ファミリーマート/2023年度末までに「店長業務サポート人型AI」5000店舗へ導入
2022年12月09日 16:00 / 店舗
ファミリーマートは12月9日、都内本社にて、クーガーが開発した人型AIアシスタント(名称:レイチェル/アキラ)の概要説明会を開催した。人型AIアシスタントは、クーガーの音声認識技術、ゲームAI技術、膨大なデータを迅速に処理する検索技術などを活用し、店長の特性や性格などに合わせたコミュニケーションを行うことができるのが特徴。2023年1月~3月に順次、都内の1000店舗に先行導入し、2024年2月末までに全国の5000店舗に人型AIアシスタントを導入する予定だ。
そのため、店舗運営に必要な情報、発注のアドバイス、売場作りのポイントなど、店長が必要とする最適な情報をスピーディに提供し、多岐にわたる店長業務をサポートするとともに、スーパーバイザー(SV)による店舗指導と合わせ、より店舗運営力の向上につなげる。また、人型AIアシスタントは、これまでSVが実施していた業務の一部も代替することにより、SVの業務効率及び生産性の向上にも貢献するという。
ファミリーマート執行役員の中村弘之店舗業務企画本部長は、「原材料価格の高騰、コロナ禍での生活環境の変化、人手不足など、市場環境が変化するなかで、特に人手不足が続いている。そこで、店舗運営の効率を高めることが課題となっている。その課題の一部をデジタルにより解決するため、伊藤忠商事からクーガーを紹介してもらい、3社で取り組んできた。約2年前に店舗で実証実験を開始した。その中で、人型AIの一番の特徴であるコミュニケーションの能力をどう生かすかを考えてきた。そして、店長の業務負担の軽減、SVの業務改革に寄与すると判断して導入にいたった」と人型AIの導入経緯を解説した。
人型AIアシスタント「レイチェル」は、まばたきをしたり、仕草があるなど、実際の人間のような動きも特徴となっている。クーガーの石井敦代表取締役CEOは、「当社は、ゲーム会社出身となる。なぜ、世界中の人がゲームに夢中になっているかというと、実際にゲームの空間とキャラクターがあるように感じるからだ。世界観を感じなければ、ゲームはただの作業になってしまう。世界観や実際に居るような感じだったり、親しみがAIでは重要だと思っている。そのため、レイチェルは、トップレベルのゲームキャラクター的な作りこみをした。リアルな人間と二次元のキャラクターの中間が一番、親しみがある。極端に言うと、店長がまるで、店舗運営ゲームをしているかの形、教えてもらっているようでもあり、教えているようでもある空間をポイントとして、作った」と解説した。
レイチェルは、アクセスの双方向性、行動促進力、個別支援計能力の3つの特徴を持っている。レイチェルからの問いかけや提案が可能で、これによりリマインドや気付きを能動的に行い、双方向コミュニケーションも生まれる。
また、文字や画像に加え、音声、表情、動き、距離感など五感に訴えかける伝達方により、人に対する影響力があがっているため、行動促進を促せる。さらに、伝達力とコミュニケーションの幅によって、ユーザーの得意・不得意や習熟度を理解し、一人ひとりに寄り添って行動を支援できる。
AIは、毎日大量のデータを分析・確認しており、個店に応じたアドバイスをする。例えば、個店別に商品の売れ行き状況を確認し、注目すべき商品カテゴリーを提案する。また、販促物の取付が完了しているかなど、業務のリマインドを能動的に行うことができる。
さらに、人型AIは、対話する相手の性格に応じた対応が可能となっている。例えば、競争心が強い店長には、その店舗が所属するエリアでの販売順位をあえて提供することができる。また、学習意欲が強い店長には、データ提供の頻度を高めることも可能だ。あるいは、褒めて伸びるタイプの店長には、「いつも使ってくれてありがとうございます。これからも頑張っていきましょう」というような表現をすることもできる。
中村本部長は、「店長は、人それぞれの個性があり、経験年数、習熟度も違う。また、店舗の日々の業務で、データが埋没することもある。こういった課題を人型AIによって、相手にあわせて、いつでも欲しい情報を、そのタイミングで提供することができる。これによって店長の業務をアシスタントする」と述べている。
これまでのSVの業務を分析すると、巡回指導、指導準備、移動といった業務が中心で、特に指導準備におけるデータを加工した資料作りに多くの時間がかかっていた。そこで、人型AIを導入することで、個店ごとに商品の売れ行き動向や発注ポイントの確認に役立つデータを、自動加工で表示することで、業務の効率化を図る。現状では、米飯、サラダなどのデイリー商品のデータ分析をAIが行うことができる。ファミリーマートでは、SV業務の20~30%の業務を削減できると見込んでいる。
一方で、中村本部長は、「個店ごとの商圏分析は、やはり人でなければできない要素が多い。競合店の品揃えやマンションの新築などの商圏の変化は、人でなければできない。人型AIによって、削減できた時間を使って、より個店に寄り添った店舗支援が可能になる」と語っている。
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