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専門家会議/国内感染「都市部を中心に漸増」感染源不明な感染者増加

2020年03月20日 11:40 / 行政

厚生労働省は3月19日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を発表した。専門家会議は、国内の感染状況は、都市部を中心に漸増し、感染源の分からない感染者が増加していると指摘した。

まず、「北海道以外の新規感染者数は、日ごとの差はあるものの、都市部を中心に漸増しており、3月10日以降、新規感染者数の報告が 50例を超える日も続いています。また、高齢者福祉施設で集団感染が発生する事例があります。このことは、既に一定の地域では感染が広がりつつあり、高齢者など感染に弱い立場の方々に症状が現れてしまったことを意味しています」と指摘した。

図1<感染時刻による実行再生産数の推定(日本全体)>
感染時刻による実行再生産数の推定(日本全体)
出典:専門家会議発表資料(以下同じ)

その上で、「図1に示したように、日本全国の実効再生産数は、日によって変動はあるものの、1をはさんで変動している状況が続いたものの、3月上旬以降をみると、連続して1を下回り続けています。今後とも、この動向がどのように変化するのか、注意深く観察を続けながら、状況に応じた必要な対応をその都度、機敏に講じることが求められます」という。

※実効再生産数とは、1人あたりが生み出した2次感染者数で、1を超えると感染者が増加し、1を下回ると感染者が減少する。

図2<都道府県別にみた感染源(リンク)が未知の感染者数の推移>
都道府県別にみた感染源(リンク)が未知の感染者数の推移

また、「図2に示したように、感染源(リンク)が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生しています。今後、クラスター(患者集団)の感染源(リンク)が分からない感染者が増えていく場合は、その背景に、どのような規模の感染者が存在しているかがわからなくなることを意味しています。現時点では、こうした感染経路が明らかではない患者が増加している地域は局地的かつ小規模に留まっているものの、今後、こうした地域が全国に拡大し、さらに、クラスター(患者集団)の感染源(リンク)が分からない感染者が増加していくと、いつか、どこかで爆発的な感染拡大(オーバーシュート(爆発的患者急増))が生じ、ひいては重症者の増加を起こしかねません」と述べた。

以上の状況から、「日本国内の感染の状況については、3月9日付の専門家会議の見解でも示したように、引き続き、持ちこたえていますが、一部の地域で感染拡大がみられます。諸外国の例をみていても、今後、地域において、感染源(リンク)が分からない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと考えています」との懸念を示した。

■大規模イベント自粛、学校休校に効果

北海道以外の地域においても、政府によって要請された大規模イベント開催自粛や、全国一斉休校が実施されたほか、急速な感染拡大が危惧される地域における的確な積極的疫学調査の実施などが行われた。

この結果、たとえば、時差出勤への協力により、首都圏ではピーク時の乗車率が減少するなど、事業の特徴に応じた事業継続方法の変更や働きやすい環境整備に工夫が凝らされた。

専門家会議は、「それらがなかったこととの比較はできないものの、現時点では、『メガクラスター(巨大な患者集団)』の形成はなされていないと推測されます。また、図2で示したように、都市部を有する地域を中心に発症者の漸増が認められています。一方、日本全国で見れば、大規模イベント等の自粛や学校の休校等の直接の影響なのか、それに付随して国民の行動変容が生じたのか、その内訳までは分からないものの、一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があったことを意味しています」と効果を分析した。

しかしながら、「海外からの流入は続いており、また、一般に感染症の増減には一定の小幅なサイクルが存在していることなどから、引き続き、その動向を注視していくとともに、市民や事業者の皆様に、最も感染拡大のリスクを高める環境(1.換気の悪い密閉空間、2.人が密集している、3.近距離での会話や発声が行われる、という3つの条件が同時に重なった場)での行動を十分抑制していただくことが重要です」と述べている。

新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(3月19日)

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