに入ってもしょうがないし。だから、業界団体に入るような会社になっちゃいけない。

うちは、フランチャイズ協会には、入った方が勉強になるんですけど、入らないという不文律があるから、入らない方がいいと。同業者から学んじゃいけない。そもそも、他の店をベンチマークで見に行くことはないですよ。見ちゃいけない。ベンチマークはダメです。うちの商品部長なんかも行ってないです。

商品開発担当者は、ヨーロッパはデザインがいいから、ヨーロッパのスポーツ系とか、アウトドアの展示会とか見に行ってますけど、それくらいですね。日本で、店舗なんかは見ちゃいけない。店舗の定点観測とか、ストアコンパリゾンとか、原則ダメですよ。

――人口が減少する中でも会社を成長させるポイントは。

土屋 無理しちゃいけないということです。例えば、アパレルなんかは典型的で、増収増益の計画でモノを作っちゃったわけですよ。ところが、世の中は減収減益ですから、とんでもなくモノが余る。それが何年も続いて、会社がおかしくなった。はじめから、負けを認めて減収減益でいいじゃないかと。自慢しちゃいけないけど、ワークマンの今期は増収減益の計画です。増収増益を狙うと、値上げするので、結果的に、減収減益になっちゃうんですよ。

値上げしないので、売上は伸びても減益となる。逆に言うと、10%売上が伸びれば、例えば、いま、為替レートで20数%、2割以上悪化しているわけで、売上が伸びれば、絶対額で為替の20%の悪い影響のうち10%は取り戻せるんですね。利益率は下がりますけど。税引後利益の絶対額でいうと10%伸びれば、税引後も10%伸びるわけですから。

ワークマン女子は60年間続く競争優位を目指す

――#ワークマン女子は、フランチャイズ化を想定していますか。

土屋 #ワークマン女子は運営が違うので、これは別の事業だと考えています。ワークマンとは別のフランチャイズになると思います。いままでの経験があんまり通じないので、別のフランチャイズを作るイメージです。今までより、難しいといえば難しいですが、出だしはめちゃめちゃいいですから。考える時間が、4、5年とか、もしかしたら10年くらいある。

――ワークマンシューズでは、パンプスを新たにはじめましたね。

土屋 あれはね。立ち仕事をする人のためのパンプスです。何が重要かというと、靴擦れをおこしにくいんです。履いたり脱いだりしやすい。例えば、不動産を案内する女性だとすると、物件に上がる時に、靴を脱ぐのに時間がかかっちゃダメです。サンダルみたいに脱げなきゃだめで、引越屋さん、建具屋さん、内装屋さんと同じですよ。だから、引越屋さんをモデルに作っている。

<#ワークマン女子>
ワークマン女子

――#ワークマン女子のアパレルには、全てポケットが付いてます。その理由は。

土屋 女性って、ポケットって嫌がるじゃないですか。やっぱり我々のターゲットというのは、第一子誕生後のママさんからで、子ども抱いてると、子どもが授乳したやつを吐いたりする。そうすると、ハンカチがすぐに出るとか、お菓子が出るとか、だからポケットが多いんですよ。だから、機能で差別化できなくても収納で差別化する。あんまり機能、機能といってると購入頻度が下がっちゃうんで、ポケット平等宣言って言ってますよ。

――キャンプ用品をやったことでEC販売は伸びましたか。

土屋 キャンプ用品は、ECで受注して、みんな店舗受取りです。作業服をやってない店舗は在庫がありますが、作業服を扱っている店舗は、テントみたいなキャンプ用品は、畳んでも置けないなので、在庫がない。だから、先に注文してもらって店舗受取りにしている。テントは、初年度40億円を売りました。びっくりして、大丈夫かと思ったんです。うちの会社は、商品部長は知っていますが、社員が勝手に作って上に報告しないんですよ。役員よりも商品部長の方が、絶対に能力がある。だから、その人に任せている。

――#ワークマン女子は、どんな将来像を描いていますか。

土屋 ワークマンにとって、プロ仕様ということが一番重要です。#ワークマン女子、ワークマンシューズは、フォーマットができてないので、システムまではまだ行っていない。ワークマンとワークマンプラスは、放っておいても成長するフォーマットです。そういうとSV(スーパーバイザー)に、怒られちゃいますけど。私に言わせれば、仕掛けが良くて、回転すると、毎年、3%、4%、売上が上がっていく。まずは、作業客が非常に固定客化しやすい。固定客化しやすい値段ですよ。一回、買うと、ほかじゃ買えないような、反復性というか、中毒性というか、そういう価格になっている。構造として、新しい集客をしなくてもすむ。チラシをまかなくてもいいというのが、価格に入っている。これは素晴らしい。

ところが、いま、#ワークマン女子は絶好調ですよ。売上で言うと、路面店のワークマンの1.5倍とか、絶好調ですけど、10年続く保証はない。それを5年くらいかけて、いま実験をして、成長するフォーマットにする。「ワークマンじゃなきゃ」と思うのと同じような業態にしたい。

――何年、成長するフォーマットを目指していますか?

土屋 ワークマンのフランチャイズ加盟店制度は、3年契約です。辞めたければ、どんどん辞めることができる。でも、加盟店倍率は30倍くらいあり、契約更新率は99%です。それで、子どもが引き継ぐ率が50%です。地方だと、子どもが優秀で、東京、大阪に出ている家が多いけど、子どもが残っているとほぼ引き継ぎます。あと、娘さんの旦那とか、娘さん自体とかが引き継いでいます。加盟店は30年はやりますから、子どもも30年やるとすると、ワークマン女子を60年続くフォーマットにしなきゃいけない。だから、60年先までを考えないといけない。

■土屋哲雄(つちや てつお)氏の略歴
1952年10月6日生まれ
略歴
1975年4月:三井物産入社
1988年10月:三井物産デジタル代表取締役社長
2003年6月:上海広電三井物貿有限公司董事兼総経理
2006年6月:三井情報開発(現・三井情報)取締役執行役員
2008年6月:三井情報役員待遇フェロー
2012年4月:ワークマン常勤顧問
2012年6月:常務取締役情報システム部・ロジスティクス部担当
2017年6月:常務取締役経営企画部・情報システム部・ロジスティクス部担当
2019年6月:専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)

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