セブンイレブン/1500億円の店頭在庫活用「ネットコンビニ」本格展開
2018年05月10日 17:30 / EC
セブン-イレブン・ジャパンは5月10日、現在北海道で実験的に導入している「セブン-イレブン ネットコンビニ」を本格展開すると発表した。
ネットコンビニは、セブン-イレブンが販売する、毎週100SKUの新商品を含む2800SKUの商品を、最短2時間でお客に配送する新サービス。
税込1000円以上から利用可能で、配送料は税込216円、3000円以上で送料は無料。セブン-イレブンの商品を、1時間単位の指定で最短2時間で配送する。
2017年10月から、北海道の札幌・小樽地区の15店で実証実験を開始し、その後札幌地区の25店に実験店舗を拡大した。
2018年7月には札幌市内を中心とした100店にネットコンビニを導入し、2018年度中に北海道全店の1000店にネットコンビニを導入する計画だ。早ければ、来期中の全店導入を目指す。
実店舗の商品をお客へ届ける店舗出荷型の仕組みを活用。専用アプリでお客が商品を注文すると、注文データが該当店舗へ送付され、店舗で店内商品をピックアップする。
注文商品は、西濃運輸の100%子会社であるGENie(ジーニー)が、店頭まで受け取りに行き、商品をお客に届ける。ネットコンビニの売上高は店舗売上として計上する。
古屋一樹社長は、「有職主婦の増加やシニア層の拡大、核家族化の中で、食品宅配市場は2016年度で2兆782億円まで拡大しており、今後も成長が見込まれている。セブン-イレブンは、リアルなお店で近くて便利ということ続けてきた。いつでも、いますぐ、どこにでも、という新しい買い物体験を提供する、新サービスを提供することで、近くて便利を追求していく」と述べた。
また、「アマゾンエフェクトという言葉で、ネット通販による実店舗を持つ小売業への影響が取りざたされているいるが、我々はお客様に一番近い場所で商売をしてきており、影響は大きくないとみている。実店舗を生かして、より近くて便利というコンセプトを進化させていきたい」と語った。
ネットコンビニを担当するオペレーション本部デジタル戦略部の新居義典統括マネジャーは、「ネット通販が伸長するなかで、セブン-イレブンが持つ強みを生かしたEコマースは何かという観点から、ネットコンビニを構築した」と語る。
セブン-イレブンは4月末現在で、全国で2万337店の店舗網があり、店舗を在庫拠点と考えた場合の店頭在庫金額は約1500億円規模となる。
1500億円規模の在庫拠点が、あらゆるお客の一番近くにあるのがセブン-イレブンとなるととらえ、一番、早く効率的にお客に商品を届けられるビジネスができると考えたという。
お弁当、パン、パスタ、グラタン、サラダ、総菜、セブンプレミアム、水、米、冷凍食品、酒、日用品など、店頭にある商品を活用することで、簡単にネットコンビニが実現できる仕組みとした。
スマホを活用することで「いつでも注文でき」、店頭在庫を活用することで「いますぐ商品を届けられ」、全国に店舗があることから「どこで利用できる」、お客にとって便利な新しいタイムコンビニエンスの提供を目指す。
ネットコンビニの仕組みは、基幹システムを介さずクラウドと外部アプリケーションを活用して、簡易な仕組みで構築した。
ネットコンビニで販売する商品は、個店の品ぞろえに基づいて表示する。商品マスターは、本部が管理しているため、店舗で品ぞろえを管理する必要はなく、常に最新の品ぞろえを提供する。
商品の配送は当日から6日先までを選べ、10時~21時まで1時間単位で配送時間を選択できる。
配送コストについては、配送料金を設定するほか、本部と加盟店が折半で負担する。現在、ネットコンビニを利用する場合の加盟店の利用金額の設定を行っている。
現在、北海道のほか、北海道に先駆けセブンミールの配送サービスの実験を行った広島でネットコンビニの仕組みを導入する予定だ。
北海道で先行実験している25店では、5台の配送車両を投入し、1台で5店舗を担当しているという。
セブン-イレブンとセイノーホールディングスが業務提携した2017年4月の記者会見では、ジーニーのサービスを2019年2月末までに全国3000店に拡大する目標を掲げていた。
配送業務を担うジーニーは5月現在、北海道札幌市、埼玉県草加市、東京都世田谷区・中野区・荒川区・杉並区、石川県金沢市・白山市、愛知県春日井市、広島県広島市・呉市・廿日市市、香川県高松市の258店にサービスを拡大している。
古屋社長は、「お店も本部も新たなコストをかけるわけではない。早ければ、来期途中からの全国展開もあり得る」と語っている。
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